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魔法研究の為の基盤作り

18話

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 次の日、俺達は朝早く伯爵邸に向かい準備をして
 公爵家にお昼頃到着して準備に使用人達が明け暮れていた。


 今カインがローズティア様にプレゼントを渡している。
 主役はローズティア様でサブが俺達だ。

 なので一応、主役の俺達は先にプレゼント交換をしている。

「ローズティア様、本日はお誕生日おめでとうございます。
 こちらお気に召したら幸いです!」

 カインが渡したプレゼントは金属で花の造形を象った細工の中に小さなローズティア様と瞳と同じ色の宝石をあしらったネックレスだった。

「ありがとうございます、カイン様。大切に致しますわ」

 そして俺にも早くよこせと言わんばかりの期待の眼差しを向けつつもメイドさんに貰ったネックレスを着けて貰ってる。

「えーっと? お誕生日おめでとうございます。
 んー俺のプレゼントは有形では無いのでちゃっちゃと使ってくれるとありがたいです」

「ケビン!失礼だぞ!?」

 カインに怒られた……俺は面倒くさくなり適当な対応をしたら周りに居るメイドさんに軽く睨まれた。
 だるくなって来たのでポケットから出すふりをしてマジックボックスから箱を出した。
 箱を開けてローズティア様に見せる。

「はい!この水晶に魔力を通してください」

「わ、分かりましたわ?」

 ローズティア様は素直に魔力を通してメイドさん達は慌てて外に行った。
 はっはっはーざまぁみろ!

「え? 結界・清浄・治癒を獲得しました? えぇぇぇぇぇぇ」

 そんなはしたない声出さないのお嬢様。
 そこに灰色の髪の毛をした男性と父上が入って来て真っ先に俺の肩をブルンブルン揺らした。

「け、ケビンお前その水晶どうやって手に入れた!」

「待って、父上待った!吐くから伯爵様に吐くからん? ん? 上手くね?」

「「上手くない!」」

 全否定酷い……

「2日前に市場の露店でとある高ランク冒険者に偶然出会い格安で譲って貰ったんですよ?
 誰にも渡せない変わったプレゼントを贈りたいと言ったら気に入られて売って貰えました」

 カースド公爵閣下がノォォォとも言える悲鳴にも聞こえる叫び声を上げた。

「公爵閣下どうされました!?」

 父上そりゃ驚くよね?

「クロス伯爵、お主の子供はどれだけ幸運に満ちておるのだ!
 トリプルスキル水晶を格安で売ってもらったなんて……」

 今度は父上がノォォォと悲鳴を上げた。
 俺はそれを見てケラケラ笑った。

「ケビンそれがあれば1財産になった物を……」

「いや、プレゼントを贈りたいって本気で言ったから譲って貰ったんですよ?
 それを反故したらその冒険者とは縁が切れちゃいますよ……
 中のスキルもバッチリ確認していたので多分あちらは
 俺が貴族の子供と判断していたのでカースド公爵家の次女の誕生日パーティーに贈る物を探していたと分かってたのですぐにバレますよ。
 高ランク冒険者との縁と自分のお金どっちが後々有効か判断してくださいよ」

「むぅ……そうだな。その冒険者は?」

「秘密です!」

 そんな会話をしている後ろではローズティア様と公爵閣下が魔法スキルを確認していた。

「凄いです!凄いです!」

 慌てたり、喜んだりでメイドさんがお色直しをする為に連れ出してしまった。

「ケビンよ感謝するがほんとに良かったのか?」

「カースド公爵閣下、私は魔導書5冊手にする事が出来ましたし
 そもそも伯爵家に援助等、貰ってないのでこれで良かったのですよ」

 そう、俺は計算機のお金が入って来て以来父上から小遣いを貰わなくなった為100%俺の金なのだ。

「ローズティアは君達と同い年だ。学園でも仲良くしてくれると助かる」

「「はっ!」」

 面倒事がちゃっちゃと片付いた所で俺は待機所でだらけ
 パーティーが始まる10分前に会場に移動し専用席でボケーっとしていた。

「カースド公爵家ローズティア様のお誕生日にご来場頂きありがとうございます。
 それではカースド公爵一家入場」

 司会の人の声に合わせて音楽が奏でられると入口が開く。

 カースド公爵様と奥様と長男・次男の計4人が入って来て

「本日の主役、エスコート役はクロス伯爵家嫡男カイン様。ローズティア様のご入場!」

 魔法か魔道具でステージを照らされ2人が会場に入って来た。
 こういう演出は世界が変わっても変わらないなぁと思いつつ席に2人が着くと公爵閣下が挨拶を始める。

「我が娘の誕生日に来て頂き感謝する。
 エスコート役を頼んだクロス伯爵家の嫡男カインと次男ケビンも誕生日月が近かったので同時開催しておる。
 皆、今日は楽しんで行って欲しい、では乾杯!」

 パーティーがスタートしてから2時間程俺にとっては地獄だった。

 高位貴族からは

「あ、あんたの為に来たんじゃないからね」

 というツンデレ令嬢やら

「フン、取り入ろうと必死だな」

 嫌味君等

 低位貴族は擦り寄りたく何かと約束を取り付けようと罠の嵐だ。
 つか親同伴で来んなよ!そして何故俺は1人なのだ!?
 おかしいだろ? だから親同伴で俺に罠仕掛けに来るんだよ!

 そんな話が終わる頃に公爵家執事が慌てて俺をとある部屋に案内して来た。
 絶対面倒事だと思うよ……部屋に入ると

 桃色の髪の毛をした3人が待ち受けていた。
 俺は膝を着き、頭を下げたが

「よいよい、今回は個人的な訪問だ気にするな座ると良い」

「はっ!皇帝陛下お初にお目にかかります。  
 クロス伯爵家が次男ケビン・クロスです。
失礼します」

 そう挨拶して俺は対面の席に座ると目の前にはアナスタシア皇女殿下とフローリア皇女殿下が居た。

「うむ、昨日はアナスタシアの危機を救った功績にお礼と何か要望はあるか?」

 うーん、別に要らねぇとは言えないよなぁ。

「そ、それでは治水工事又は下水工事の専門家を我が家に紹介して貰えませんか?」

 皇女殿下達は何言ってんのコイツ? と、皇帝陛下はえ? という表情になった。

「ど、どういう事だろうか?」

「はい。クロス家の書庫室の本に病と清潔な事に関する本があるのですが……
 帝都は下水道の観念が強く街中は綺麗です。
 しかし、我が領は代々勇猛な武官が多かった為にその下水の知識が乏しいのです。

 私はそれが病に繋がってしまうのでは?と危惧しております。
 各領のそう言った根幹知識が抜けているといつ大病が蔓延するか分からず
 市井では通称病魔と病気の悪魔と話しているのです」

「ほう、続けよ」

「帝都と各領の違い……それは初代皇帝陛下の知識量の違いと邪推しております。
 初代皇帝陛下は病にも詳しかった可能性を感じます。
 なので帝都では庶民でも入れる公衆浴場がありますが他の領では川や井戸での水浴びが基本です。
 汚れを井戸の周りで流したら土に染み込み汚れが戻り生水では飲めなくなる何て事もあります。

 トイレにしても帝都は貧民がお金を得る為に公衆トイレを設置し掃除を公共事業にしてますよね?

 それも結局街が綺麗になる要因になっていると愚考致します」

「ふむ、よし!良かろう。クロス伯爵に話を聞いてもお主は……
 変人や病弱だから見せれぬと聞いておったがぶっ飛んでおるの?」

 あ、やべっち。やり過ぎた……

「私の夢は自由な研究と人生なので必死に後継から逃げているのが原因ですね」

「そうか、そうか。しかし学園には通うと聞いておるぞ?
 その時はアナスタシアやフローリアとも仲良くして欲しい」

「は!あ、そういえば皇帝陛下にお聞きしたいのですが?
 我が家では完全に私は後継者から降りたと言うのに水面下で
 色々していて面倒くさいので学園には平民又は寮生活を望むのはありですか?」

 そう、学園には優秀な商家又は優秀な平民。
 スカウトされた子供も集まるので寮がある。
 しかし高位貴族は帝都に邸宅を持っているのであまり好まれない。
 しかし何代か前の皇子殿下が髪の色が桃色では無く
 城住まいがツラいと言って寮生活と学生生活を平民として暮らしてたと噂を聞いた事がある。

「うむ? 良いぞ? クロス伯爵には私から言っておこう」

 話が切れるとアナスタシア皇女殿下が立ち上がりカーテンシーを取った。

「ケビン様、昨日は危険な所助けて頂きありがとうございました。改めまして第4皇女アナスタシアです」

 するとフローリア皇女殿下も立ち上がり挨拶をする。

「お姉様に着いてきました。ケビン様と同い年の第5皇女フローリアです。
 学園でもよろしくお願いいたしますわ」

 俺も立ち上がり、最高儀礼をとり

「丁寧なご挨拶痛み入ります。クロス伯爵家次男ケビン・クロスです。
 アナスタシア皇女殿下におかれましては無事で安心致しました。
 フローリア皇女殿下は学園でご一緒になった際にはよろしくお願いいたします」

 そう告げて少し談笑した後、3人は帰って行った。

「はぁぁぁぁぁぁ。緊張したぁぁぁ」


 これでどっさり疲れた俺はハビスに連絡を入れて普通に帰った。

 後日、父上が「ケビンゥゥゥゥゥゥ」と叫びながら追いかけ回されたのは俺のせいじゃないっ!

 公爵閣下は皇帝陛下が来て俺と会話して疲れきった事を理解して帰ったのを微笑ましく見ていたが
 ローズティア様は頬を膨らませ不機嫌だったのは気にしない。
 もう無理、胃が痛いさーってね。

 俺はこうしてドタバタ帝都を過ごしたのであった。
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