笑いが絶えない機能不全家族

四月一日

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はじめに

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幼稚園から大学まで私立、そこそこな企業に入社。


私の人生をシンプルに表した一文。大抵の人が私の人生を聞いて言う「お金持ちなんだね」は最早聞き飽きた。確かに、私も他人であればそう思う。だから、特別否定する事もない。


私の人生は運の良さに面白さが溢れている。

東京、大阪なんて都会でもなければそもそも本土ですらない私の実家がある片田舎に、私立の小学校は3校しか存在しない。そんなわけで、いざ小学校受験をさせたがった母も受験のやり方すらよく分かっていなかったようで、受験勉強を始める頃には年長へ上がる頃だった。

なんでも小学受験は年中の秋位には始めていた方がいいらしいが、そんなのは受験が多い都会の話。片田舎では、受ける人がいれば受かる世の中という事なのだろう。


次に、中学受験。そもそも、入学した小学校は小中高一貫だった。

私は、このまま十二年間特に受験というものに煩わされる事もないのだろう、流石にそこまで確固たる意志を持っていたわけではないがそんな感じの事を考えていたのだが、突如中学受験をするよう母に言われた。

小学六年生の六月だった。無事に中学へ入学し、周りの同級生に聞いて驚いた。中学受験をする人は、小学五年生頃から受験勉強が本格化するらしい。

無論知るわけもなく、また母も知らなかったのだろう。一先ず、無事に中学受験を乗り越え中高一貫校へ入学した。


最後に、大学受験。

私は、そもそも大学受験をするつもりはなかった。小学受験、中学受験を行い、幼稚園から含めれば十五年私立に通った結果、私は製菓の専門学校へ行きたかった。それ程までにおかし作りが好きだったわけだ。しかし、無論母がそんな事を許すわけもない。かといって、高校3年に上がるまで、テスト前以外に勉強はしておらず、成績も良いところ中の下、最悪な時は下の下だった事さえあるほど。周りの理系は医歯薬進学希望が八~九割。取り立てて医歯薬に興味もなく、かといって大学進学以外が許されていない状況。

既に夏に入っていた。どれだけ追い込みが飛躍的な人でもそろそろ始めなければいけない時期。

タイミングよく、指定校の資料が家のテーブル上に散らばっていた。

驚くべき事は、母や父が優しさから置いていたわけではない。本当に興味がないからこそ、新聞紙に挟まれた不動産チラシの扱い同様、保護者に配られる書類を置いていただけである。それを見た私は、比較的製菓の次に興味のある心理学系統の学部がある事に気付いた。いくつか大学があり、その中でも最も偏差値の高いところにしておこう。その位の軽い気持ちで担任の先生に希望を出した。

先生は、成績は中の下で理系の私より、文系で優秀な生徒の方が好ましいのだろう。それは仕方ないと思う。そもそも私は愛想も良くない。「どうせ文系がとる」とはいったものの、きちんと指定校推薦の枠を決める教員会議で私も上がったようだ。数日後に、枠が決まった旨と他の指定校推薦、推薦入試を受ける人を集め面接の練習をする話がなされた。

人生最大の運が良いと思うポイントだ。何度でもいうが、私の成績は中の下。全国平均でいけば、偏差値五十だったはず。そもそも強制的な模試以外受けた事がないので不明。そんな私が、最低でも偏差値六十五の大学へ特に苦労する事もなく入学できるのだから運が良い以外の返しが見つからない。


そんなこんなで、私の人生は略歴のみで見ると比較的幸福な部類に入ると思う。しかし、アダルトチルドレンを侮るなかれ、客観的に見えない、気づけない、更には主観的ですら気づけない不幸があるわけだ。


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