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本格始動知識部!

68話

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 俺とネロは帝国に戻ってすぐに亡くなった生徒達のお墓に来ていた。

 とは言っても慰霊碑であって全員の死体は俺がダンジョンから持ち帰り帝国がお金を払い故郷に帰した。

 俺達が居ない間に暴動が起きたらしい。
 扇動したのはあの日ダンジョンに入った貴族達の親達が
 これを好機と見て国に金を支払えと脅迫したらしい。

 誰もが内乱か?と思った時に皇帝陛下ではなくブチ切れたのはカースド公爵だった。
そりゃそうだわな。

 娘を誘拐されたけど死んだのは平民のみだったんだ。
 それをこれみよがしに金を払えプラス領地の被害にあった平民分のお金も代わりに渡すから一緒に寄越せと来たもんだ。

 横領します!って宣言されたもんだもんね。

 『やるならやってみろコラァ』と公爵様は反発した貴族領地に私兵連れて乗り込んだらしいよ? 
 帝都に居た連中にも帝都宅に乗り込んで引きづり回したらしい。

 最近の公爵様のあだ名が公爵を誰かが噛んできょうしゃくと呼んだ事から凶爵って呼ばれてるらしい。

 何故かそれを公爵様は聞いて皆不敬罪か?と顔を真っ青にしていたのだけど最初に広まった地域にご満悦で

「最凶の公爵で凶爵!良いでは無いか?誰が言ったのかまでは分からぬのだな?その地域に金を撒いて来い!」

 と金を1家庭、1人当たりずつに配ったらしい。

 やっぱりぶっ飛んでるよな貴族って。


 助かったのは俺もだった。
 学園の最初の長期休暇の宿題は鼻ほじしててもすぐに終わる内容だった。

 ハッハッハー!
 隣で必死にそろばんを弾いてるネロが恨めしく見つめてくるが
 『知ったことか!!』と突き放してあげた。
 数時間後のハンナとネロと一緒の剣修行でやり返される事を俺は未だに知らない。

 ネロは今回の戦いで完全に才能を開花させてしまった。

 俺は何か意味の分からない種族になってしまったおかげで
 何とか何とか食いついて居るも毎日ボコボコにされている。

『あれ~?何か違う……チガウヨ。チートになれたと思ったのに
毎日地面とキスするなんて、oh......アースマイハニー』

と壊れかける位には辛かった。

 そして辛いのは魔法も加減が効かなくなったと言うよりも下限の威力が人外判定が着き

 好き勝手に放てなくなった。
 俺の変化は身体能力の超上昇に魔力上限突破に
 魔法威力上乗せに体が硬質化?出来るようになった。

 そして片足と片手が真っ黒くろすけになってしまったので手袋をつけてる事が多い。

「くっ、完全に見た目厨二病じゃないか!?」

「厨二病?」

 俺の言葉にネロが反応し、更には何故かハンナまで乗っかってきた。

「あら?厨二病とはそういう格好の事を示すのですね?」

「「え?」」

 ハンナはそう言うとちょっと分厚い本を持ってきた。

「初代皇帝物語に結構頻繁にその言葉出てくるんですよ!

 眼帯を着けた少女に初代皇帝が『そ、そなた大丈夫か?厨二病にかかっているのではないか?』とか
 『この私の錬金術がくっくっくっ、この魔法陣が闇の世界を魅せてあげますよ?』って返答に『厨二か!』」

 おいっ!!何そのテンプレ満載の物語は!!

 俺は地政学に歴史書片手に勉強してたから流石に童話や小説は盲点だった。


 ハンナは鼻息荒くフンス!フンスと話している。

「初代皇帝が謎の言葉も残してるんですよね……『あーアニメ見てぇ』アニメとは?と未だに解明出来てないそうですよ?」


 俺はその言を聞いて分かるわけないよなぁと呆れた。


「ハンナも初代皇帝を題材とした物語好きなんだね。
皇子様の時に求婚する話は有名だもんね?

ハンナも早く見つかるといいね」

 ケビンはまたしても地雷を踏んだことに気付いてない。


 数十分後にハンナとの手合わせの時にハンナが何故か気の運用の発露をガンガン使うのだ。

 解せぬ……

「ねぇ、俺の周りにいる人って全員人外でしょ……」

 そんな代わり映えのしない毎日に変化を与えてくれたのはサイネだった。




 知識部は今や下着販売部又は製造部になっている。

 呼び出された図書室に向かうと文官系を希望している人達が集まっていた。


「やっほーケビンお疲れー!」

 サイネが手を振り呼んでくれたので俺もサイネの方へと向かう。


「おう、サイネどうした?」

 サイネは困った様な顔をして

「この子達宿題が終わった上に最近部活では経理ばっかりしているから何か課題が欲しいんだってさ!」

 えーそんなもん先生に頼めよ……とは言えないか。
 商人志望だけにあれだけ良い教材所か一生物の仕事を渡してしまったんだからな。


「んーじゃあ税率の各領地決定のメリットとデメリットの論文書いてきて。
後は、経済上昇までの課題」


 5人の文官志望の子達は自分の家の領地を起点と考えるか国として考えるかで大分変わるだろうな。

 ここに居る5人は全員下位貴族の子息令嬢達だし。

 すると早速1人の子が手を挙げた。

「あのケビン君。僕はカイザン男爵長男のメヌレです。
予算ってどうしたら?」

 うっほ!そこからか。

「それはカイザン領地の資源や交通の善し悪し等をまとめた上でこういう結論になりましたという事を書いてくれ。

そもそも論だけど国からの支給で乗り切ってる領地何て極わずかだからな」

 俺は新作の服のデザインを考えてサイネに渡した。

「ねぇケビン?これなーに?」

 サイネが俺に渡したデザインが意味が分からないと質問してきた。


「これは外が暑かったり寒かったりと調節が難しい季節に簡単に羽織れて脱げる服だ。

前を2つ位のボタンで留める様にすれば簡単だろ?」

「素材はスリーピングシープの毛を糸にして織り込んだ奴なら肌触りも良いし楽じゃないか?」

「でもそうなると値段的に1品物になっちゃうよ?」

 え?俺なんて服に興味無いから1つ買ったら数年体が大きくならない限りそれで良いと思うんだけど?

「え?女の人はやはりダメか?
 なら肩口だったりポケットだったり寒さを感じる所だけスリーピングシープにして
 他は普通のにして値段を下げるしか無いぞ?」

 真面目な顔をしてサイネは追加を書き込む。

「うん!カラフルな方がオシャレだからねー。
じゃっ!私は行ってくる!!」


 そう言って走り出したサイネは……

『コラー!!図書室で走るなぁぁぁ!!』

『ごめんなさーい!』

 締まらないよ。サイネ。
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