笑いが絶えない機能不全家族

四月一日

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他人の気持ちが分からない

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私は、小中高一貫校から別の私立中学へと進学した。

中学一年の夏、気が早いといわれてしまえば確かにとしか思えないのだが、当時の小学校で同窓会めいたものがあった。

三分の二は、私と同じように別の私立中学へ進学したもので、恐らくは六年間一緒にいた人たちと急に会えなくなった寂しさもあったのだと思う。


私も何故か参加した。

十何人かが、小学校に集まった気がする。

今考えると卒業して半年程度の子供のために、休みの日に学校を開けてくれた先生は素晴らしい人だったのだろうと思ってしまう。誰か覚えていないけれど。

参加者には、私が、というよりも母と彼の母が仲良くしていた人も何人か来ていた。所謂ママ友だ。

割と、そのママ友の子供達が参加していた様にも思える。

母親同士が仲良しだとしても子供が仲が良いとは限らない。この件も例に漏れずそんな話。


母が最も仲の良かった母親が二人いた。その二人の子供は、それぞれ別の中学ではなく、内部進学者だ。そのため、小学校、中学校と変わらないわけだ。

その時、片方から初めて聞いたが、元々あまり得意ではなく、今はそれほど喋っていないらしい。

母親同士も、中学が変わったこともあり、以前ほど密なママ友会は行っていない様で、別のそれはそれで問題がない気もした。

母が仲良しだからとて、別に絡む必要もない。それに、私の母と彼らの母が仲が良かっただけで、お互いの母親が特別仲が良いわけではないのだろう。


私は帰宅してすぐ、母にその日の出来事を報告した。

私にとって、日々の生活の報告は義務だったのだ。

話を聞き終わった母は、和やかだった雰囲気が一変し手に持ったマグカップが割れるのでは?と思うほどの勢いでテーブルに叩きつけた。

「なんであんたはそうなの?何で避けられてることに気づいて手を差し伸べられないの?だからあんたは人の気持ちが分からないのよ」

ギラッギラにキレた目つきでそう言われて、中一の私は萎縮することしかできず、そのまま落ち込んで部屋に引きこもった。


それからずっと、自分は他人の気持ちが分からない人間なのだと思っている。

確かに完璧に分かる人の方が稀だろうとは思うけれど、そもそも、たかが半年とはいえ全く会っていない友人、いや、知人の交友関係について常に知っている方が不思議ではないのだろうか。それも、その2人と自分が仲が良いわけではないのだ。
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