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魔法研究の為の基盤作り

19話

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 パーティーが終わった2日後、俺は困っていた。

 今、俺の目の前にはわんわんと泣くメロ、ムゥ、サツキ。
 いやサツキは涙を流す事を我慢して出来なく涙を流してる感じだ。

 そしてその後ろに騎士団長と部隊長ワクロだ。


「それで? ムゥ、メロ、サツキ? ゆっくりで良いから説明して貰えるか?」

「ひゃい……ケビンしゃま、グスッ、に賜ったぶゅきをおみゃえらには分不相応だと取り上げられました。うわぁぁん」

 あちゃーと言う気持ちと同時にふつふつと怒気が沸き起こるが
 3人に非は無いのでアン、ミカに3人を連れ出して貰った。

「いやーどうしたものかな? あれクロス領で1番の名工鍛治職人の作品で
 オーダーメイドだから帝都で売られたら買い戻せないんだけど?
 って言うよりこれ窃盗だよね? しかも一応俺の私財から作った武器だよ?
 主家に叛意を持っているのか? なぁ騎士団長?」

「いえ、申し訳ございません。ケビン様」

 完全に降伏状態の騎士団長に魔圧を上からと最近覚えた重魔法をかける。

「ぐ、お、お許しを」

「いや、もし3人の武器売られていたら分かってるな? 騎士団なんて要らないから全員の首飛ばすぞ?」

「「はっ!すぐに糞どもを連れてまいります!」」

 俺が魔法と魔圧を霧散させると2人はダッシュで出て行った。

「なぁハビス? 解体したら? 騎士団? 衛兵の方がいい動きしてると思うんだよなぁ……」

 騎士を持てるのが伯爵以上の爵位とは言え質が酷すぎるわ。

「俺、騎士の口上何度か聞いてるけど何処に行ったの?
 "弱きを助け、騎士の誇りを持ち、主家ひいては帝国の繁栄の助力を誓う"ってあれ嘘なの?」

 そりゃ各家で多少の口上は違えど大体は弱きを助け強き悪を挫く的な文言はどこにでも入ってる。

「後はハビスで頼むよ。俺は疲れたし盗賊を見たら即刻首を落としてしまいそうだ。
 父上には『公正な判断と厳罰を』と伝言と俺付きの騎士と騎士見習の正式な通達と今回の罰則を騎士団全員に知らしめろ?」

「はっ、かしこまりました」

 俺はムカムカとした気分でモヤモヤとながらふて寝した。

 しばらくふて寝をしてノックの音で目が覚めた。

「どうぞー」 

「うむ、父だケビンよ今回は済まなかったな。
 そして陛下より治水及び下水工事の専門家を配置して貰えることになった
 と言うより各家都市に人を置く事と更に薬師による学園での必修科目に加わる事になったらしい。

 武器は回収そして3人には謝罪と金を出した」

 俺は父上を見ると血糊が服に着いていた。

「父上、誰かアホうが出たのですか?」

「あぁ、伯爵家に対して子爵風情の後ろ盾で大きく出たアホは即刻首を飛ばした。
 5人のうち喚いたのは2人で他の3人はおとなしく奴隷落ちした」

 子爵ね。母上の実家だね。
 義母上の実家は文官系の侯爵家だからね。

「凄いね。自分の後ろ盾の孫が作った武器を奪って喚けるなんて。
 お爺様には苦情の手紙を書きますので父上もご一緒にどうですか?」

 父上、悪い顔してるな。

「ふむ、それは良いな? しかし手紙を書いて出すのも面倒だな。
 最早一緒に突撃するか? 帝都に居る訳だしな?
 ふふふふ。あんのクソジジイの顔を真っ青に出来ると思えば俺の気もスッキリするかもしれんな」

 やべっとばっちりくらいそうだわぁまぁ可愛い部下の為にひと肌脱ぐのも嫌じゃないしな。

 俺と父上はアホの首を2つ持ちケルバン子爵邸へと突撃する事になった。

 突撃! 迷惑貴族の説教タイム!!



 ケルバン子爵家は代々帝都で魔法師団に入っているエリート魔法師家系だ。

 その客間で今4人の人が顔を真っ青にしている。

 先代ケルバン子爵夫妻と現ケルバン子爵と執事だ。
 客間の机には生首2つ置いてある。

「うむ、久しいな先代ケルバン子爵とケルバン子爵。今回はこれの苦情を言いに来たのだ。
 何か私の騎士団の後ろ盾をしてるらしいな?」

 汗ダラダラだなおい、貴族の当主ならもう少し表情を隠す努力しようぜ?
 もしかしたら知ってる顔なのかもな。

「クロス伯爵、これは一体どういう事だ? 何も殺さなくても「俺の与えた武器を略奪したとしても?」は?」

 先代子爵が憤慨していた最中に俺が口を挟んだ。

「俺付きの専属騎士又は騎士見習いの武器をこいつらは奪ったつまり? 主家の子供が私財で与えた武器を奪った。
 反逆また不敬罪。そして尋問中に父上に対してケルバン子爵家が後ろ盾だとのたまわったのですよ?
 騎士はクロス伯爵家に忠誠を誓ったのでは?
 誓ってないと自分から話したアホはこうなっても問題ないと思いますが?」

 父上? そんなに殺気出してたら話せんぜよ?
 さっきからおっさんも爺さんも「ぐ、ぐぬぅ」しか言えてないぞ?

「私が斬った。これ以上干渉する様なら分かってるな?」

 いやぁぁ目が光ってる幻覚が見えるよぉ父上!
 何でこんなに怖いのに良い様に舐められてるのぉ?

 4人とも平伏しちゃったよ……

「話は終わりだ、帰るぞケビン」

「へーい、ハビス!」

 ハビスはやれやれとため息を着いていた。
 ハビスも中々酷いよね? 最後まで毅然とした態度で執事してよ!

「お二人共最後くらいしっかりとしてください」

 3人はケルバン子爵の人達丸無視で生首プレゼントして帰った。

「後の3人は侯爵家の方だから流石に先触れ無しで苦情を言いに行くには難しいから同じ内容を手紙で出しておく」

 俺は頷き父上と別れた。
 部屋に戻ると満面の笑みのムゥ、メロ、サツキが居た。

「ケビン様ありがとう!大好き!」

 ぐへぇ!クリティカルヒット!
 役得だけど6歳が11~13歳位の子供にアタックされてもカワユスで終わるんだよなぁ。
 やっぱ俺が成人する前に騎士団から引き抜くか?
 なんて3人に抱き着かれたり感謝を貰ったりした後に部屋を出て行ったその時。

 アンが耳元で

「ケビン様のエッチ、まぁ男の子ですものね?」

 と囁かれて肩がビクッと跳ね上がった。
 ブリキ人形の如くギギギと振り返るとアンが舌をぺろっと出してこちらを見ていた。

「な、ニャンの事かな?」

 思いっきり動揺して噛んだ。

「ふふふ、ケビン様? いやケイたまに視線がエッチになってるの
 私達女性の正騎士達は気付いてますよ? では失礼しますね!」


 と衝撃的な報告をされてアンが部屋を出ていくと同時に膝を着いた。

 前世でも女の人は男の視線に敏感と言われていたが……気付かれていたとは。
 ショック……もう寝よ。

 俺はこの日素敵な夢と何故か振られる上げて落とされる夢を見たのであった。

 この日を最後に俺は帝都に何があっても行く事は無かった。
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