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11話断頭台で見下ろして

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俺は今草原の中思いっきり寝転んでいた。
「あー風が気持ち良いなぁ」

なんて現実逃避をしながら。

今回からの階層はゲリラ戦だった。
厄介だったのはノーマルゴブリンだ。
草に完全に隠れる背丈であり急に突っ込んで来るわ俺の位置が分かっている様で弓が飛んでくるわで気が抜けない。

俺に感じ取る事が出来るのは殺意と音だけだった。
自分の身に危険が迫るとやはり悪寒がするのだ。
その度に横に飛んで避けているとやはり疲れる。
この草原で寝転ぶのが1番休憩中は安全なのだ。

弓は真っ直ぐでは無く、山なりに飛ばしてくるしノーマルゴブリンの武器持ちならば音で判別出来るしアイツら知能が低いのか「グギャグギャ」話してるから分かりやすかった。

問題はこの階層ノーマルゴブリン~ハイゴブリンまで満遍なく出て来るという事だろう。

ハイゴブリンに関しては陣地を作り待ち構えているのだ。
そこに1度雷魔法をぶっ込んでみたが倒せるが周りから人、否ゴブリン達の集合の合図のようにわんさか集まって来るので笑えない。

チュートリアル上、ここは気配察知と隠密行動して抜ける場所では無いかと思い今は寝転んで自然と一体と化し隠密覚えねぇかなぁと息を潜めていた。

かれこれ3時間はここに居るだろう。
眠いだるいキツいの3冠王だぜ!

そして先程より電話がひっきりなしに掛かってくるので電源を落とした。
ゴミの表記が映る度にげんなりするからな。

ここから先の獲得物は踏破後のお楽しみにしよう。
ゴミ→着拒
クズ(兄1)→着拒
カス(兄2)→着拒
アバ(妹)→着拒
ゲス(父)→着拒
と代わる代わる嫌な奴代表勢揃いされたら気分が悪いからな。

「HAHAHA!全く吐き気がしやがるぜっと来やがった」

俺は正座し右の腰だめに青龍刀を置き柄を握る

「グ……ギャ?」

俺は草原の中ゴブリンが見えた瞬間に首めがけ水平に青龍刀を振った。
鞘に戻しこの場所だげやけに敵襲が少ない事に気付く。

俺は雷属性の魔力を全力で流し、跳躍した。

「けっ!そういう事か!」

俺は地面に着地した瞬間爆走した。
目的地へと目掛け一直線に

それは小高い丘になっている所だった。
そこにゴブリンジェネラルが居たのだ。
アイツが指示役に違いないと思い俺は駆け抜けた。

丘についてゴブリンジェネラル以外消し飛ばした。
そしてゴブリンジェネラルを拘束して丘から下を見ると自分が何故こんなにも襲撃にあったのも理解出来た。

丘を中心に円を作る様に内側から
ゴブリンジェネラル(丘)
ハイゴブリン(1本目)
ハイゴブリン+ホブゴブリン(2本目)
ホブゴブリン(3本目)
ノーマルゴブリン(外周円)

と陣を広げてあり俺が適宜倒している所を埋める形でずっと索敵されてたのだ。

「俺は別にゴブリンの生態環境を知りたい訳じゃないんだけどな」

と丘に向かって焦った様子でバラバラに走ってくるゴブリン達を見て今の気持ちを吐露した。

ゴブリンは1つ種族が上がると王の様な環境になるのだろう。
明確な上下関係、絶対的な関係性を武器に群れを作り敵を排除するという事だ。

しかし、この王という駒をとってしまうとどうなるかというチュートリアルなのだろう。
俺は必死に向かって来るゴブリン達の目の前でゴブリンジェネラルの首を落とした。

首が丘をコロコロと転がって行く最中で粒子化した。

1体のハイゴブリンが
「グ、グギャァァァァー」

と叫び出しガクガクと震え出すとそこからの瓦解は早かった。
散り散りに逃げていくのだ我先に。

これがゴブリンの種族特性であり生き残る為の知恵なのだろう。
そして下位種程逃げるのが早く、上位種程周りを支配しようとして司令塔が今度はハイゴブリンとなると同一種が多過ぎて大混乱となった。

そこに俺は雷魔法を打ち込む。
そうすれば更に混乱し、最早錯乱と言っていい程壊滅した。
次の階段は丘の頂上にあり俺は興味を失くし更に潜った。

20階層のボス部屋までは陣形と種類が変わるだけの発見の無いチュートリアルだった。
これはこれからこの様な戦闘や戦争形態の襲撃が有りますよというダンジョンからの報告なのかもしれないと思った。

ボス部屋前で休憩を取った後、予想した通りの結果に少しガッカリしていた。

「あれ、絶対ロードだろ?」

マントを着けた鎧ゴブリンを見てそう呟く。
何か俺を見つけた瞬間に光を放つと周りのゴブリンジェネラル達やハイゴブリンも光る。

「チッ、バフ系のスキルか。ボッチの俺に対する嫌味かぁぁ」

俺は血涙を流し青龍刀に魔力を流しハイゴブリンを屠っていくが……

「うおっ、タイミングやべぇなおい」

切り降ろした瞬間を狙って弓を持ったゴブリンジェネラルが3体射出してくる。
200km位出ているのでは?と思う程速かったが

「身体強化雷には及ばないな」

そう俺は、魔力を循環させる事を身体強化と名前を付けていた。
界〇拳みたいでカッコイイじゃん?

ハイゴブリン達とゴブリンジェネラルを倒して倒して倒して倒して?

「おかしいだろぉぉぉこんなに数居なかっただろぉぉ!」

そう、先程からゴブリンジェネラル30体以上倒してるのだが、いっこうに切れない。
わんさか出てきやがる。

視界の端で光っているロードを見て理由に気付いた。
「クソっテンプレかよ!」

そう、仲間を呼ぶって奴だな。
何処かに保管庫があって体育座りでもして待ってたんじゃないかって位出て来る。
これが、ファンタジー世界で1体見つけたら10体は居ると言われるG扱いされる所以か。

俺は咄嗟に青龍刀でゴブリンジェネラルを切り裂いた流れのまま雷魔法を放つ

ロードの脇に居た盾持ちゴブリンジェネラルがすかさず2体間に入り消滅した。

「guest3はどうやってクリアしたんだよぉぉぉ脳筋ゴリラ女ーー」

俺は感覚的に女であると思っているが正しいかはわかっていない。

ーーくちゅん

と何処からか聴こえた気もするが今の状況的に気にしてる様なんて無かった。


俺はそう、焦っていたのだ。
今はguest3と俺が多分最速チュートリアルダンジョンについて理解しているからと。
トップ連中のブースト効果はこの最初期のこのダンジョンのクリア時期が最も差がつくと。

そして、あのメッセージの会話を見る限り興味を引けたのは"俺だけ"
ここに俺はこだわって焦った。
死んだら興味を引けた意味も無くなるというのに。

ゴブリンジェネラルを30体~50体程倒した辺りで俺は5回程体が熱くなるのを感じている。
その度に戦闘が楽になり、青龍刀の振るい方も理解出来るそして遂に……

俺が青龍刀を振るう度に電撃が斬撃に乗り始めた。

「漫画で見た死神高校生みたいな必殺技じゃないか!」

The漫画脳の俺には素晴らしき世界になったかなとハイテンションでゴブリンジェネラル屠る屠る。

屠りながらも考えていた。
ダンジョンランキングで見たマイページでレベル表記は無いのに体が熱くなる現象を便宜上レベルアップと呼んでいたが違うのか?と

しかも今青龍刀から雷属性の斬撃を飛ばしている事を見て考えが変わっていた。
あの熱さは細胞を変換定着させる時の痛みや熱さなのではないか?

器を壊さない様に補強して周りを強く強くしてスキルや魔法を得ても壊れない器にしているのでは無いか?
そう思えて仕方なかった。

ただ魔力を流しているだけで斬撃が飛ぶのは細胞が順応して行き魔力の通りや強さが増した結果の事象では?
身体能力が上がっても本来は脳の処理能力も上がらないと速さに対応出来ないはずなのにその辺もご都合主義レベルに齟齬が無いのが不思議だったが細胞レベルの変化なら不思議は解消出来ると納得していた。

「ヒューヒューヒュー……おらぁ。仲間呼んでみろや?」

何処のチンピラだ?と言いたいかもしれないがゴブリンジェネラル倒して1時間遂にマント付きの鎧ゴブリンこと多分ゴブリンロード以外ボス部屋には姿は無かった。

「グゥ、グ、グキャ?グギャギャ?」

ゴブリンロードは何を思ったのか、"まぁまぁ落ち着いて、話し合いしましょうよ"みたいなゴマをすり始めた。

「……そんなとこまで人間臭く無くてえぇわぁクソボケがぁ」

と俺は一刀に伏した。
袈裟斬りにバッサリ切ってやったぜ!

「む?なんであいつの魔石黄色いんだ?」

俺はゴブリンロードが落とした魔石が黄色い事に不思議さを感じつつもスマホは開きたくなかったのでそのまま収納した。

そして、多分虐殺ボーナスと言えば良いのか分からないが等間隔にゴブリンジェネラルが使っていた剣・槍・盾・弓・杖が置かれていた。

もしかしたら前の階層と同様ゴブリンロードだけ倒してもクリアになったかもしれないとちょっと残念な気持ちになったが強さは計り知れない程上がったのでどっちもどっちかと納得した。

「お待ちかねの宝箱は……銀か。色で多分レア度が変わるんだろうな。収納の指輪は多分ガチャで言う薄いとこ引いた感じだろ」

俺は通常ダンジョンは宝箱率100%では無いと思っていた。
チュートリアルダンジョンで装備を手に入れるか相手から装備を奪う事で準備期間中のサービスだと思っていた。

箱を開くと中はまた暗闇だった。
意を決して手を突っ込んで引き出すとそれは靴だった。

俺は足元を見ると先程の戦いでボロボロになってて何かダンジョンから『汚ねぇ靴履いてないでこれ履きな?』って言われてる感じしてとても苦々しい気分になった。

「まぁ、ダンジョン装備は魔力通せるからこれも結構当たりなんだろうけどな?」

ゴブリンやモンスターは靴を履いて無いから奪う事は出来なかったので有難いけど……

「ん、まだ何か入ってるのか?」

箱は中身が無くなると通常の箱に戻るのだが、まだ中が見えなかったので俺は手を突っ込んで取り出す。

「な、これは!」

本だった……こんなに早く魔導書が手に入るとは
肩をカタカタと震わせながらも口角が上がるのが自分でもよくわかった。

俺はその場で靴を履き替え、ドカッと座り魔導書を開いた。

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