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魔法研究の為の基盤作り
8話
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魔物を倒したいと話をしてから1ヶ月。
ようやく日程が決まった。
そこでハンナが所属する部隊の隊長と騎士団長に
日程と人事の調整の話し合いをする為に騎士宿舎に向かい
案内された部屋に入るといつも指導してくれる騎士団長と
スラッとした体型の多分隊長さんが居た。
「初めましてケビン様、クロス家騎士団第3部隊隊長のワクロです」
「おぉ、俺に様は要らないよ。よろしくねワクロ。騎士団長も久しぶり!」
そこでごつい騎士団長が俺に笑顔を見せて
「最近は滅多に剣術の稽古に出て来てくれませんからなお久しぶりですな」
いや、カインが武神の指針を貰って期待を寄せ、
その期待が膨らむほどネラ義母上が毎回参加するから参加しづらいんだよ!
「いやぁ、だってな……カインだけなら参加するけどな? 後は察してくれ」
俺は長椅子に座りそう告げる。
「あれは少し過剰ですからなぁ。はっはっは!」
「まぁ、良いや。それで魔物を倒したいという話は聞いてるでしょ?
上位の騎士は借りるとネラ義母上や母上にバレるけど
中位や下位の騎士なら別に居なくても変わらないでしょ? だからハンナ貸して」
そこでワクロが声をあげた。
「どうしてハンナなのでしょうか?」
「ん? 前にお披露目パーティーの日に先輩騎士に多分、無理矢理
俺に質問してこいと言われて一切躊躇せずに俺に質問してきた事と
その後一緒に訓練や模擬戦をしてかなり実力だけは上だと認識してるからかな?」
そこで騎士団長とワクロは苦い顔をした。
「ここの騎士団は部隊長と幹部は実力主義ですが、他は後ろ盾が無いと上に上がれませんからなぁ。
そもそも当主様のアレクサンダー様に着いて行く実力が無いと
早々に死んでしまうので後ろ盾の連中達も中間の上位を維持しようとしますからな」
うへぇ父上どんな突貫攻撃繰り返してるんだ? 良く死なないな。
「それで給金ってどうなってる? ハンナ達の返答次第では
個人的に俺が雇っても別に良いと思ってるんだけど?」
「はっはっは。それは難しいのでは? 月に金貨3枚ですぞ?
見習は金貨1枚の大銀貨1枚ですな!」
こっちの物価から見る貨幣価値は前世とあまり変わらないのだけれど……低くね?
見習は成人前の子もこの金額だと逆に高ぇな。
バランス悪いなぁ随分と。
「え? そんなに低いの?」
そこで騎士団長とワクロが固まった。
「「は?」」
「俺の資産から出すなら危険手当含めても月に金貨4~5枚出しても良いんだけど?
見習の子は先輩達から学ぶ機会でもあるから大銀貨1枚上げる程度しか優遇しないけど」
ワクロはそこは理解出来ない様で首を傾げた。
「ワクロ隊長さんはもし見習が他の騎士達と同じ金額貰っているとバレたらどうなる?
研修目的で魔物退治に行っているのに」
そこでハッとしたようだ。
「確かに不平不満が溜まります」
「それだけでは不十分だ。最悪、そのお金ごと奪われたり『調子に乗ってる』と
見習達を食い物にしたり体の関係を強要までするだろうな?」
「ケビン様とは言えどそれは侮辱に当たりますぞ?」
騎士団長が武威で俺を威圧するが俺も魔圧を最大限かける。
「俺さ目の前でハンナが無理矢理質問してこいって
強要されてんの見たって言ったの聞いてなかった?」
ワクロ隊長は俺の魔圧に対抗するのを諦め顔を青くしている。
体の成長と共に俺の加護とも言える好奇心を満たす度に魔力は増えて居るのだがまだ足りないのだ。
「す、すみません。聞き取り「するなっ!」な、何故でしょうか?」
俺が大きな声を出した上に感情が膨れ上がり
声に魔力が乗った様で騎士団長も少したじろいでいた。
「すまん。少し興奮し過ぎた。もし聞き取り調査をして今まで何も無かったのに急に注意なんてされたら?
その騎士の行動は多分誰が密告したかを確認しようと行動する。
その時に被害を受けるのはこれから成長するべき今はまだ弱き立場の人間だ。
やるなら一斉処分しろ。聞き取り調査をするにしてもだ。秘密裏にやった方が良い。
むしろそう言う事をしている奴らが居なくならずに全員俺が抱え込んでそいつらを追い詰める方法だってあるんだ。
保護した騎士達に一時的に冒険者登録して自分で稼げばそれなりに暮らせるのだからな?
まぁその後、戻ってくるかは本人次第だがな」
2人は黙り込んでしまった。
「ハンナに任命権を秘密裏に渡す。
ワクロ隊長はその傲慢とも言える騎士にバレないように護衛任務を出してくれ」
「はっ!誠心誠意!必ずや達成します!」
ん? どうしたよ隊長さん?
隊長は一礼して出て行った。
「いや気合い入り過ぎたろ? しかもいつから行くかまだ話し合って無いんだけどなぁ……」
「ガハハハ。ありゃケビン様に心酔しちまったなぁ。
この色男!先程の俺に迫る魔圧にやられちまったんだろうぜ!
そう言えばいつから行くんだ?」
騎士団長も部下が居なくなりフランクに話しかけてくる。
「いや別に俺は屋敷に居ても居なくても関係無いからな。
騎士達や騎士見習の準備が整えば何時でも良かったんだ。
騎士団長それと、そいつらには得意武器を使わせるように。
槍が得意なのに剣を使います何て発言する護衛要らないからよろしく」
「そう言えばご当主様も槍に興味が出て来て居たな。
ケビン様の入れ知恵か!有難い事だ。
剣が苦手なせいで上に上がれない奴らが最近物凄い勢いで上に上がって来てるからな!」
やっぱり居たんかよっ!
逆に良かったわ、不得意武器で死んだ何て悔やみ切れない位悔しいだろうよ。
俺はそれだけ注文をつけると騎士団舎から出たのであった。
◇
夕方ハビスがたずねて来た。
「ケビン坊っちゃま。騎士団の方で選定が終わった様です。
何日後に向かうか聞いてこられてますが?」
「そうだなぁ。何もこの屋敷から通う意味が見いだせないんだよなぁ……
なぁハビス勝手に家借りて生活しちゃダメかな?」
「クククッ、ケビン坊っちゃまダメと言われてもどうせやるのでしょう?
最近は最早、食事も一緒にされないのですから気付かれるまでしてみたら良いのでは?」
「だってカインの自慢話とあーだこーだ言ってるだけのクソまずい食事する意味あるか?
ひっそり料理長には3日後から要らないと言って貰えるか?
明日、屋敷を抜け出し商業ギルドで家を借りて来るよ。
そう言えば何人で来るって?」
「5人と見習が3人だそうで、ケビン坊っちゃまと顔見知りの人を選んだ様子です」
「あーあの8人か、わかった。
騎士団寮に戻らなくても良いように準備進めてって伝えといてくれ」
「かしこまりました。それでは坊っちゃまにはこのローブと皮鎧と短剣をプレゼントしましょう」
そういうとハビスはマジックボックスからローブと皮鎧と短剣を取り出した。
「ローブと皮鎧はダンジョン産なので自動で最初に着けた人の大きさに変わります。
ランクが高ければ使い回しも出来ますが
この皮鎧はランクが低いので最初の読み取りで大きさ固定になります」
そう言うとハビスは俺に皮鎧をつけると自動で大きさが変わった。
「これはしっかりと手入れをすれば1年から2年は体の大きさが急激に変わらなければ使えます。
ローブはもしもの時に魔力を流せば気配隠蔽の効果が出ます。
隠密の技術を持っている坊っちゃまなら更に気付かれる可能性は減るでしょうな」
俺はローブに魔力を流してみるとローブ自体の気配が希薄になるのがよくわかった。
「素晴らしい装備ありがとうハビス!街で適当に買おうと思ってたんだけど助かった」
「いえいえそれでは各所に連絡をしてきます」
そう言って一礼した後、ハビスは部屋を出て行った。
◇
俺は次の日、昨日ハビスから貰ったローブに魔力を流しながら街へと向かい商業ギルドへ向かった。
受付へと向かうと。
「本日のご用件は何でしょうか?」
「ギルドマスターのセバスチャン殿又はサブギルドマスターのアレンサリーナ殿をお願いいしたい。
ケビンが来たと言えば対応はしてくれると思うが」
少し困った様子の受付嬢の横からおっさんが出て来て怒鳴りつけてくる。
「は? ガキがいきなり来て何を言ってやがる。
商業ギルドという組織のトップはそんなに簡単に会える安い存在じゃねぇんだよ帰りな」
そう言って手を振りしっしとする。
どうしたものかなぁ。
確かにガキが来てトップと繋いで欲しいと言われて『はい、かしこまりました』とは言いづらいよなぁ。
「これだけは言いたくなかったが、領主の次男が来たと伝えてくれ」
「不敬罪だぞ? 領主を語った奴なんておい!警備員このクソガキを捕まえろ!」
「えぇ……これホントならお前が不敬罪だけど良いんだな?」
「黙れっ!」
警備員2人が俺に近付いてくる。
俺はため息をつきながらどうしたものかなぁと少し戸惑っていると救世主が現れた。
「あら? これはケビン様。本日はどのような用件ですか?」
後ろを振り返るとアレンサリーナさんが居た。
「おぉアレンサリーナさん助かりました。
セバスチャン殿かどちらかに会いたかったのですが。
信じて貰えなくて後少しで警備員に捕まってました」
商業ギルド内が静まり返った。
「先程から怒鳴り声が聞こえてましたもんねぇ。
それはそれは大変失礼致しました。
という事でそこの君後で覚えときなさい。
ギルドマスターから沙汰が来るまで席に座ってなさい。
ではケビン様参りましょう」
俺は受付嬢の方に一応、一礼しアレンサリーナさんの後ろを歩く。
今回は指定してないので普通の個室に入る。
「さて、まず最初に大変失礼致しました。
職員の不手際は組織としてトップの不手際とも言えます」
そう言って謝られるが
「いや、まず子供がいきなり来て組織のトップに会いたいと言われてもそれはそれで難しいでしょう?
まぁ話くらいは通してから追い払う位して欲しいですけどね。
今回は2日後に魔物討伐をして魔力量を増やそうとしているのですが家を借りるか買い上げたいのです。
条件はそれなりに大きく10人位暮らしても問題の無く
尚且つお風呂があれば良いなぁと思っています。
場所は別に気にしないので」
アレンサリーナさんはお辞儀をして一旦席を立ちしばらくすると羊皮紙を複数枚持ってきた。
「先程言われた条件ですと……5件に絞られますね。
職人街に近いここは工房と寮なので大きいですが周りが少しうるさいかもしれません。
同じ様な場所が後2件あります。
他ですと商業区とスラム街寄りの場所にある家は大きいですが少し周りの治安が悪いです
もう1つは元宿なので少し防犯の観点から見ると使い勝手が悪いです」
俺は羊皮紙を見るも、あれ? これ実質1件じゃない? と思っていた。
「アレンサリーナさん?もしかしてこのスラム街寄りの家オススメですか?」
するとアレンサリーナさんは笑みを浮かべ頷く。
「こちらのお家はスラム街に近いですが……
すぐ裏手に孤児院がありましてここを空き家になってると困ってるのです。
ここに戦闘能力を有する人が居てくれると助かるのです」
「そうなのですか? まぁ家の間取り図を見る限り
ここが1番良いのは明らかですが状態は大丈夫ですか?」
「あ!それは大丈夫です!空き家になってまだ2か月しか経ってないので!」
俺はそれならいいやと
「ならそこを買い上げましょう。口座から引き落としで大丈夫ですよね?
スラム街が近いって事は土地も安いですよね?」
「はい!前の持ち主はかなりスラム街の人達に態度が悪く
嫌がらせを受けていたみたいですけどケビン様なら大丈夫でしょう!」
「えぇ……治安が悪いんじゃなくて最早実害が最初からあるじゃん?
その分安くなるんだよね?」
「うっ、そうですね値引きさせていただきます」
アレンサリーナさんはあちゃーといった表情をしてるけど許さん!
「そうですね……土地代と建物代合わせて大金貨2枚でどうでしょうか?」
間取り図を見るとそれなりに大きく3階建てだからまぁ妥当なんだろうなぁ。
100万カルだからまぁ前世から見ると激安なんだろうけど
土地の価値がめっちゃ低いのは仕方ないんだろうなぁ。
「それでお願い。口座から直接引き落としで。
後、金貨3枚分を銀貨と銅貨に分けておろして欲しいんだよね」
「ではタグをお預かりします。それと土地の権利書持ってきますのでお待ちください」
タグを渡して5分位待つと1枚の紙と袋を持ってきた。
「こちらの紙に魔力を通すと権利書はケビン様の物となります。
それとこちらは商業ギルドからのこの家の行き方のメモとお金です。
こちらのタグは返しますね」
俺は受け取った紙に魔力を通すと魔法術式印が浮かび上がり登録された様だ。
「ありがとう。では行ってみるよ!」
俺はそう伝え商業ギルドを出る際に受付辺りに先程の男が
待ち構えていたので魔力をローブに流しスルーした。
俺は面倒臭い事が嫌いだし、あぁいう奴は何度も繰り返すからな。
いい理由付けになっただろうな。
ようやく日程が決まった。
そこでハンナが所属する部隊の隊長と騎士団長に
日程と人事の調整の話し合いをする為に騎士宿舎に向かい
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スラッとした体型の多分隊長さんが居た。
「初めましてケビン様、クロス家騎士団第3部隊隊長のワクロです」
「おぉ、俺に様は要らないよ。よろしくねワクロ。騎士団長も久しぶり!」
そこでごつい騎士団長が俺に笑顔を見せて
「最近は滅多に剣術の稽古に出て来てくれませんからなお久しぶりですな」
いや、カインが武神の指針を貰って期待を寄せ、
その期待が膨らむほどネラ義母上が毎回参加するから参加しづらいんだよ!
「いやぁ、だってな……カインだけなら参加するけどな? 後は察してくれ」
俺は長椅子に座りそう告げる。
「あれは少し過剰ですからなぁ。はっはっは!」
「まぁ、良いや。それで魔物を倒したいという話は聞いてるでしょ?
上位の騎士は借りるとネラ義母上や母上にバレるけど
中位や下位の騎士なら別に居なくても変わらないでしょ? だからハンナ貸して」
そこでワクロが声をあげた。
「どうしてハンナなのでしょうか?」
「ん? 前にお披露目パーティーの日に先輩騎士に多分、無理矢理
俺に質問してこいと言われて一切躊躇せずに俺に質問してきた事と
その後一緒に訓練や模擬戦をしてかなり実力だけは上だと認識してるからかな?」
そこで騎士団長とワクロは苦い顔をした。
「ここの騎士団は部隊長と幹部は実力主義ですが、他は後ろ盾が無いと上に上がれませんからなぁ。
そもそも当主様のアレクサンダー様に着いて行く実力が無いと
早々に死んでしまうので後ろ盾の連中達も中間の上位を維持しようとしますからな」
うへぇ父上どんな突貫攻撃繰り返してるんだ? 良く死なないな。
「それで給金ってどうなってる? ハンナ達の返答次第では
個人的に俺が雇っても別に良いと思ってるんだけど?」
「はっはっは。それは難しいのでは? 月に金貨3枚ですぞ?
見習は金貨1枚の大銀貨1枚ですな!」
こっちの物価から見る貨幣価値は前世とあまり変わらないのだけれど……低くね?
見習は成人前の子もこの金額だと逆に高ぇな。
バランス悪いなぁ随分と。
「え? そんなに低いの?」
そこで騎士団長とワクロが固まった。
「「は?」」
「俺の資産から出すなら危険手当含めても月に金貨4~5枚出しても良いんだけど?
見習の子は先輩達から学ぶ機会でもあるから大銀貨1枚上げる程度しか優遇しないけど」
ワクロはそこは理解出来ない様で首を傾げた。
「ワクロ隊長さんはもし見習が他の騎士達と同じ金額貰っているとバレたらどうなる?
研修目的で魔物退治に行っているのに」
そこでハッとしたようだ。
「確かに不平不満が溜まります」
「それだけでは不十分だ。最悪、そのお金ごと奪われたり『調子に乗ってる』と
見習達を食い物にしたり体の関係を強要までするだろうな?」
「ケビン様とは言えどそれは侮辱に当たりますぞ?」
騎士団長が武威で俺を威圧するが俺も魔圧を最大限かける。
「俺さ目の前でハンナが無理矢理質問してこいって
強要されてんの見たって言ったの聞いてなかった?」
ワクロ隊長は俺の魔圧に対抗するのを諦め顔を青くしている。
体の成長と共に俺の加護とも言える好奇心を満たす度に魔力は増えて居るのだがまだ足りないのだ。
「す、すみません。聞き取り「するなっ!」な、何故でしょうか?」
俺が大きな声を出した上に感情が膨れ上がり
声に魔力が乗った様で騎士団長も少したじろいでいた。
「すまん。少し興奮し過ぎた。もし聞き取り調査をして今まで何も無かったのに急に注意なんてされたら?
その騎士の行動は多分誰が密告したかを確認しようと行動する。
その時に被害を受けるのはこれから成長するべき今はまだ弱き立場の人間だ。
やるなら一斉処分しろ。聞き取り調査をするにしてもだ。秘密裏にやった方が良い。
むしろそう言う事をしている奴らが居なくならずに全員俺が抱え込んでそいつらを追い詰める方法だってあるんだ。
保護した騎士達に一時的に冒険者登録して自分で稼げばそれなりに暮らせるのだからな?
まぁその後、戻ってくるかは本人次第だがな」
2人は黙り込んでしまった。
「ハンナに任命権を秘密裏に渡す。
ワクロ隊長はその傲慢とも言える騎士にバレないように護衛任務を出してくれ」
「はっ!誠心誠意!必ずや達成します!」
ん? どうしたよ隊長さん?
隊長は一礼して出て行った。
「いや気合い入り過ぎたろ? しかもいつから行くかまだ話し合って無いんだけどなぁ……」
「ガハハハ。ありゃケビン様に心酔しちまったなぁ。
この色男!先程の俺に迫る魔圧にやられちまったんだろうぜ!
そう言えばいつから行くんだ?」
騎士団長も部下が居なくなりフランクに話しかけてくる。
「いや別に俺は屋敷に居ても居なくても関係無いからな。
騎士達や騎士見習の準備が整えば何時でも良かったんだ。
騎士団長それと、そいつらには得意武器を使わせるように。
槍が得意なのに剣を使います何て発言する護衛要らないからよろしく」
「そう言えばご当主様も槍に興味が出て来て居たな。
ケビン様の入れ知恵か!有難い事だ。
剣が苦手なせいで上に上がれない奴らが最近物凄い勢いで上に上がって来てるからな!」
やっぱり居たんかよっ!
逆に良かったわ、不得意武器で死んだ何て悔やみ切れない位悔しいだろうよ。
俺はそれだけ注文をつけると騎士団舎から出たのであった。
◇
夕方ハビスがたずねて来た。
「ケビン坊っちゃま。騎士団の方で選定が終わった様です。
何日後に向かうか聞いてこられてますが?」
「そうだなぁ。何もこの屋敷から通う意味が見いだせないんだよなぁ……
なぁハビス勝手に家借りて生活しちゃダメかな?」
「クククッ、ケビン坊っちゃまダメと言われてもどうせやるのでしょう?
最近は最早、食事も一緒にされないのですから気付かれるまでしてみたら良いのでは?」
「だってカインの自慢話とあーだこーだ言ってるだけのクソまずい食事する意味あるか?
ひっそり料理長には3日後から要らないと言って貰えるか?
明日、屋敷を抜け出し商業ギルドで家を借りて来るよ。
そう言えば何人で来るって?」
「5人と見習が3人だそうで、ケビン坊っちゃまと顔見知りの人を選んだ様子です」
「あーあの8人か、わかった。
騎士団寮に戻らなくても良いように準備進めてって伝えといてくれ」
「かしこまりました。それでは坊っちゃまにはこのローブと皮鎧と短剣をプレゼントしましょう」
そういうとハビスはマジックボックスからローブと皮鎧と短剣を取り出した。
「ローブと皮鎧はダンジョン産なので自動で最初に着けた人の大きさに変わります。
ランクが高ければ使い回しも出来ますが
この皮鎧はランクが低いので最初の読み取りで大きさ固定になります」
そう言うとハビスは俺に皮鎧をつけると自動で大きさが変わった。
「これはしっかりと手入れをすれば1年から2年は体の大きさが急激に変わらなければ使えます。
ローブはもしもの時に魔力を流せば気配隠蔽の効果が出ます。
隠密の技術を持っている坊っちゃまなら更に気付かれる可能性は減るでしょうな」
俺はローブに魔力を流してみるとローブ自体の気配が希薄になるのがよくわかった。
「素晴らしい装備ありがとうハビス!街で適当に買おうと思ってたんだけど助かった」
「いえいえそれでは各所に連絡をしてきます」
そう言って一礼した後、ハビスは部屋を出て行った。
◇
俺は次の日、昨日ハビスから貰ったローブに魔力を流しながら街へと向かい商業ギルドへ向かった。
受付へと向かうと。
「本日のご用件は何でしょうか?」
「ギルドマスターのセバスチャン殿又はサブギルドマスターのアレンサリーナ殿をお願いいしたい。
ケビンが来たと言えば対応はしてくれると思うが」
少し困った様子の受付嬢の横からおっさんが出て来て怒鳴りつけてくる。
「は? ガキがいきなり来て何を言ってやがる。
商業ギルドという組織のトップはそんなに簡単に会える安い存在じゃねぇんだよ帰りな」
そう言って手を振りしっしとする。
どうしたものかなぁ。
確かにガキが来てトップと繋いで欲しいと言われて『はい、かしこまりました』とは言いづらいよなぁ。
「これだけは言いたくなかったが、領主の次男が来たと伝えてくれ」
「不敬罪だぞ? 領主を語った奴なんておい!警備員このクソガキを捕まえろ!」
「えぇ……これホントならお前が不敬罪だけど良いんだな?」
「黙れっ!」
警備員2人が俺に近付いてくる。
俺はため息をつきながらどうしたものかなぁと少し戸惑っていると救世主が現れた。
「あら? これはケビン様。本日はどのような用件ですか?」
後ろを振り返るとアレンサリーナさんが居た。
「おぉアレンサリーナさん助かりました。
セバスチャン殿かどちらかに会いたかったのですが。
信じて貰えなくて後少しで警備員に捕まってました」
商業ギルド内が静まり返った。
「先程から怒鳴り声が聞こえてましたもんねぇ。
それはそれは大変失礼致しました。
という事でそこの君後で覚えときなさい。
ギルドマスターから沙汰が来るまで席に座ってなさい。
ではケビン様参りましょう」
俺は受付嬢の方に一応、一礼しアレンサリーナさんの後ろを歩く。
今回は指定してないので普通の個室に入る。
「さて、まず最初に大変失礼致しました。
職員の不手際は組織としてトップの不手際とも言えます」
そう言って謝られるが
「いや、まず子供がいきなり来て組織のトップに会いたいと言われてもそれはそれで難しいでしょう?
まぁ話くらいは通してから追い払う位して欲しいですけどね。
今回は2日後に魔物討伐をして魔力量を増やそうとしているのですが家を借りるか買い上げたいのです。
条件はそれなりに大きく10人位暮らしても問題の無く
尚且つお風呂があれば良いなぁと思っています。
場所は別に気にしないので」
アレンサリーナさんはお辞儀をして一旦席を立ちしばらくすると羊皮紙を複数枚持ってきた。
「先程言われた条件ですと……5件に絞られますね。
職人街に近いここは工房と寮なので大きいですが周りが少しうるさいかもしれません。
同じ様な場所が後2件あります。
他ですと商業区とスラム街寄りの場所にある家は大きいですが少し周りの治安が悪いです
もう1つは元宿なので少し防犯の観点から見ると使い勝手が悪いです」
俺は羊皮紙を見るも、あれ? これ実質1件じゃない? と思っていた。
「アレンサリーナさん?もしかしてこのスラム街寄りの家オススメですか?」
するとアレンサリーナさんは笑みを浮かべ頷く。
「こちらのお家はスラム街に近いですが……
すぐ裏手に孤児院がありましてここを空き家になってると困ってるのです。
ここに戦闘能力を有する人が居てくれると助かるのです」
「そうなのですか? まぁ家の間取り図を見る限り
ここが1番良いのは明らかですが状態は大丈夫ですか?」
「あ!それは大丈夫です!空き家になってまだ2か月しか経ってないので!」
俺はそれならいいやと
「ならそこを買い上げましょう。口座から引き落としで大丈夫ですよね?
スラム街が近いって事は土地も安いですよね?」
「はい!前の持ち主はかなりスラム街の人達に態度が悪く
嫌がらせを受けていたみたいですけどケビン様なら大丈夫でしょう!」
「えぇ……治安が悪いんじゃなくて最早実害が最初からあるじゃん?
その分安くなるんだよね?」
「うっ、そうですね値引きさせていただきます」
アレンサリーナさんはあちゃーといった表情をしてるけど許さん!
「そうですね……土地代と建物代合わせて大金貨2枚でどうでしょうか?」
間取り図を見るとそれなりに大きく3階建てだからまぁ妥当なんだろうなぁ。
100万カルだからまぁ前世から見ると激安なんだろうけど
土地の価値がめっちゃ低いのは仕方ないんだろうなぁ。
「それでお願い。口座から直接引き落としで。
後、金貨3枚分を銀貨と銅貨に分けておろして欲しいんだよね」
「ではタグをお預かりします。それと土地の権利書持ってきますのでお待ちください」
タグを渡して5分位待つと1枚の紙と袋を持ってきた。
「こちらの紙に魔力を通すと権利書はケビン様の物となります。
それとこちらは商業ギルドからのこの家の行き方のメモとお金です。
こちらのタグは返しますね」
俺は受け取った紙に魔力を通すと魔法術式印が浮かび上がり登録された様だ。
「ありがとう。では行ってみるよ!」
俺はそう伝え商業ギルドを出る際に受付辺りに先程の男が
待ち構えていたので魔力をローブに流しスルーした。
俺は面倒臭い事が嫌いだし、あぁいう奴は何度も繰り返すからな。
いい理由付けになっただろうな。
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美食の都と呼ばれる王都は食に厳しく、レストランやシェフの格付けが激しい世界だけれど、スキルがあれば怖くない。
食べ歩きで得た膨大な味の記憶を生かし、次から次へと絶品料理を生み出す巡。
その味は舌の肥えた王都の人間も唸らせるほどで――!?
これは、食事を愛し食の神に気に入られた男が、異世界に“味覚革命”を起こす物語である。
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