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学園編

25話

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 試験10分前になった時に鐘が鳴って
 周りの離席していた人達が自分の席に慌てて座る音が聞こえたので俺は自分の机の上に受験票と
 筆記用具を置いた所で試験官が入ってきた。

「注目!今から筆記試験の紙を配る。算術と歴史の2つでこの魔道具の音が鳴るまでが試験時間だ。
 それが終われば実技試験だ。
 解答用紙の1番最初に受験票の番号書き間違えるなよ!
 不正はすぐに失格だからな!」

 俺は言われた通り受験票の書いてある番号を2枚の今配られた問題と解答用紙に書いた。

「よし!今のうちに番号書いた奴は間違い無いだろうからな。
 これから書くやつは緊張して間違えるなよ?

 よし!開始!」

 俺は歴史の方の問題を見るとこれはスルスルと問題の方に答えを書く。
 20分程で解き終わりそこから難しい問題の解答を黒く塗り潰し3つ位間違えた解答を書く。
 そして半分より少し当たってる解答を書き込んでいく。

 算術はもっと簡単だ……どこの世界に四則演算が出来るのに
 足し算や桁だけ多い数の足し算引き算を間違える奴が居るって話だよなぁ。

 これは……!!最終問題が笑えた。
 確率問題だ、3回に1回魔法が出る魔剣と2回に1回魔法が出る魔剣どちらが多く魔物を屠れるか?

 これ間違える奴居るのか? そもそも論使い手次第だから確率すら関係ないんだが。
 俺の解答は

『剣の使い手次第で魔法が出ようが出なかろうが屠れる数は分からない』

 と書いておいた。
 魔法でしか倒せない魔物と注釈が入るなら2回に1回なんだろうけどね。

 そうして俺は問題用紙の方にもダミーを含ませ解答が全て埋まった。
 埋まったんだけどする事が無くなったなぁ……眠い。

 うたた寝をしていたら突然大きな声にびっくりして起きた。

「終了!すぐに筆記用具をしまい教室から出ろ!
 廊下に引率の試験官が居るから実技試験に向かえ!
 何か不審な行動をしたら失格だぞ? 速やかに行動を開始しろ!」

 俺は言われた通りに筆記用具をポケットにしまう振りをしてマジックボックスに入れて廊下に出た。

「ねぇ? アンタほんとに大丈夫なの? 途中から寝てるし」

 何てジト目で見られております。

 流石に簡単過ぎて調整してて眠ってましたなんて言えないからなぁ。

「まぁ、大丈夫さ。どっちも半分は取れてるだろうから。君は? 大丈夫なの?」

 女の子はうぐっという声を上げ

「算術は自信無いけど歴史は出来たわよ」

「へぇ、なら大丈夫じゃない? 筆記は2つ合わせて半分取れてりゃ
 合格圏内なんだし余程今年の受験生が優秀じゃなければだけどね?」

「うーん、そう言われてるけどね? 実技の方が差が出るから心配だわ……」

「俺は貴族様と関わりたくないから下の方で充分だけどな!」

「やっぱり変な奴」

 そんな会話をしながら実技会場に向かうのであった。


 実技会場は第4実習場と書いてあり試験官は明らかにゴリマッチョのおっさんが木剣を持っているのと
 魔法の的がある、眼鏡をかけたお姉さんの試験官がいる方があった。

「魔法と近接戦闘をどちらもして貰います。
近接戦闘の方は一応自己申告をしてください!
 一切戦闘経験のない人に試験を受けさせてケガをされても困りますので。
 虚偽はすぐに分かりますのでそれ位は簡単に見抜けます」

 眼鏡のお姉さんが眼鏡をクイッと上げて宣言した。
 うへぇやりたくねぇ……槍使おうかな?

「まずは1001番から得意な魔法を使ってください!」

 魔法を皆使い始めた。
 1発打って模擬戦へと行く、それを試験官が記録して終わりだ。
 合格者と不合格は既にここで決まる。

 もう、筆記試験の採点が出ているのだ。
 そしてここの点数次第で合格か決まるって尚且つクラス分けがされる。

 俺は多分特殊試験者だから試験番号は最後だ。
 平民は大体1000人位毎年試験を受ける。
 ここで落ちてもそこから他の領にある学園に推薦やスカウトもあるので落ちたから終了という訳では無い。
 この学園は選択式授業の自由度と先生の優秀さが売りだから皆ここに入りたいだけなんだよね。

 そして最後になったので俺は魔力変質で火属性にした魔力玉を的に当てた。

「あ、すみません。2001番で一応ファイアーボールです」

「ん? 君が特殊試験者ね。はいはい。次行って。君で最後だから」

 これで減点になってくれればよろし!
 詠唱とか覚えてないんだよ!

 隣のゴリマッチョの方に行くと何かバンプアップしていた。
 近付きたくない。

「よし!最後だな!そこから武器とって掛かってこい!」

 俺は長槍を取り、右手を柄の後ろの方ギリギリに持ち、左手は半分より後ろ辺りを持ち構える。
 クルクル先端を回す様に。

「ふむ、珍しいな。よし!こい!」

 開始が成されたので俺は一切魔力を使わずに近付き上から長槍を叩きつけた。
 その時に上から下にグッと力を入れると槍はしなりそのまま左手を右手まで滑らせ思いっきり体重をかけたが。

「ふぅぅぅん!甘いわっ!」

 バキャという音と共に長槍が半分に折れてしまった。
 だが試験官が止まらない。

「むん!」

 武器無いんだけど俺、コイツアホじゃね?

 俺はそのまま吹き飛ばされた。
 対応したら点数が上がりそうだ。

「アマダ試験官!」

 眼鏡のお姉さんがすっ飛んで来た時にアマダ試験官というゴリマッチョの試験官に思いっきり魔法をぶち当てて居た。

 うひょー怖ぇ。
 俺は受け身をキチンと取っていたので取り敢えず確実に打撲位のケガしか負ってなかった。

 しかし眼鏡のお姉さんは俺の体を触り動かしキチンと診察して最後に治癒魔法を使ってくれた。

「あのアホは後で罰を与えて貰いますのですみませんでした」

 そう謝って来たので

「いえいえ、治療ありがとうございます。攻撃に反応出来なかった未熟な自分のせいですのでお気になさらずにじゃあ俺は行きます」

 俺はお辞儀をしてクラス分けの担当の人に声をかけるのであった。



 ケビンが実習場から出ていくと

「アマダさん何故彼に攻撃を?」

「いやー痛てぇなレミア? あいつ全く本気出してないから攻撃当てたら出すかな? って思ったんだがな。
 徹底して上に上がりたく無いみたいだな」

 レミアと呼ばれた試験官はため息をつく。

「魔法を無詠唱で使える人があんな無様な姿を晒すとは思えないですけど
 一応、特殊試験者って事は貴族の子息様で尚且つ高位貴族の可能性があるんですよ!?」

「むー……いやぁあいつ多分冒険者してるぞ? 何か雰囲気が俺達に近かったし。
 腰の短剣はかなり使い慣れていたぞ?
 そして長槍も多少の心得があったみたいだしな。

 魔力強化無しで俺が攻撃を受けたんだからな!ガハハハハ!さて点数はそこそこで良さそうだろう。
 高得点与えたら後で恨まれそうだ」

 2人は渋々と言った表情で半分の点数をつけるのであった。

「彼の筆記試験の点数聞きました?」

 レミアは徐にアマダに話しかける。

「いや? 知らんぞ?」

「200点満点中124点です。しかも気味が悪い事に少し他の難しい問題は全て不正解で簡単な問題は全部正解してるんです。
 筆記試験の点数確認してた子が簡単な試験で点数調整してたんじゃないか?
 それが簡単に出来る位すぐに解き終わったのでは? って言ってましたよ」

「ほう、なら俺達が点数高くしてたら確実に恨まれてたぞ?
 多分アイツD~Gクラスを狙ってたんだろうな。
 貴族の子が居ないクラスをな!
 貴族の子はC~Dクラスまでしか配置されんからな!」

 2人は点数をちゃんと空気を読んで付けれた事に安堵するのであった。
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