上 下
3 / 296
魔法研究の為の基盤作り

2話

しおりを挟む

 現在の帝国には
 2公爵4侯爵4辺境伯16伯爵32子爵64男爵家がある。

 まぁ数年に1度男爵家は起こり潰れを繰り返す。
 子爵家と男爵家は常に争っている。

 いがみあってるのでは無く、ちゃんとしないと降爵又は取り潰し等、普通にあるからだ。

 領地を持っているのは
 2公爵2侯爵4辺境伯10伯爵25子爵42男爵となっている。

 他の貴族家は何か成果を成して爵位を貰った家か
 文官として帝城勤務となっている人達だからだ。

 つまり高位貴族の2侯爵、6伯爵は大臣職に着いて居る人達になる。
 基本的に低位貴族で大臣にはならないし就任の際に爵位を上げて貰える。

 今は宰相が皇族の人で、大臣を取りまとめる総理大臣が侯爵が務めている。
 皇族の人達は英才教育の賜物あってか優秀な人物が割かし多いらしい。

 まぁ、魑魅魍魎跋扈する帝都内で生き残った人々だ。
 裏の顔なんて俺達には絶対見せないし揉み消しているだろうけどね。

 今回参加している人数は138人で高位貴族は
 皇族が2人、公爵家1人、侯爵家1人、辺境伯家3人、伯爵家18人だ。

 低位貴族は113人参加した事になる。

 俺達が入場する少し前から洗礼式が始まった様だ。これが面倒臭いのだ。

 低位貴族達は5人1組や人数が多い年は10人1組とまとめて行われるのに
 高位貴族は1人ずつ行われるのだ。
 教会の司祭や司教って高齢のイメージあるけど大丈夫なんか?

 まぁ、今年は皇族が来る事が決まっているので
 枢機卿又は教皇が来る可能性もあるらしいのでこんなにも人が珍しく人が来てるのだ。

 領地持ちの低位貴族は本来来ないのに……
 待合室にカインと2人で入ると気合いの入った子爵令嬢や男爵令嬢が数多く居た。

 ほほほ、可哀想です。
 無理して宝石を付けたプラス過度な化粧と香水のおめかしをさせられた子供達。

 案内の人に声をかけた。

「待合室の席は伯爵家の場所なら自由ですか?」

 案内のシスターは笑みを浮かべ頷き肯定したので
 後ろを見ると緊張と臭いと視線で気分を悪くしたカインが居たので
 窓際の席に行き窓を全開に開けた。

「大丈夫かカイン?」

「くちゃい……」

 涙目で鼻を摘みそう言うカインについつい笑ってしまった。

 俺達が入って来てから次第に臭いが薄くなっている事に
 疑問を感じた俺は周りを見渡すと案内役だったシスターがすごく自然に

「人が集まると空気が悪くなり体調を崩される方がいらっしゃいます。
 なので新しい空気を取り込んで深呼吸しましょう。
 緊張されると更に体調が悪くなりますからね」

 と言いながら窓を開けて換気していた。
 なんと言う気配り。すばらです!

 まぁ、俺達が言わなかっただけでこれから来る高位貴族の子息令嬢達が
 ボロカスに言わない様に配慮した可能性もあるけどな。

 まさか高位貴族の最初が俺達だとは思いもしなかった。

 俺は魔力操作の訓練を暇潰しに行い1時間程すると
 待合室に居た貴族子息令嬢達は半分となり高位貴族の子息令嬢達も待合室に入って来た。

 これよこれ。
 流石に高位貴族達は分かってるな。
 令嬢達は過度な装飾では無くナチュラルメイクかつ
 ワンポイントのみ高価な装飾品をしていて気品があった。

 ほれ見ろ、カインなんて先程から釘付けだ。

「あら? 隣よろしいですか?」

 そう声を掛けてきたのは明らかに伯爵家以上の令嬢だった多分。
 カインよ、ぽっとなっとる場合か!
 仕方ないなぁ……

「えーっと、こちら伯爵家の席用となってますから
 案内役に指示を仰いだ方がよろしいかと?」

 ふふふと上品に笑う令嬢。
 本当にどこの令嬢なんだよ!?

「あら?こんなに席が空いているのに席を爵位で分けるなんてそんなの勿体無いですわ!」

「そ、そうですか。カイン自己紹介」

 そこでカインははっとなった様で立ち上がり礼式を執る。

「私はカイン・クロスでございます。以後お見知りおきを」

 うむ、綺麗な礼だ。完璧なマナーだな。

「あら? ご丁寧にありがとうございます。私はローズティア・カースドです」

 俺は名前の家名だけを確認して気配を消してトイレに向かった。




「ふう、まさか公爵家令嬢とはな。俺は絶対話したくない」

 俺はトイレを出るとばったり父上と出会した。

「ケビン待合室に居なくても大丈夫なのか?」

 少し心配そうに見てくる父上に

「まだ大丈夫ですよ。丁度カインのついでにカースド公爵家令嬢に話しかけられた時に
 逃げて来てここに居るのですから!」

 デーンと効果音がなりそうな位胸を張りポーズをとってドヤ顔をする。

 父上は頭が痛い様だ。

「どこの貴族の世界に公爵家令嬢に話し掛けられて
 面倒臭がって逃げ出す子息が居るんだろうなぁ……」

 遠い空を見つめる父上に言ってやりたい『ここにおりますぜへへへへー』と

 しかし怒られるのは目に見えた結果なのでここは口を紡ごうではないか!ハッハッハー!

 遠くて微かに『伯爵家の皆様ー』という声が聞こえた。

「父上、呼ばれたようですので行ってきますね」

 そう言って、俺は待合室に戻ると丁度伯爵家の子息令嬢達が並び始めた所だった。

 俺はカインが居る前に行き何事も無かった様に並ぶ。

「ケビン酷いよ置いてくなんて!」

 俺はニヤリと笑い

「ローズティア嬢に見惚れるお前が悪いっ!
 そして俺にはまともに話せる自信はない!」

 少し疲れた様子を見せるカインだったが俺が居なくなった
 言い訳に必死だったんだろうと勝手に予想したので無視だ!

 俺達は1列に並び案内役のシスターに先導されて大きな扉の前で待機する。
 この扉が開かれた後に1人又は家ごとに入って行ったりするのだ。

 20分程経った時、俺の番がやって来た。

 中から『ケビン・クロス入場』と声がかかったので俺は自然体でそのまま入場した。

 ピリッとした視線が俺に刺さるが複数の人がすぐに興味を失くした様で視線が途切れた。

 1番前のステージに居る多分、枢機卿おじいちゃんの所までそれなりにゆっくり行って礼を執る。

「ケビン・クロスよ。神に5歳の報告を致しなさい神への祈りを始めよ」

 俺は目の前にある水晶を触り目を瞑り心の中で祈る。

『努力が実を結ぶ様な、そして色々な事に手を出せる
 成長戦略を組みたいのでそんな指針をください』

 何秒たっただろうか? 周りの声や気配が感じ取れないので俺は目を開けると

 そこには1人の青年がたっていた。

「ふむ、"今は"ケビンなる者よ。お主の願い聞き届けた。
 お主が心配してた使命など無いから好きなだけ努力と研鑽を忘れぬ様にな」

 青年は一瞬で俺の目の前に立つと掌を額に置いた瞬間俺の体が光だした。

『ふむ、成功だな。だがしかし、俺の事忘れてるとはいい度胸だな!』

 ちょっと態度の変わり身の早さに俺はギョッとしていたが……
 青年の横にいる、女性の秘書がコソコソ話をしてると

『あ!やっべ俺かな? 俺の説明不足? マジで? はぁ~面倒臭っ
 まぁ彼に説明した所で予想した通りだったって言われるからええやんもう。
 んん"ぅ!あーあーよし、マイクテストOK!

 ケビンよ今お主に渡した力はお主の努力で天才鬼才変人奇人何にでもなれるが……
 努力をしなければただの穀潰しに終わる。

 存分にこの世界を楽しむが良いそれが我から与える使命とする』

 俺は変わり身の早さであったり、面倒臭がりな1面を見て
 この神と仲良く出来るわーって直感で感じた。

『最後に何か質問は?』

「あ、神様の名前を教えてください。大聖堂では女神のウェスタリア様を奉っているので貴方の様な男神は知らないのです」

 パァっと明るくなった青年は口調をいきなり崩し始めた。

『あ!そっか!転生者は基本的に気に入った人が担当者になるからね、俺の名前は知識の探求と魔法の神エストだよ!
 君は前世でも飽きるまで興味を持った事はとことん突き詰めていく姿に感銘を受けて俺が担当になったんだ』

 俺はそこで笑顔になり

「神エスト様、既にご存知とは思いますがケビン・クロスでございます。
 私を指名した事については大変光栄でございます。
 選ばれた神の名前いや、種類に恥じぬ様に研鑽を積んでいこうと思います。

 ふぅ、って事で真面目パターンはここまで。

 何か最初の雰囲気だと手違いがあったっぽいけどそこは気にしない。
 エスト様に1つ聞きたい、俺が作ったそろばんもどきはこの世界に存在しますか?」

 エストはニカッと歯をみせ笑みを浮かべると

『まだないぞーそもそもこの世界の人間はスキルに頼ってばっかりなのさ!
 だからバンバン作ってねー!
 あ!そろそろ時間だね!また15歳の時に会おう!目を瞑って』


 俺は言われた通り、目を瞑っていると周りの気配や少しの声が
 聴こえたので目を開けると枢機卿が微笑んでいた。

「無事指針は掴めましたかな?」

 この確認も事前通りだな。

「はい。確かに示していただきました。これから精進していきたいと思います」

 そう言って再びお辞儀をして来た時とは逆側の袖の方へと
 歩いて行き再び待合室へと向かったのであった。
しおりを挟む
感想 74

あなたにおすすめの小説

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

転生5回目!? こ、今世は楽しく長生きします! 

実川えむ
ファンタジー
猫獣人のロジータ、10歳。 冒険者登録して初めての仕事で、ダンジョンのポーターを務めることになったのに、 なぜか同行したパーティーメンバーによって、ダンジョンの中の真っ暗闇の竪穴に落とされてしまった。 「なーんーでーっ!」 落下しながら、ロジータは前世の記憶というのを思い出した。 ただそれが……前世だけではなく、前々々々世……4回前? の記憶までも思い出してしまった。 ここから、ロジータのスローなライフを目指す、波乱万丈な冒険が始まります。 ご都合主義なので、スルーと流して読んで頂ければありがたいです。 セルフレイティングは念のため。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【味覚創造】は万能です~神様から貰ったチートスキルで異世界一の料理人を目指します~

秋ぶどう
ファンタジー
書籍版(全3巻)発売中! 食べ歩きだけが趣味の男、日之本巡(ひのもとめぐる)。 幻の料理屋を目指す道中で命を落としてしまった彼は、異世界に転生する。 転生時に授かったスキルは、どんな味覚でも作り出せる【味覚創造】。 巡は【味覚創造】を使い、レストランを開くことにした。 美食の都と呼ばれる王都は食に厳しく、レストランやシェフの格付けが激しい世界だけれど、スキルがあれば怖くない。 食べ歩きで得た膨大な味の記憶を生かし、次から次へと絶品料理を生み出す巡。 その味は舌の肥えた王都の人間も唸らせるほどで――!? これは、食事を愛し食の神に気に入られた男が、異世界に“味覚革命”を起こす物語である。

転生王子の異世界無双

海凪
ファンタジー
 幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。  特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……  魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!  それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!

異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。

みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・

処理中です...