上 下
15 / 15

15話 あっちを欺けばこっちは欺けない

しおりを挟む

 兎人族の受付嬢のアーニャの「カーマイン帝国」の一言に俺達は顔が青ざめた(俺だけ)

 陽葵の蹴りによる気絶? ガルダルが一瞬で治癒と気付けの魔法をかけてくれたので
 とっくに意識を取り戻し俺は事情を理解していた。

 そんなことをしていると依頼内容を聞いたギルドマスターは
 まるで壊れかけの油が足りないブリキ人形の様な
 ギギギッと音が鳴ったと錯覚するくらい気味の悪い動きでこちらを振り向いて見てきた。

「ん゛っ白髪の少年を主と慕う3人組にカーマイン帝国の姫君が助けられたそうだが???」


 俺は白髪の「は」の言葉を聞いた瞬間に髪の色を黒に反転させていた。

 その姿を見てた菖蒲と陽葵は「やっぱり」という顔をしていたが
 騒がしいギルドマスターの部屋を覗いていた
 多分菖蒲達が連れてきた モブ少女クラスメイト達は首を傾げていた。

 今の俺はを隠すつもりはないので顔付きが違ったりする。
 人間精神的な物や思い込みである程度顔や雰囲気・空気感が変えられるので人を欺くことは出来るのだ。

 ガルダルには深めのローブを、バサークには全身甲冑を着てもらっていた。

「ワタシタチこのマチ、初めて来ました~」

 おちゃらけた俺の態度はギルドマスターのお気に召さなかった様だ。

 ギルドマスターの顔が火山の噴火待ったナシ位真っ赤だがこちらも面倒事は勘弁被るのだ。

 そんな騒ぎを起こしていれば更に騒ぎが起こるのは何故なんだろうな?

「あーもうっ! 騒がしいわね! 早く私達の依頼を達成しなさいよ!」

 先程の少女の登場だ。

「えっ!? 黒髪?」

 あーあ、この世界には黒髪の種族は居るが昔の召喚者達の子孫であり希少性が高い。

 そんな希少性の高い黒髪が1つの部屋に集まっていれば疑問を抱く。
 そして彼女は他国の情報を一手に集める場所が家の子だ。

 最近、この国で召喚儀式を行ったという情報は掴んでいるのだろう。
 目がイヤにギラついたのが垣間見えた。

「貴方達、ね!」

 その時、少女の側に居た1人の男が右手にペンダントを掲げ

「隷属せよ!」

 その言葉を聞いた瞬間に俺のやかましいと思っていた感情が殺され全ての音が消えたと同時に呟いた。



 濃厚な殺気にいち早く反応したのはガルダルとバサーク。
 そして有能かつ経験豊富なギルドマスターだった。
 両者の反応は正反対だ、揉め事を起こさせないように臨戦態勢になったギルドマスターに対し
 主の不快感を感じ取ったガルダルとバサークは更に濃厚な殺気を振りまいた。

 そしてその男に俺は掌を向ける。
 全員が何気ないその行動を見つめていると俺の掌の前に魔法陣の様な紋様が浮かび上がり俺はそれを躊躇わずひっくり返した。

「ぐはっ!?」

 同時にその男は口から吐血した。

「「「「「!!!???」」」」」

 全員が俺達3人から放たれる殺気により動こうにも動けずに居た。

「俺達は自由だ、自由を求める鳥籠の中に居る鳥じゃない。関わるな」

 そう言葉を残し俺達は部屋を出ていくのだったが……

「アーニャ何故、着いてくるんだ?」

 アーニャは紙に何かを書くとこちらに見せてきた。

 ~さっきの殺気で少し汗をかいてしまいました。 これはソラさんのせいなので下着を弁償してください~

 俺は盛大にズッコケた、ダジャレにもなってるが本人は至って真面目に書いているのだから。
 下着で汗って、なんてベタな言い訳なんだ!!

「盛大に漏らしてんぐぐっー!」

 涙目のアーニャに口を塞がれた。
 その気迫は俺の殺気よりも凄いんですけど??

「弁償する? しない? Dead or Alive

 俺は即答で弁償を選んだよ。
 ついでにガルダルに頼んで服も買ってきて貰った。

 ちょっとしたお茶目でド派手な下着を買ってこさせたのでアーニャの顔は真っ赤だったけど。

 ガルダルの魔法と眷属という特性を合わせて視界の共有と念話が使えるのは
 俺にとってスマホがない不便な世界ではとても便利な物だった。


 魔法の念話は本人の魔力量によって範囲が決まる為、普通の人間の魔法使いでは精々500m~1kmが限界らしい。

 人間辞めてるガルダルでさえも10kmが限界らしいが眷属としての魂の紐付けによる繋がりを使うと5倍になるらしい。

 俺達は宿に戻らずに森の中にガルダルの転移魔法で移動していた。
 そしてガルダルの手によって森の木々を破壊し広場を作り中心点に瓦礫の山を設置する。

「よっし!やるか!概念の【反転】」

 実はこの瓦礫、雑用依頼の際にゴミとなった元屋敷だ。
 ガルダルやバサークにとってはボロ屋敷の解体等朝飯前だったので一瞬で終えた後
 色々と能力の検証を行ったのだ。

 反転の能力は時間の巻き戻しじゃない。
 しかし、物が直せたりするのは多分概念が現時点のボロボロな物や破壊された時点から完成した時に戻るのだと思う。

 俺達が知らない物も戻せるのは多分神による補助が少なからずあると俺は思っている。

 今回の瓦礫はボロ屋敷の状態を知っている為森のど真ん中にボロ屋敷が建った。

「さ~ら~に~【反転】」

 今度は屋敷のボロに反転をかける。
 そうするとひび割れた壁や朽ちた木製の窓が綺麗になり
 あら不思議、森のど真ん中に綺麗な御屋敷が存在することになった。

 俺の反転スキルは俺が意識した所に効果的にスキルを使うことが出来る。
 このスキルは使い方によっては最強クラスということに使い始めてから気付いた。

 しかしそれはあくまでそこそこのなのだ。
 あのクソ神に実は誘導されたのでは?と思ったりしてるのだが……

 そんなことより、今は美味しい食事の方が大事なのだ。

 ビバ・ボア肉の焼肉祭りの開始じゃーい!!
 どっかのどデカいモンスターを狩りまくるハンターさんの様な機器はないのでガルダルにお任せよ!

 その代わり、調理法や味付けは俺の仕事だ。


✄-------------------‐✄

お久しぶりの人も初めましての方も赤井です。
スマホが壊れ、データが飛び絶望そして仕事も絶望してましたがようやく書く気になったと言うより
精神的と時間的にやっと平常運転に戻ったので更新します。

凄く久々の執筆の為、正誤性がなかったり設定作者忘れてない? 違くない? とかあったら申し訳ないです。

私は創る人でありますが学はありませんので
誤字脱字や言い回しがおかしければ指摘して頂ければ
その都度、対応致しますのでよろしくお願いいたします。

感想は全て読ませて頂いています。
励みにもなり、また書こうという気持ちになった原点ですのでいつも読んでくださる皆様には感謝致します。

※この作者文はそのうち消します。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(11件)

A・l・m
2023.11.27 A・l・m

……壊したことはないけど、見つからなかったり動かなくなったりは経験有りだ……。


書かないのでなく書けな『かった』とは、読者としては嬉しいことです。

解除
伊予二名
2023.09.19 伊予二名
ネタバレ含む
赤井水
2023.09.19 赤井水

感想ありがとうございます。
ほのぼのしたいなぁってことでタグにはほのぼの? ってつけてます。

主人公はほのぼの生きていますが周りは大騒ぎパターンを作ろうかなって思ってたりします。

解除
A・l・m
2023.09.18 A・l・m

外見描写ほぼ無いからボサ髪上げると美少年か美少女でした系なんではないかな、とか。


……ブサイク反転もできそうな……。

赤井水
2023.09.18 赤井水

いつも応援ありがとうございます。

 ソラの外見表現はまだ定まってないんですよね……‎( ꒪⌓꒪)
 キリッとした感じにするかホンワカ系にするか……でも皆様読んでてわかる通りバサークはゴリラ系で合ってますよ(笑)

 色んな人に聞いてみて決めようかなと。
 楽しんで読んでて貰えるとありがたいです。

解除

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界転移で、俺だけ魔法が使えない!

林檎茶
ファンタジー
 俺だけ魔法が使えないとか、なんの冗談だ?  俺、相沢ワタルは平凡で一般的な高校二年生である。  成績は中の下。友達も少なく、誇れるような特技も趣味もこれといってない。  そんなつまらない日常は突如として幕を閉じた。  ようやく終わった担任の長話。喧騒に満ちた教室、いつもより浮き足立った放課後。  明日から待ちに待った春休みだというのに突然教室内が不気味な紅色の魔法陣で満ちたかと思えば、俺は十人のクラスメイトたちと共に異世界に転移してしまったのだ。  俺たちを召喚したのはリオーネと名乗る怪しい男。  そいつから魔法の存在を知らされたクラスメイトたちは次々に魔法の根源となる『紋章』を顕現させるが、俺の紋章だけは何故か魔法を使えない紋章、通称『死人の紋章』だった。  魔法という超常的な力に歓喜し興奮するクラスメイトたち。そいつらを見て嫉妬の感情をひた隠す俺。  そんな中クラスメイトの一人が使える魔法が『転移魔法』だと知るや否やリオーネの態度は急変した。  リオーネから危険を感じた俺たちは転移魔法を使っての逃亡を試みたが、不運にも俺はただ一人迷宮の最下層へと転移してしまう。  その先で邂逅した存在に、俺がこの異世界でやらなければならないことを突きつけられる。  挫折し、絶望し、苦悩した挙句、俺はなんとしてでも──『魔王』を倒すと決意する。

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

最強の男ギルドから引退勧告を受ける

たぬまる
ファンタジー
 ハンターギルド最強の男ブラウンが突如の引退勧告を受け  あっさり辞めてしまう  最強の男を失ったギルドは?切欠を作った者は?  結末は?  

オタクおばさん転生する

ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。 天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。 投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)

ズボラ通販生活

ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。