笑いが絶えない機能不全家族

四月一日

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家族紹介:C

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Cは、はっきり言って一番可哀想だと私は感じている。

母の中の4人兄弟における最優先はCだ。しかし、母にとってのCは結局愛玩ペットの様だ。Cは、母のケアテイカーでありピエロだった。


Cが小学に入ったばかりの頃、同じ小学校に通っていたBが不登校になった。Cは、特に不満があるわけでもなく、楽しく通学していたが、母の要望により不登校をさせられた。終いには、私が後に通う事となる私立小学校へ転校させられた。


AとBは、一応は中学受験という名目があって通って居た塾に、Cは別に受験をするわけでもないのに通う事となった。恐らく、母は、もしかすると中学受験をするかもしれないと考えたのだろう。Cは、ピエロとして振る舞える程度にはAと同じ様に明るく愛嬌があった。

私達四人の中で、唯一中学受験をせずCは内部進学をした。



中学三年の六月、Cに転機が訪れた。

両親から高校は私立ではない所へ行ってほしいといわれた。しかし、中学から高校に上がるに当たっての申請事項があるらしく、詳細は当時まだ幼かった私に、勿論成人していても話したとは思えないが、話されておらず不明のまま。

とにかく、Cは高校受験を行うには内申書を出してもらえず、かといって内部進学を行うには金銭的に困窮している事態に陥った。


Cは、通信制の高校へ進学、同時に中学までの交友関係を全て断つ。

最初の内に体育の授業を取っていたり、アルバイトをしていたり、兎も角家族以外の人と接する時間を作るべきだったのだ。しかし、通信制という選択肢がなかった父母をはじめとする家族内において、体育以外で交友関係を広める方法を知らなかった。また、父母の命により大学進学を目指してバイトが禁止されていた。


Cは高校一年で狂った。

Cが出来る事といえば、勉強をするか家で大人しくPCに向きあうのみだ。愚直なCは、何らかのCの発言によりネット上の相手が「傷ついた」といってきたのを信じた。相手は遠く離れた所にいる。どうしてだか、謝りたいと思ったCは両親に頼み込んで、そこへ行く事にした。

騙された。そういうには、重くなってしまうかもしれないが、一番適している。謝るだけにとどまらず、相手が素直にいった謝礼金も持って行った。


ネット上の事とはいえ、今ほどネットでのやり取りも当たり前ではなかった当時。そもそも、軽口を叩く事で謝罪要求を、ましてや文字としてみる事など、現実のみで生活していれば今でもそうそうない。

自分にとっては大した事がない発言すらも、本気でキレられ、ましてや謝礼金すらも請求される。

そんな経験は、したくもないし、する事もそうそうない。

実際に相手が少し病気だった事もあり、余計にやり取りが難化した。

真剣に対応しようと言われた通りに赴き、お金も持って行ったのに、行ってみたら「本気か?」と小馬鹿にされて泣く泣く帰る。


文字に起こすと中々、どうして当時の彼は馬鹿正直に行ったのか、両親はどうして実際に行かせたのか気になる。


ともかく、この経験はCにとって大きな心の傷となる。

元々、何かをしているわけでもない焦りや戸惑いが募る中、突如の怒りと裏切りをぶつけられ混乱状態に。

他にも原因はあったのかもしれないが、大きなキッカケといえるこの件から暫くして強迫性障害と診断される。


家の中で見かける姿といえば、手や皿を何度となく洗ったり、テーブルや椅子といった身体が接触する部分には除菌スプレーをかける。

車で外に出かけた際には、何度となく「さっき何もひいてないよね?」を繰り返す。

外に出ると、「家の鍵を閉めたかな」「窓とか開けてきてないかな」「火や電気の消し忘れはしてないかな」

いくつかある症状の中でも、とりわけ不浄恐怖による洗浄と確認行為がひどかった様に思う。


この時期はAの激戦時代と重なる部分もあり、中々な状況だった。

父も母も、理解できない精神疾患に常にイライラしていたが、Cの確認行為は止まらない。


通信制の高校は三年で卒業したものの、そこからCが何かを始めるまでに長い間がある。
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