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魔法研究の為の基盤作り
16話
しおりを挟む帝都に夕方着いた俺達は宿に1泊した訳だが。
「ケイの料理の方が美味しい……」
とムゥが絶賛ぶぅ垂れてる。
「いや、ムゥ、メロ、サツキももう作れんじゃん!」
コイツらカレーもどきを食わしてから料理にハマって最近じゃ俺より美味い料理普通に作りよる。
塩胡椒だけじゃなくて出汁の文化を広めたのは失敗だったかもしれん。
味が薄いんだよな? 勿論薄いとは食材の味何だが。
やはり出汁があると無いとでは味の広がり深みが違うので
これに慣れると普通に他の店が美味しく無くなるのだ。
まぁ肉単体の質が良いのでお肉は美味いだけどね?
そこは冒険者だからどうしても生産者? の俺達には新鮮度には叶わない為
数ランク下のお肉でもしっかり処理すれば中々対抗出来るんだよなぁ……
「はいはい!注目!今日はどうする? 取り敢えずプレゼント確保しに行かなきゃならないからさ。
護衛2人以上希望するんだけど行きたい奴! その他で手が空いてる奴は帝都の冒険者ギルドで一応情報収集だけしてその後は自由!
あ、見習達は誰か面倒見てくれ」
一応冒険者とはいえ毎年帝都でも新人女冒険者が拉致される事件が
普通にあるので最低でも1人は着けとかないと歩かせる事なんて出来ない。
「ハンナは勿論ケビン様に着いて行きますよ!」
「んーじゃあ僕も着いて行こうかな?」
お!珍しい、ムクロも同行か!
「私達はムゥ達を見てます!」
「はい!」
ミカとアンは安定の母性丸出しだよなぁ。
「なら俺は情報収集に行きます」
うむ、ダイトはいつも通り堅いな。
「じゃあお財布渡すぞ!人が多いからはぐれるなよ? スられるなよ」
俺は財布を配り出発した。
最初の行先は商業ギルドでぇす!
いや、聞くな聞くな。父上に宿代ねだるの忘れただけだ……
3日分一気に払ったら懐が寂しくなったんだよ!
お金をおろして気を取り直して出発!
俺達は帝都の市場に向かうのであった。
◇
帝都の市場は商業区の広場と大通りに沿った場所で広場は露店や屋台、大通りは店を構えた人達が多い。
まぁ、店と店の細い路地や建物間を借りて露店、屋台を開く猛者も居るけどな。
1人の露店を開く褐色肌の女性が目に入る。
「むむむ、なぁ店主? これさドコ産?」
「店主だなんて堅いなぁ坊や。ダンジョン産の魔導書さ? 欲しいのかい?」
彼女を見るとほう、中々強いな。
「お姉さん強いね? もしかして自分で調達してる?」
お姉さんの雰囲気がこちらをはかる目に変わった。
「ふん、坊や中々研鑽してるね。重心の取り方に腰に隠してる武器。魔力量もその歳にしては多いね?
どこぞのお貴族様かと思ったが少し毛色が違うね?」
「ほう、気が合うね。俺は自分の趣味や興味の為なら立場を捨てるタイプだ。
今も冒険者をしてるよ?」
そこでがっちり握手をする。
多分この人も相手の力量不足なら吹っかけ、気に入った相手なら多少赤字でも売るようなタイプの気がした。
「えぇ……どこでそんな意気投合するんですか!」
ハンナが何か言ってるけど気にしないぞ!
「店主名前を教えて欲しいんだが。俺は冒険者名で名乗るぞ?
クロス領所属のケイだ。ランクはDだ。これ以上は上げると面倒事に巻き込まれるから上げるつもりは無い」
そこでキョトンとした店主は吹き出した。
「いーね!いーね!アタシはカロン、所属領は無しSランク冒険者だよ」
ギョッとしたのは全員だろう……
いやSランク冒険者は変わり者が多いと聞くけど帝国に20人しか居ないSランク冒険者の1人がまさか露店開いてるとはな。
そしてSランクになると所属は無くなる。
緊急時に国が頭を下げて対処を頼む存在なのだ。
「まさか……Sランクだとは。魔導書は買うよ。
それと今回は女の子の誕生日パーティーに呼ばれててな。
何か良いのないかな?思いっきり変わった誰も渡せないプレゼントが欲しい」
「ふーん、お貴族様の割に変な奴だな?」
お前が言うなお前が!と思ったがいきなり手を前に差し出された。
これは魔法系戦闘を行う人達がやる力試しだ。
日本で手押し相撲ってあるだろう? それの魔力版と思えば良い。
俺は手を握り魔力を流しカロンも流し最初は弱めに拮抗させる。
「坊っちゃま、私が合図を致しましょう。開始!」
最速で魔力を俺は手に流すがくそっ!止められた上に流石に格上だ。
流れ出る魔力の洗練さ量共に一流を超えてる。
カロンの目を見ると、あ、俺終わったと認識した。
戦闘狂やコイツ絶対、獲物見つけた時のハンナ達と同じ顔してる。
青髪の綺麗な髪がフワッと魔力で浮かび上がる。
俺は咄嗟に魔力を螺旋させ貫通力を上げて対応したが
それも一瞬で真似られた所で完全に拮抗されカロンから待ったがかかった。
「そこまでだねぇ」
「はぁはぁはぁ、流石にSランク勝てる訳無いだろ……」
すんごい笑顔でカロンは腰に着けた腰袋から魔導書5冊と羊皮紙の丸まった者と水晶1つを目の前に出した。
「いんやぁケイお前さんの実力は……魔法か魔力操作はAランクに差し掛かってる。
でも体と身体操作はD上位かな? 総合してもCランク~Bランクだね。
それでこの商品お前なら幾らで買う?」
俺は魔力を目に集め魔導書は背表紙を見る。
「げ!こりゃ買えないわ……白金貨全部で1000枚以上着いてもおかしくない」
俺はガックリ項垂れた。
「坊っちゃま?」
ハビスには価値が分からなかったか……
「魔導書は魔力操作の応用、発展さらに眼力系統の取得方法、重魔法の理論、回復魔法の基礎理論、無詠唱の取得方法の本、羊皮紙は多分スキルスクロール、水晶はスキルか複数スキル又は魔法の取得水晶だよ」
カロンはそこでニンマリ笑った。
「いんやぁ正解だよ!スキルスクロールは疾走、今のお前さんに必要そうだったからな。
水晶は結界と治癒と清浄の魔法スキル取得の水晶さ」
カロンの言葉に皆唖然とする。
「か、買えないですね……オークションに出たら最低ケイの言った通りの値段以上スタートですね」
ハンナもトリプルスキル獲得水晶なんて思いもしなかったのだろう。
「ケイ、お前さん幾らなら出せる?」
「手持ちが金貨400枚で頑張ってもプラス200枚だな」
カロンはそこで驚いた顔をした後、厳しい顔付きになりちょっと威圧を込めた言葉を発した。
「それは? 本当にお前の金か?」
あー貴族のお小遣いって思ってるのか?
俺は魔力を張り威圧に耐えてマジックボックスから計算機を取り出す。
その行動にキョトンとしたのはカロンだ。
「んー最近学園とか商人の間で流行ってるやつだな? うちのクランでも経理が使ってるぞ?」
へぇこいつクランに入ってるんだな?
「これの保証契約で稼いだ」
それに驚いたのはハビス以外全員だった。
「カッカッカッ!お前さんがそれの発明者か!売った!これから帝都を見るなら多少金は必要だろ?金貨350枚で良いぞ?」
「本当か!?あ、水晶の方は封印処理頼む。そのままじゃマジックボックスに入れる事出来ないからさ!」
「おーう良いぞ? アタシ達のクランはバンバン水晶手に入れてるから箱は沢山あるしな」
そう言うとアイテムバッグから箱が1つ出てきた。
「スキルスクロールはすぐに使いな?」
そう言われたので俺はスクロールに魔力を流すと頭の中に疾走の使い方がバッチリインストールされた。
へぇ、スキルを後付けで付けるのはこんな感じで知識が紐付けされる感覚なんだな。
「よし!これで大丈夫だ」
本の上に箱を乗せ俺に渡してきたので俺はマジックボックスから金貨の入った袋を7袋出した。
「金貨50枚ずつにしてある確認してくれ」
カロンは一切確認すること無く袋を受け取りしまっていく。
「いんやぁ大丈夫さ、袋は商業ギルドの袋で開封してない信用するさ? 足りなかったら商業ギルドに乗り込むから」
俺はマジックボックスに本と箱を入れて
「カロンいつかまた冒険者として今度は会いに行くよ!」
「おう!ダンジョン都市に来たらギルドに問い合わせしな!お前さんなら何時でも良いぞ?」
そう挨拶してホクホク顔で宿に帰り俺は全員に部屋にこもるからあとは自由行動を言い渡した。
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