上 下
77 / 296
本格始動知識部!

76話

しおりを挟む
 俺は今、目の前に居るゴウドリット・ノース辺境伯と模擬戦する事になった。

「はっ!ふっ!ふんっ!」

 すげぇ太い棍棒をブンブン振ってる。

「よし!ケビンとやら準備運動は終わったぞ?」

 威圧感が半端ないからカエリタイ……

『ケビンがぼろ負けに1票だ』、『余りに悲惨過ぎておっさんがそこそこで試合を止めるに1票だ!』、『一撃負けに1票だ!』

 おいおいおいおいぃぃ!!このくそドワーフ共……全て俺の負けに賭けるんじゃねぇよ。
 1人位マグレで俺の勝利に賭けろよ!


「ふふふふふ。やれば良いんだろ?この脳筋くそゴリラ共が帰ったらあの頭禿げにしてやるぅぅ」

 俺はマジックボックスから木剣2本を取り出し身体強化魔法を最大限にかける。

「「開始!!」」

 審判役のドワーフ2人による開始の合図の声が響いた瞬間

「『テレポート』死ねやぁぁぁこの脳筋くそゴリラぁぁぁぉ」

 背後から思いっきり頭に2本の木剣を叩き付けた。

「ぬぐぉぉぉ!?あいたぁぁぁ」

 ぶっ飛んでった……やべっ、死んだんじゃ?

「グハハハ!いい攻撃だ! ズシンと来たぞ?  ズシンとな!」

 声が聞こえ慌てて構えを取ると、首をコキコキとゴウドリットは節を鳴らして立ち上がりこちらに踏み込んで来た。


「フンヌッ!」

 俺は急いで防御姿勢に入り受けるも余りのバカ力に受けるのは無理と判断し後ろに跳んだ。

「良い受けだ。やるぞーオラァァ!」

 俺はゴウドリット辺境伯との模擬戦をしていると
 ふと辺境伯の背後から金髪の女性が憤怒の表情で走ってくるのが見えた。

 俺はあの雰囲気を知ってる!母上が激怒してる時と同じだ。


「あわわ……」

 俺は辺境伯の攻撃を避けて

「アースウォール!」

 土の壁を出した所、ドゴッという何とも痛ましい音が聴こえたので魔法を解くと。

「あ、あの? 辺境伯様は大丈夫でしょうか? 」

 辺りは静まり返ってる、考えても見て欲しい。

 先程まで良い雰囲気の戦いの中、剛腕を奮っていた人の武器を奪い辺境伯の頭を叩き
たんこぶをつくり、そして辺境伯の頭を掴み引き摺ってるんだよ。

「あら? 随分と若いのにこのバカと中々いい勝負してたのは見てたわよ。
 私はこのバカの妻のメノウ・ノースよ。
 旧友の息子が来るとか言って全部仕事をほっぽり出して出て来たからちょっとね?  」

 あー……なんだ。父上にやっぱりそっくりだなぁこの人。

「そうでしたか。ではお初にお目にかかれてうれしく思いますノース辺境伯夫人。
 今は貴族籍を抜けましたが、私が多分その旧友の息子であるクロス伯爵家の元次男のケビンです」

 メノウさんは俺をよく見たと思ったら。

「アレク君はこのバカと同じで筋肉バカだったけど、君は魔法系なのねぇ。

 今度はこっちで何か商売を始めると聞いてるわ!それじゃ!行きましょ!」

 俺はドワーフの方に振り返り

「蒸留続けないと毎日酒飲めなくなるぞ?
しっかり働けよー!」

 慌てて皆動き出すのであった。




 カイザン男爵は顔が緊張で真っ青なのでお酒を渡した。

 メヌレとアセラも寄親のトップが目の前にいるととても緊張してるなぁ。

 メノウさんはカレー食ってご満悦。
ノース辺境伯は俺が蒸し芋にバターやチーズを掛けて食べようとしてたら奪われた。

 それに肴に呑んだくれてる。

「それでケビン君? このお酒はどうするつもりで持ち込んだの?」

 メノウさんはこちらを試す様な瞳で見つめてくる。

「うーん。どんなつもりと言われましても……一言で言うならば」

「「「言うならば? 」」」

 メノウさん、メヌレ、アセラがハモって質問してくるよ。

「将来的に俺が飲みたいや作りたい物の土台作りをしたかったんです。
 それを父上の領地でしてみてくださいよ?
 すぐに誰が動いて居るかバレますし、原材料か安く尚且つ人手も余ってるんですよ?

 狙い目じゃないですか? 商人視点ならここが1番ですよ。
北は環境の厳しい所で、隣国からも離れているからスパイも少ないですし

 他の場所だと多分全て取り上げられるし、ドワーフ族は武器作りだけしろと強要すると思うのでここが1番何ですよ。

 それにドワーフ族が何で洞窟に住んでるか知ってますか?」

 俺は理由と種族的な話をするとやはり……メヌレとアセラは知らないと首を横に振る。

「え?ドワーフ族達は鉱石を得る為に洞窟に住んでるんじゃないの?」

 俺はメノウさんの回答に首を横に振る。

「彼らは日の暑さに弱いんです。正確に言うと暑すぎるんです。他の領地は。
 そしてここ北の領地は自然が多いので精霊達も数多く住んでるので彼らにとっては楽園でしょうね」

 そもそも考えてみても欲しい。
 俺たちはそれなりの厚着してるのにドワーフ族はタンクトップみたいなオーバーオール着てどんちゃん騒ぎをしてるんだからね。

「それは知りえませんでしたね。
 そして何故ケビン君が儲からない方法を取っているのですか?」

 あーアセラ達に任せるという事か。

「うーん。儲けすぎてるので散財して経済回そうかなって。
 後はこちらの魔物素材や学園卒業後に武者修行に来る時に楽な方に向かおうかと!」

 その時、ハビスとハンナとネロが頭を抱えて居てメノウさんはそれを見て何かを察した様だった。
しおりを挟む
感想 74

あなたにおすすめの小説

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

転生5回目!? こ、今世は楽しく長生きします! 

実川えむ
ファンタジー
猫獣人のロジータ、10歳。 冒険者登録して初めての仕事で、ダンジョンのポーターを務めることになったのに、 なぜか同行したパーティーメンバーによって、ダンジョンの中の真っ暗闇の竪穴に落とされてしまった。 「なーんーでーっ!」 落下しながら、ロジータは前世の記憶というのを思い出した。 ただそれが……前世だけではなく、前々々々世……4回前? の記憶までも思い出してしまった。 ここから、ロジータのスローなライフを目指す、波乱万丈な冒険が始まります。 ご都合主義なので、スルーと流して読んで頂ければありがたいです。 セルフレイティングは念のため。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【味覚創造】は万能です~神様から貰ったチートスキルで異世界一の料理人を目指します~

秋ぶどう
ファンタジー
書籍版(全3巻)発売中! 食べ歩きだけが趣味の男、日之本巡(ひのもとめぐる)。 幻の料理屋を目指す道中で命を落としてしまった彼は、異世界に転生する。 転生時に授かったスキルは、どんな味覚でも作り出せる【味覚創造】。 巡は【味覚創造】を使い、レストランを開くことにした。 美食の都と呼ばれる王都は食に厳しく、レストランやシェフの格付けが激しい世界だけれど、スキルがあれば怖くない。 食べ歩きで得た膨大な味の記憶を生かし、次から次へと絶品料理を生み出す巡。 その味は舌の肥えた王都の人間も唸らせるほどで――!? これは、食事を愛し食の神に気に入られた男が、異世界に“味覚革命”を起こす物語である。

転生王子の異世界無双

海凪
ファンタジー
 幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。  特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……  魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!  それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!

異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。

みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・

処理中です...