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第一章.転生、ペンギンになる
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「レインー!」
「────ペンギン君!」
レインを見つけるや否やペンガは彼女の元へ駆け寄り飛び付いた。
そんな無邪気なペンガをレインはぎゅっと抱き締める。
(よかった、ちゃんと喋れる)
その事実に心底安堵する。
特性が無いだけであれ程までに苦労したのだ、有り難みは嫌というくらい実感させられる。
会話が成立することが嬉しくてしょうがない。
レインにぎゅっとされ、心中で特性の有り難みを説くペンガに、ザリアスは着いていけず、この状況を先へ進めるため言葉を発する。
「ペンガ、抱きつくのは構わないがやることがあるだろう?」
「あ、そうだった」
ザリアスに気づかされ、レインから体を離す。
体にはまだ人の温もりが残る。
暖かくて、心地よい。
余韻に浸っていたいのは山々だったが、既にやることは決まっているのでそちらを優先する。
「これから俺は、ザリアスに稽古をつけてもらって最強になろうと思うんだ」
ペンガはにこやかな表情で伝える。
レインは一度首を傾げるも、特に悩む様子もなくそれに賛成の意を表した。
「最強?良いと思うわ。だって稽古をつけてくれるのは、私の城に巨大な穴を開けてくれた魔族たちを統べる人でしょう?なら問題ないわ~」
若干の皮肉を添えて。
「その件につきましては本当に申し訳ございません!!」
速攻魔法発動と言わんばかりのスピードで、ザリアスはレインへと謝罪する。
「別に構いませんよ。そ・の・か・わ・り!この子を誰にも負けないペンギンにしてくださいね?」
「は、はい‥‥‥‥。ペンガは俺が責任を持って最強にしますので御安心ください」
あのザリアスが言葉だけで圧倒されているのだから、それだけレインの方が強者であるのだろう。
ペンガの前でとっていた態度は今や見る影もない。
(そんなんで良いのか、ザリアス)
時は経ち、三人は城の客間にて修行の計画を立てていた。
大雑把に修行と言っているが、細かな作業については何も計画されていなかったため、決めることになったのだ。
体術、剣術、槍術、弓術等々。
あらゆる手段を尽くし、ペンガを最強へ近づかせるための計画を練りに練った。
その結果、常人にはこなす事が不可能というレベルの鬼畜修業計画が完成してしまっていた。
「あ、あのさ、レイン?」
「なあに?ペンガ」
「これなんかハード過ぎない?」
‥‥‥‥
僅かに現れる沈黙が、次なる展開を予想させる。
「そうね!でも頑張って。ザリアス、お願い!」
ザリアスとの会話にてペンガの名前を知ったレインは、しっかりと名前で呼ぶようになった。
ちゃっかりしている。
修業計画に少し青ざめていたレインは、ペンガからの問いかけに耳を傾けるも、最後は投げやりに返した。
加えて、ザリアスに修業すら投げ出す始末。
本当にちゃっかりしている。
「しょうがない。よし、ペンガ。キツいだろうけど一年間、頑張ろうか」
「う、うん」
二人とも、自分等で立てた計画なのに、自分たちは絶対にやりたくなくて仕方がない。
それでも、決めてしまったのだからと、重い腰を上げて修業へ望むことにした。
「本当に、俺死なないよな?」
明後日の方向を眺めながら、ペンガは小声で呟くのだった。
「────ペンギン君!」
レインを見つけるや否やペンガは彼女の元へ駆け寄り飛び付いた。
そんな無邪気なペンガをレインはぎゅっと抱き締める。
(よかった、ちゃんと喋れる)
その事実に心底安堵する。
特性が無いだけであれ程までに苦労したのだ、有り難みは嫌というくらい実感させられる。
会話が成立することが嬉しくてしょうがない。
レインにぎゅっとされ、心中で特性の有り難みを説くペンガに、ザリアスは着いていけず、この状況を先へ進めるため言葉を発する。
「ペンガ、抱きつくのは構わないがやることがあるだろう?」
「あ、そうだった」
ザリアスに気づかされ、レインから体を離す。
体にはまだ人の温もりが残る。
暖かくて、心地よい。
余韻に浸っていたいのは山々だったが、既にやることは決まっているのでそちらを優先する。
「これから俺は、ザリアスに稽古をつけてもらって最強になろうと思うんだ」
ペンガはにこやかな表情で伝える。
レインは一度首を傾げるも、特に悩む様子もなくそれに賛成の意を表した。
「最強?良いと思うわ。だって稽古をつけてくれるのは、私の城に巨大な穴を開けてくれた魔族たちを統べる人でしょう?なら問題ないわ~」
若干の皮肉を添えて。
「その件につきましては本当に申し訳ございません!!」
速攻魔法発動と言わんばかりのスピードで、ザリアスはレインへと謝罪する。
「別に構いませんよ。そ・の・か・わ・り!この子を誰にも負けないペンギンにしてくださいね?」
「は、はい‥‥‥‥。ペンガは俺が責任を持って最強にしますので御安心ください」
あのザリアスが言葉だけで圧倒されているのだから、それだけレインの方が強者であるのだろう。
ペンガの前でとっていた態度は今や見る影もない。
(そんなんで良いのか、ザリアス)
時は経ち、三人は城の客間にて修行の計画を立てていた。
大雑把に修行と言っているが、細かな作業については何も計画されていなかったため、決めることになったのだ。
体術、剣術、槍術、弓術等々。
あらゆる手段を尽くし、ペンガを最強へ近づかせるための計画を練りに練った。
その結果、常人にはこなす事が不可能というレベルの鬼畜修業計画が完成してしまっていた。
「あ、あのさ、レイン?」
「なあに?ペンガ」
「これなんかハード過ぎない?」
‥‥‥‥
僅かに現れる沈黙が、次なる展開を予想させる。
「そうね!でも頑張って。ザリアス、お願い!」
ザリアスとの会話にてペンガの名前を知ったレインは、しっかりと名前で呼ぶようになった。
ちゃっかりしている。
修業計画に少し青ざめていたレインは、ペンガからの問いかけに耳を傾けるも、最後は投げやりに返した。
加えて、ザリアスに修業すら投げ出す始末。
本当にちゃっかりしている。
「しょうがない。よし、ペンガ。キツいだろうけど一年間、頑張ろうか」
「う、うん」
二人とも、自分等で立てた計画なのに、自分たちは絶対にやりたくなくて仕方がない。
それでも、決めてしまったのだからと、重い腰を上げて修業へ望むことにした。
「本当に、俺死なないよな?」
明後日の方向を眺めながら、ペンガは小声で呟くのだった。
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