笑いが絶えない機能不全家族

四月一日

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小学生の手伝い

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小学生の記憶がすっぽりと抜け落ちている。

しかし、所々、斑点模様みたいに点々と残っているものがある。


小学生の中学年の頃だっただろうか

夏休みに、何故か当時の私は母の命で、家ではなく、母の職場近くにある幼稚園に通っていた。

なんというのかは分からないが、夏休みで空いている幼稚園のスペースを有効活用したのだと思う。預かり保育の様なものだ。

通っている小学生は、幼稚園の近辺に住む小学生ばかり。


母は当時、家から車で一時間ほどの保育所で勤務していた。

私の小学校からも、車で三十分程の距離。

もちろん、そんな場所に私の知り合いがいるわけもなく、いたとしてもそんな幼稚園に通ってはいない。

何故か通わされることになった。


友が一人もおらず、かといって通っている人々は同じ小学校に通っているメンツで既に仲が良い。

私にとって唯一の楽しみは、その幼稚園に行く前に母の保育所で過ごす時間だった。

その時だけは、何といったらいいのかわからないが素直に子供としていられた気がした。


保育所というだけあり、他の先生と言われる方々も子供の相手に慣れていて、私に対しても嫌な雰囲気を一切ださない。

しかし、数日も経つと母は、どうせ暇なのだから、と保育所で使う物の用意をさせる様になった。

周りの先生は、わざわざいいといったのだが、母が止まるわけもなく、またそれを分かっている私も抵抗する事もなく請け負った。


畳んでと言われたタオルを素直に畳む。

流石に仕事で使う物となると中々の数があり、終わった頃にはそろそろ幼稚園に向かわねばならない時間だった。

「終わったよ」

一言告げ、差し出したタオルを見た母は、いった。

「何で角と角が綺麗にあうように畳めないの?こんな事もできないの?」


そのあとの記憶はない。

ただ、その一言だけが記憶に蔓延り、そうなった過程が水に溶かした絵の具のように薄っすらと残っているだけ。
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