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学園編

34話

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 俺は深夜遅くまで父上にコレットの説明とその度に説教を受け流しながら話してる最中に眠ったらしい。
 顔には柔らかな枕とはまた違った感触がある。

 心臓の音がいつもより心地好い。
 不思議に思っていると俺の意識が一気に覚醒する声が聞こえてびっくりする。

「あらあら、ケビンはまだまだ甘えん坊さんね? キャロのお兄ちゃんなのにねふふふ」

 俺は飛び起きた。

「ひゃ、ひゃひゃうえ?」

 にこやかな笑みを浮かべ俺と同じ銀髪の母が俺をギュッと抱き締め寝癖を直し始める。

「ほら動かないの。こっち向いてそんなに顔を赤くしちゃって」

 母上は布を軽く絞り俺の顔を拭く。
 体勢をくるりと回され視線を向けると金髪の父上によく似た髪色の妹がキャッキャッと俺の方を見て笑う。

 母上が俺の耳の横に口元を置き

「もう誰かをお手付きしちゃったの? ふふふ。
 まだ子供だから良いけど直接触ったりしたら責任取らないとダメよ?」

 とクスクス笑いながら揶揄される。


「母上!?」

 俺は恥ずかしくなり母上から逃げてキャロの方へ向かう。

「えっと2回目だな。キャロリーナ」

 キョトンとした様に俺を見つめるキャロ。

「ほーい。俺の事は忘れても魔法は忘れないでくれよ」

 俺は魔力球を浮かべ各種属性に変質させる。

 キャロはキャッキャッと声を上げて手を伸ばしてる。

「おぉーキャロも将来は魔法系の研究職かなこりゃ」

 そんな時だった部屋にゴンッという鈍い音が鳴り響く。

「いったぁぁ絶対父上でしょ!?」

 振り返ると父上が居た。

「キャロがお前みたいになったら一家離散するわっ!
 放浪息子に破天荒娘になってみろ!使用人がついていけんわっ!」

 なるへそーって納得してると

「これはキャロが成人したらお相手と父上の戦争が起きそうだな」

 と苦笑いするのであった。
 だって今のうちから「キャロが男連れてきたらボコる」とか頭の悪いヤンキーみたいな事言ってるから母上に折檻されてたんだぜ?

 笑える。

 母上に折檻されボロボロなのにキャロを見てデレデレの怖い顔の父上。
 そんな父上がキリッと急に真顔になる。

「昨日のお前がしようとしてる事は陛下には伝えた。
 借りの使用で自由は保証するだそうだ。
頑張れよ」

「おう!再宣言だ!貴族になんてなるもんか!」

 父上は呆れ、母上はアラアラと諦め、キャロはダァァブゥゥと面白がってる雰囲気があるんだけどさ。ちょっと待て?

「父上、母上聞いても良い?」

「なぁに?」「どうした?」

「キャロって1歳だよね?」

 2人は頷き肯定する。

「何で俺達の会話理解してんの?」

「「へ?(はぁ?)」」

「だって俺の再宣言を気合い入れて叫ぶとか普通の赤子には無理でしょ?」

「「あ、」」

 2人とも常識はどこに行ったの? メイド達やハビスを見ると皆目を逸らす。
 うん? 何でた?

「「前例が居るから忘れてた」」

 両親がガッツリ俺を見てそう言ってきた。
 へ? そうなん? 俺は自分の前世の意識が急に5歳の時に定着したからその前の事は知らない。

「アハハ、ソウナンデスネーシラナカッタナー」

 そう言いつつ俺は廊下にフェードアウトして一言

「まじか……」

 と呟き自分の部屋に戻るのであった。

 そして見ては行けぬ魔境を見てしまった……


 オンナノコってコワイこの1つキーワードが俺の心に刻み込まれた。
 だって考えみてくれよ、ごく普通に部屋に朝早いのでこっそり入ったら俺の服をクンカクンカして「「「はぁ……ケビンしゃま」」」
 って蕩けた顔した同世代の女の子がモジモジしてたんだぞ?

 俺と目が合った瞬間、恥じらう振りして肉食獣の目をした。
 ヤバいこの子達、俺が出来る様になったら喰われる未来しか見えなかった。
 どこがとは言わないがヒュんとなったぞ?

「随分と朝早くに起きてますね? ケビン様?」

 後ろから声をかけられた。

「あぁハンナおはよう。何か昨日父上と話してるうちに寝ちゃってて
 さっき起きたけど気まずいから戻って来たんだよ」

「そうでしたか!ならまだ早いですのでお休み下さい」

 そう言ってハンナは俺の手を取りベッドに連れて行き自然な流れで俺を抱き枕にし始めた。

 ハンナお前もか……何か変なオーラを感じるよう。
 肉食獣の群れの中にポツンと居る小さい獣の様だ。体が勝手に震える。

「あらケビン様寒いのですか? ならもっと温めましょう」

 いやぁぁぁハンナの目が怪しく光ったよ?コワイよ食べられるぅぅぅ。

 そんな怯えた状態で俺の意識は途切れた。

 数時間後、寝て起きたら何故か4人ともツヤツヤとしていたのは見間違いであると信じたい。
 大丈夫だよね? 俺何もされてないよね? とちょっと自分の体を触るのであった。
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