変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜

赤井水

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魔法研究の為の基盤作り

10話

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 冒険者ギルドーー

 規定では洗礼式が終わった5歳から登録可能で
 雑用から魔物討伐や緊急事態時の街の防衛まで担う何でも屋である。

 ーーに着いた。

 まぁ、普段からお忍びで結構来てるけどな!
 扉を開けると

「お!ケイ久しぶりだな? 短剣に皮鎧って事は登録か!?」

 前に隠密ハイドの技術を教えて貰った斥候のジェイドにすぐに声をかけられた。

「ジェイドさん久しぶり!洗礼式も終わったし親の知り合い達と
 その子供達も一緒に登録するならって許可貰ったんだ!」

 ジェイドは後ろに居るメロ達やハンナ達を見て瞬時に力量を見たようだ。
 この人めっちゃ有能だよなぁって思ってたら。

「おっふ、中々強い奴が居るしバランスも良さそうだ優男は油断してると噛みつかれそうだな」

 えぇぇぇ!まさかのムクロが1番の難敵なの?
 俺が振り返るとムクロがふふふと微笑んでた。怖ぇよ。

「よし!ケイお前さん達だけだとアホ共に絡まれるかもしれんから俺も行こう!」

 そう言って俺の前をジェイドが歩くと皆視線をそらした。
 この人も有能だと思ってたけど何者なんだよ!と叫びたかった。

「あらジェイドさんその子達は?」

 受付嬢さんが驚いた様に俺達とジェイドを見る。

「アミカ、このケイは俺もたまに技術を教えたり話をするお気に入りさ。
 ケイとその仲間達が冒険者登録するらしいから。
 試験官も俺がするってギルドマスターに伝えといて!」

「えぇぇぇジェイドさんって何者!?」

 そこで驚いた雰囲気を取ったのはギルドの酒場に居た冒険者と受付嬢だった。

「え? えっとケイ君だったよね? ジェイドさんは
 この街のギルドに4人しか居ないAランク冒険者の1人ですよ!あ!私はアミカです!」

 ギョッとしたのは俺達だった。
 Aランク冒険者は街に3人居れば良い方でダンジョンがある街には
 そこそこ居る位しか居ないのが現状だったりする。

 因みにこの街のダンジョンはCランクダンジョンで
 Cランクパーティなら踏破出来るからあんまり上のランクの人は居なかったりする。

「そ、そんな凄い人に技術やほれ冒険話聞かせてぇ何て言ってたんだ。
 俺は……ごめんねジェイドさん」

 ジェイドさんは笑っていた。

「気にすんな!俺が好きでお前さんにあれこれお節介してたんだからな!」

 その後俺達は各自登録して受付嬢のアミカから説明を受けた。

 簡単に要約すると

・冒険者のランクはG~Sランク

・冒険者のパーティランクは1番上のランクの人が過半数を超えてる場合そのランクそれ以外は1つ下のランクになる。

・ランクは入会時の試験である程度決まり尚且つそれは個人で拒否出来る。

・依頼を受けて真面目にしていればDランクまでは上がる。

・依頼の報酬は原則均等割で余りに酷い場合はギルドで要相談。

 そして最後に問題が起きた……ギルドの登録名は何でも良いけどギルド口座で俺の名前がバレた。

小声でアミカが話しかけてくる。

「あ、あのケビン様?」

俺はギョッとしてしまった。
 冒険者ギルドのプレートに血と魔力登録をした時に
 ギルド口座があるので連結しようとしたら名前が違う事に気付いたらしい。

「えっと、アミカさん? ケイでお願いします。それがバレると問題になるので」

 ちょっと顔が青くなってるという事はあちゃー気付かれたっぽいな。

「俺は俺の目的の為に真面目に頑張るつもりだから。寄生目的では無いから安心して。
 俺、個人で依頼は雑用以外受けるつもり無いし」

 その言葉に驚きつつも無言でコクコク頷くアミカさん。
 よし!隠蔽完了!と思ってたら呆れ顔のジェイドさんとハンナ達が俺をジト目で見ていた。

 試験会場の訓練場に辿り着くとジェイドがケラケラ笑いながら

「えっと俺は不敬罪になりますかねぇ」

 と話し始めたので諦めた。

「いやなんの事かなー」

 内心無視してくれぇって思ってたら

「ケイ? 大分抜け出してたらしいですねぇ」

 後ろから凄い圧を感じて冷や汗をダボダボかいた。

「さ!さぁ試験をしちゃいましょ!ジェイドさん!さぁ」

 俺達はその後、魔法と武器を持った戦闘を行い終わるとジェイドの批評は

「前衛が少し多いが……まぁ後衛むぅケイお前さん中衛に居た方がバランスが良いな。

 ダイトがタンクでタンクの後ろでアンだな。
 ミラとハンナが前衛で中衛はムクロとケイその他の子達は後衛だ」

 俺は最初に聞いた得意な事を聞いた時から大体決まってたポジションで
 自分がどこに入るか決めかねていたのでジェイドには言って貰えて助かった。

「さて子供達以外はDランクでハンナって言ったか?
 お前はCランクでも良いがどうする?
 あ、子供は全員一応Fランクだ」

「ケ、ケイ? ど、どうしたら良いでしょう?」

「え? どっちでも良いでしょ? どっちにしろDランクパーティ確定してるんだからさ?」

 そんな時だった。

「本当に冒険者になるのですかな?」

 俺が声のした方に振り返るとそこに居たのは
 歴戦の戦士の貫禄を醸し出す筋骨隆々のむっさいオッサンの冒険者ギルドマスターのウォーレンだった。
 何回か会ったことがあるので当然俺の顔は知っている。

「げ!? いやなんの事ですか? 冒険者になりに来なかったら試験なんて受けないですよ?」

「げ? って思いっきり言ってるじゃないですか?」

「あははー、ギルドマスターさん? 俺は1個人として冒険者になりに来たので敬語は要らないですよ?」

 そこでウォーレンはため息をつく

「あぁわかったさ。好きにしろその代わり冒険を楽しんでくれよ?
 ジェイドの試験結果はかなり正確だからそのままでいいぞ」

 ニヤッと笑って訓練場から出ていった。


 俺達とジェイドはその後すぐに受付に戻り

Cランクーハンナ
Dランクーミカ、アン、ダイト、ムクロ
Fランクーメロ、サツキ、ムゥ、俺ことケイ

 となってパーティ名は『探究の泉』とした。

「依頼は今日は常設依頼だけしよっか!」

 そう提案して俺達はゴブリン討伐と薬草採取を選んで昼近くになった時間から外に出る事にした。



 クロス領がある地域は山と平原に囲まれた場所で
 山・森・平原・沼全てあるので当然魔物も沢山ある。

 代々猛将と言われる武官家の名に恥じぬ当主がバリバリ魔物を屠って行くのと
 同時に冒険者達も集まる事によって街も発展してきていた。

 王都に向かう道とは逆側の門を出ると目の前に山があり裾野に森が広がっている。

 ここの森は手前側には弱い魔物が多く生息して奥に進むと魔境が広がって居るが資源はとても豊富だった。

 今、俺達はそんな森の中に居るが……

「おっ!これ眠り草じゃんラッキー」

 そんなお気楽な声が響いていた。
 メロ、サツキは緊張した様子とムゥは俺の事を見て興味津々の様子で
 ムクロはちょっと怖い……

「ふふふ、何故毒草は誰も取らないのでしょうかね? あ、麻痺草も!」

 俺とムクロのそんな様子に皆呆れていた。

 そんな時にムクロが顔を上げて

「接敵!右前方から3~5!」

 1分もしない内に汚い声が聞こえてきた。

「グギャギャ!グギャー!」

 ゴブリンだね。

 俺がまず魔力弾で牽制してサツキやメロが魔法を使い倒す。
 ゴブリンに正騎士が負ける訳無いので見習と俺だけで倒すのだ。

「ケイ? 魔力弾だけで実際倒せますよね?」

 ハンナがそう確認してくるので俺は頷く。

「でもサツキやメロそしてムゥだって成長しなきゃでしょ?」

 うーんと悩むハンナに仕方ないので

「じゃ手前の森で2手に別れよう。ダイトとムクロとメロとムゥ。
 なるべくメロとムゥに経験を積ませて尚且つムクロが薬草採取を教えて?」

 そう伝えて4人は俺達と反対方向に向かって行った。

「さて、ミカ、アンは俺とサツキが無理だと判断したら介入。
 ハンナは接敵後、分断又は遠距離攻撃を持つ敵が出たら素早く殺して!」

「はい!」「了解!」「わっかりました!」

「あのー私は?」

 サツキが不安そうな表情をする。

「サツキはゴブリンや他の魔物が出たら魔法で倒す。
 それまでは俺と薬草のお勉強ね? 警戒は他の3人がしてくれるし
 ハンナ、ミカ、アンがこれから薬草の種類を覚えるより俺達が覚えた方が早いからね?」

 するとサツキは笑顔で頷き、ハンナ、ミカ、アンは少し悲しそうな視線を俺に向けてきた。

「ハンナ、ミカ、アンは行軍中に警戒行動しながら薬草採れるの?
 それが出来るのは見習や後衛達だけだよ?
 俺達は今は冒険者をしてるけど君達の本分は騎士でしょ? 辞めるなら教えるけどね?」

 そう言うと3人はやっと頷き警戒行動をし始めた。

 5分程俺とサツキが薬草採取していると5匹のゴブリンと出会した。

「2と3に分断します!」

 ハンナが突っ込んで行き2匹を右に蹴飛ばした。
 そして俺は短剣を引き抜き身体強化をして3匹の方に向かい先ずは1匹首に短剣に魔力を纏わし切る。
 俺と同じ位の身長のゴブリンはとても気持ち悪い。

 魔力弾で頭を中心に残り2匹に飛ばしサクッと胸に短剣を刺した。

 フゥと息を吐き後ろを見ると丁度サツキが氷魔法でゴブリンの頭を刺した所で
 残り1匹はアンが槍で押さえつけていた。

「んーちょっと過保護かな?」

 サツキ、ムゥ、メロは今は10歳なので当たり前なのかもしれないけど
 騎士見習ならそこそこ鍛錬しているしゴブリンやスライムなら
 油断しなきゃ倒せると思うんだけどなぁ
 そんな時にハンナに後ろから話しかけられた。

「あの子達は訓練をあまりしてませんよ?」

「はぁ? じゃあ何のために騎士見習してんの?」

 そう、俺は呆れつつも聞き返した。
 ハンナはちょっと悲しそうな表情をしつつも答えてくれた。

「上位騎士達は訓練より書類整理に追われている為に
 中位騎士達は彼女達ですら女として見ている為に近付けさせれないのですよ」

 俺はダメだこりゃと諦めた。

「終わってるな……カインには上位騎士達
 騎士団幹部には文官を副官として事務処理専門で付ける様に指導しないとダメだな。

 そもそも騎士団が書類整理してる事自体、意味が無いか」

 後で父上に相談しようと決めた所でサツキが残りのゴブリンを倒したので
 俺達は討伐証明の右耳と胸にある魔石を取り出しその他はひとまとめにして森を進む。

 その後もゴブリン討伐と薬草採取をして歩き続けて
 日が傾き始める前に俺達は森を出た所で待機しているとダイト達も戻って来た。

 そこで街に戻りながら成果を各々確認してまとめてハンナに報告に行って貰った。

 ゴブリン討伐5匹で銀貨1枚
 薬草は基本が癒草で10本1束で銀貨1枚

 今回はゴブリン45体と各種薬草の買取で
銀貨25枚つまり日本円で2万5000円になったので
 8人で割ると銀貨3枚と端数はパーティ口座を作り貯めておいた。

 安いなぁ。まぁそもそも常設依頼なんてFランクがするものと言われてるしな。

 俺達は屋敷に戻るのであった。
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