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学園編

30話

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「はぁ……ダメかぁ」

 そう落ち込み独り言を呟いてるのはコレットだ。

「何がダメなんだ?」

「ひぃぎやぁ!ケビン!驚かせないでよ!」

 面白い悲鳴をあげるコレットの視線の先には小鳥が居た。

「どうしたんだ? その鳥」

 するとコレットは暗い顔をする。

「怪我をしていたのを見つけて治したんだけど羽が動かせないの」

 俺はへぇと笑みを浮かべる。
 聖属性又は生属性魔法を扱える人は稀だ。

「外傷は治せるって事はコレットは優秀なんだな」

 するとコレットはプリプリ怒り出す。

「!!? それでも!小鳥は飛べないじゃない!」

 ギリッと奥歯を噛み締める音が叫びと共に響き渡る。

「はぁ、コレット外傷を治せる魔法は貴重だ。そしてちょっとそこをどいてくれ」

 俺は魔法はイメージと位置付けているので詠唱はしない
 手を小鳥に向けると再生を促す。

 2分程経つと小鳥が急にパタパタと羽を動かし飛んで行った。

「え!? ケビンも使えるの?」

 そんな驚きと期待を目に浮かべ俺を見つめるが俺は首を振る。

「俺にも外傷は治せない。でも外傷さえなければ知識で治せるんだよ」

 俺がそう言うとコレットは頭をいきなり下げ始めた。

「教えて!お願いします。私はどうしても治したい人が居るんだ!」

 そんな懇願を見て俺は1つ思いついた。

「そ!そうだ。そうすれば良いんだ!何も優秀な人間は俺じゃなくてもいいんだ!コレットよし!
 君に知識を与えようそして教えた知識は君が好きに使えば良い。
 けど俺から教わったと秘密にする事が約束だ。出来るかい?」

 コレットはもう決めてるみたいだけどどうしても聞きたい事があるみたいだな。

「どうして秘密か聞きたい?」

 するとちょっと困惑しつつも頷く。

「俺さ、貴族子息なんだよ。でもさ貴族何てなりたくないんだよ」

「は? えっ!? えぇぇぇぇぇ!!」

 コレットのそんな叫びが木霊した。

 落ち着いたコレットに俺は事情を説明した。

「へぇ、ケビン様素敵って呼んだ方が良い?」

 何て既にからかわれている。

「やめてよ柄じゃない。俺の欲求を10に分けると魔法と知識が7で2がまだ見ぬ経験1は秘密だ」

「女ね? いや、女の子の中ね?」

 即答され顔が真っ赤になった。

「秘密だ。それで今まで色々としてきた知識や資料を進級試験に使おうとしたら
 父上から貴族になるなら出せって言われて困ってたんだ。
 進級に必要な程度の資料がどれ位なのかわかんなくてね。
 んで!さっき閃いたのが。なら知識が欲しいを育成して優秀な人材に隠れて
 俺は適当に受かれば国は優秀な人材確保出来て俺は隠れる事が出来るって思ったんだ!」

 コレットはそこまで聞いてふと質問してくる。

「ケビンの知識ってどの分野なの?」

「建造、治水、医療、魔法道具原案、商業形態、流通方法、料理、魔法かな?」

 ドン引きされた。

「1人でそれだけ知識持ってたらそのうち狙われない?」

「既に冒険者なんだよ? 成人したらランクアップすぐするから。
 それまで自分の知識と魔法の欲求満たせればそれだけでいいんだけどね。
 あ、コレットって料理出来る?」

 話の文脈がめちゃくちゃでちょっと笑われた。

「少し位なら出来るわよ? これでも私だって女の子何だから!」

「へぇ、じゃあ冒険者ギルドに行こうか」

「へ?」

 俺は管理棟に行き、外出届けを出してコレットを連れて冒険者ギルドへと向かった。



 帝都の冒険者ギルドはかなり大きい見栄え重視なのかな? って位だ。

 スイングドアを開けると視線が飛んでくるが慣れた事なので無視だ。
 後ろのコレットはド緊張してるけど、受付に向かうと受付嬢さんが先に話しかけて来た。


「帝都冒険者ギルドにようこそ。依頼の発行でしょうか? 登録でしょうか?」

「あ、俺は既に登録してるから。それと相談があるんだけど魔物現物買取って出来ます?」

「はい?」

「へ?」

 受付嬢さんとコレットの素っ頓狂な声が聞こえた。

「えーっと魔物を丸々買い取りたいのと解体したいんです自分の手で。
 人型魔物の丸々頭は無くても良いけど、それと鳥系か獣系統の魔物も丸々1匹無ければ最低脚だけ残ってれば買取ます。
 あ、解体場の場所も貸して欲しいのでお金は払います」

 そんな説明をしてると後ろから声をかけられたが悪意や敵意満々だった。


「おう、坊ちゃんよ。何だママに魔物倒したって血みどろになりながら自慢しに行くのか? ギャハハ」

 酒くせぇおっさんが後ろからギャーギャー喚いてコレットはその大きな声にビクビクして俺の服を掴んで震えてる。

「へぇおじさんランクは?」

「あぁん? 聞いて驚けDランクだ。お前みたいな木っ端とは違うんだよ!ンギャ」

 おっさんはゴブリンみたいな悲鳴を上げて倒れた。

「ゴブリンの様なゴミみたいな悲鳴上げて倒れるとかダサいわ。
 後、Dランクなら相手の力量はかってから来てね?
 あ、お姉さん折角だから俺のタグの一応ホーム変更させてもらうよ!」

 お姉さんはタグを受け取り読み取ると驚いた顔をする。

「はい、完了致しました。Dランク冒険者のケイ様」

 あ、やべっと振り返ると呆れた顔をするコレットが居た。

 俺達はその後たまたま、ゴブリンを狩ってそのまま戻って来た初心者冒険者達が居て感謝しまくり
 たいして価値のないゴブリンをそこそこの値段で買取り、解体責任者に場所とゴブリンのその後の処理をお願いする代金を支払う事で契約成立した。
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