変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜

赤井水

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学園編

65話

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  物凄い爆発音と共に汚い悲鳴が上がった。

『ぐ、ぐぇぇぇぇ!何故だ!?何故全て破壊した神器がここにぃぃぃ』

  砂埃が晴れ下級神の姿が見えると下級神は空から落ちて来た黒いドレスに翼を持つ青色の髪と黒い髪が混ざった女性が持つ大剣にぶっ刺されていた。

「ふぅ、そなたが妹を誑かしたクソ野郎か?」

  ぜ、前世……そして今世のお父さん・お母さんブチ切れた女性はとても恐ろしい生き物の様です。

  殺気や怒気に当てられ漏らしそう……

「我ら魔族をバカにしくさったゴミよ、楽に死ねると思うなよ?」

  綺麗な女の人が、犬歯を剥き出しに獰猛な笑みを浮かべてる。
  俺が獣人だったら尻尾は既に股の中に入って居るだろう。

  人型種族や獣が恐怖を感じると尻尾を股に丸めたりヒュンってなる理由が分かった気がする。

  脚に力が入らず体高の高さが定まらずにその浮遊感でヒュンってなるのだ。

  俺のその様子を見てカロンはケラケラ笑っていた。

「なぁカロン?あの人は?」

  カロンはこちらを見て簡潔に告げた。

「知らんよ。私は指針をくれた神から時間稼ぎを頼まれただけだ。それにしても強いな……」

  黒いモヤを纏い、シュコーシュコーと呼吸をする。
  大剣を振るう瞬間、彼女の腕は効果音が着くならボコッモリッと言った感じで腕の筋肉がゴリラ並みに太くなるのだ。

「ひぃぃぃぃ!!!」


  最近、何故か思考が読まれ過ぎじゃないか!?という位のタイミングで

  かの鬼神の如く下級神をボコってる女性はギロリ!と俺を睨んだのだ。
  股がヒュンっとなった上に心臓を手で握られた様な圧迫感があった。

『ひぃぃぃぃ貴様は誰なのだ。そしてその剣はどうやって手に入れたぁぁぁぁ』

  世界中の皆さん事件です!下級神ご乱心です!

「あぁん?冥土?消滅の土産に教えてやるよ?

神剣アトゥルヌン・ギロスさ。
まぁ、お前に一言で分かる言葉にすれば神殺しの断罪剣だよ」

  神様……神殺しなのに神剣という矛盾。
 そして俺達の噛ませ犬っぷり酷いわっ!
  心の中でキィィ!!って感じでハンカチを噛む俺の姿がイメージ出来た気がした。

  そんな時だった、頭にカロンの手が置かれ。

「ケイ?その気持ちは大事だぞ?私達Sランク冒険者の戦闘を見ると大体の人間は諦めたり嫉妬したり腐ったりする。

Aランク冒険者とSランク冒険者は次元が違う。
Aランク冒険者が20人居ようとも私達の敵じゃない。
そこで悔しがれるなら充分に素質はあるさ」

  翼を広げた女性は獰猛な笑みを浮かべ黒いモヤを大剣に吸わせ始めた。

「その存在を許した因果律を喰らえ『デリート』」

  大剣はまるで生き物の様な……あれ?龍の頭みたいになり
口をパカッと開けたと思うと下級神を結界?いや蜃気楼みたいに見える円球状の空間に閉じ込めたと思ったら
一瞬で圧縮して食べてしまった。


  何とも呆気ない最後に俺は歯噛みしてしまった。

  何が信仰を復活だよ!何が強くなっただよ!何が……何が……
  そう思うと視界は涙で見えなくなっていた。


  見立ての甘さと軽い考えで仲間や家族をまた失う所だったという悔しさと弱さへの虚無感で思考が一杯になり目の前を見てなかった。

  ふと、自分の浮いてる感覚に慣れて居たのもダメだったみたいだ。
  思考の渦に呑み込まれ強さを求め決意しようとした時に徐に頭を鷲掴みされた……

「え?」

「ふむ、小僧何故手足を治さん?」

  黒いモヤが粒子の様に立ち昇る女性が俺の頭を鷲掴みにしてこちらを眺めていたと思ったら顔を近付け匂いを嗅がれた。

  いーやーもうお婿に行けない何てふざけた思考が俺の頭を過ぎると
  唐突に頭の付近に魔力が集中した。


「ほう?小僧……我が妹を天に返した事は立派だし褒美を与えよう……が」

  すんごい綺麗な人に見つめられると平凡な俺みたいな人間は「あぅ……あ、あにょ。ごにょごにょ」としか言えなかったが……

「いで、いててて痛え!?痛えぇぇぇ」

  あれ?これ俺の頭トマトコースですか?って位ギリギリと握られ始めた。

  目の前のゴリラ……ゲフンゲフンにより
あぁ……父上、母上、僕もそちらへ向かう事になりそうです(まだ死んでませんピンピンしてます)。

「ほう?ゴリラとな?折檻が必要だと思うたが時間が足りぬな……
我の名はクラリアス・マデロシーだ。
お主が天に返した妹の名はメリアじゃ。

心に深く刻む様に」

  俺はその名前にギョッとした!!
それは歴史や古文書に出てくる人魔大戦というに居た魔王と呼ばれた存在の名前だったからだ。

「もしかして……戦争は悪魔にされた恨みから起きた?」

  俺の質問には誰も答えてくれなかった。
  クラリアスは少し悲しそうな顔をしたと思ったら俺の頭に魔力を圧縮して

「我の記憶を少しやろう。そして我は無理をし過ぎた。
神に頼み、この封印が解除された折に同じく封印がとける様にしておったのじゃ。

全てはメリアの為にな?このモヤは崩壊の始まりじゃな。
さて、お主には名前が3つあるの?どれが本当の真名なのだ?」

  俺はその瞳に見つめられ少し考える。
そして正直に答えるとするか!

「今世で貰った名前がケビン、前世の名前がタスク、そして冒険者としての名前がケイだ。
妹さんはいつもお姉さんに謝っていたよ」

  妹さんの最後の様子を伝えるととても優しい笑みを浮かべていた。

「ならばケビン。お主ちとズレが酷いの?魂ばかりが強大になり過ぎて体が合っておらん。
それでは最後に褒美をやろう感謝する。
強く生きよ」

  クラリアスはそう言うと俺のおでこにキスをした。
美人さんの顔が近くに迫ると俺は緊張で意識がたもて……ない。


  俺の最後の視界はニヤニヤと面白そうにしてるカロンと爽やかな笑みを浮かべるクラリアスの顔だった。


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