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出会い編

10.男尊女卑と女社長とガタイの良い猫

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10話目になりました。

今日は最後のセリフ言わせたかった欲求(´ω`)


※7話目の獅朗の戦略についてですが、私の拙い脳ミソでは獅朗の戦略などという難しいことは思いつかず省きました(滝汗)

.......




鼻先に犬の写真と言うエサをちらつかされ奇襲をかけられた状態で美云は獅朗に着いていく。


確かに犬はかわいいし、写真はありがたく頂戴するが、それとこれは切り離して考えないと。と、獅朗の隣を歩きながら自分の頬をぺちぺちと叩く。


「そんなに構えなくても大丈夫ですよ。」


その音が聞こえたのか、獅朗が美云をちらりと見る。


小さめのミーティングスペースに到着すると二人向き合って座る。

ふと美云は一課にいた頃を思い出してクスリと笑顔になる。


「すみません。一課にいた頃を思い出していました。」


ころころ変わる表情を不思議そうに眺める獅朗に美云は説明する。


「よほど良い思い出でも?」


「いえ。やたらデカい猫に懐かれてまして。」


「飼い猫ですか?」


「いいえ。野良、、、みたいなものかな。やたらと毛艶の良い・・・」


がさつで無礼で自分をわきまえない野良猫と時にはケンカしながら、時には手を組んで色んな難局を乗り越えてきたことが脳裏に浮かんでは消えていく。


「良い戦友でした。」


「では、私も良い戦友になれるよう努力しましょう。」


恐らく美云の話がいったい何のことかわかってはいないのだろうけど、獅朗は知ってか知らずか話を合わせるようなことを言ってきた。


では説明しますね、と獅朗が話を切り替え令息の研修について話を始める。



………


大体の話を終えて、美云の中にひとつ疑問が湧いてきた。


「獅朗さん、ひとつ良いですか?」


「はい。どうぞ、美云さん。」


「ご令息は女性から研修指導されることに対して反対はしないのでしょうか?」


世の中、色々な思考の人が溢れている中で、少なからずの人たちにはいまだ男尊女卑な思考を持っている者もいるからだ。


女性から習うことに抵抗のある男性と日々顔を合わせていても、お互いに実りがなく有意義な時間を過ごすことはできない。


悪くすると、こちらが無能扱いを受ける羽目になるのだけはどうしても避けたかった。


「美云さん、社長夫人はご存知ですか?」


「はい。今、海外のN支店の支社長をしていますよね。」


「はい。そうです。社長夫人は夫人の座に座っていることだけを善しとせず、男顔負けに事業を引っ張っていく方です。」


獅朗の話は続く。

そんな女性に育てられたご令息が女性差別をすると思いますか?答えは否。むしろ、女性は有能な生き物だと理解して、もしかしたら将来、社員全員が女性の会社を作ってしまうかもしれません。と締め括る。


「それはそれで問題有りそうですけどね。」


二人、顔を見合わせてぷっと同時に笑ってしまう。


「もしも、の話ですよ。」


「昔、任されたプロジェクトの取引相手がまさに女性を蔑視していたので。それを思い出してしまったんです。」


そういう相手には女性が何を言っても何をしても話が進まない。この時に美云は使えるものは何でも使うの精神で男性社員にバトンタッチをすることを覚えた。

もちろん戦略は美云が考えた戦略のまま。


そのお陰で作戦は見事に成功したが、王財閥としてはそのような意識の人間が社長をしている会社に難局を示し、取引はこの時一回きりだった。


その噂が世間に流れたのかどうかは不明だけれど、今現在のその会社の業績は芳しくないようだった。


「ん?それならむしろ、社長夫人が教育すれば良いのでは?」


教育とはいかないまでも、社長秘書として学んだ方が良くないだろうか?と言う疑問が生まれる。


「ご令息は身内贔屓されたくないそうです。様々な人たちの中で波に揉まれることを望んでいるそうですよ。」


なるほど。特別扱いを受けたくない。ということか。


「良くわかりました。」


「じゃあ、他に質問はありますか?」


「あるとすれば、お給料面についてでしょうか。」


それは今後、要相談で。ということになり今回の話し合いは終わることとなった。


じゃあ、私はこれで。と言って一課に戻る獅朗を、何とはなしにエレベーターまで見送ることにした美云は、獅朗と一緒にエレベーターまで歩いていく。


「あの、獅朗さん、」


「はい、なんでしょう、美云さん。」


「ジンの写真、ありがとうございました。」


「いいえ。それくらいお安いご用ですよ。」


「あ、それと」


何かを思い出したかのように獅朗が言葉を繋げる。


「はい?」


「今後、私のことは獅朗とだけ呼んでください。さん付けは不要です。」


突然そんなことを言われて戸惑うも、そもそも今日の獅朗は奇襲のようだったし、社内では役職のある人も含めて全員が名前で呼びあってるので、まぁ良いかという気分にさせられる。


「・・・はい。では獅朗、今日はありがとうございました。」


チンと音がしてエレベーターの到着を知らせる。


「ではまた、美云。」


呼んで良いと言ってもないのに、獅朗は美云を呼び捨てに呼ぶと、優男スマイルを向けてからエレベーターの向こうに消えていった。



………




◆物語補足◆

今の二人の意識はどーなってるのさ?と思う方もいると思うので補足です。


必要ない方は読まずに飛ばしてください_(..)_







獅朗は大好きまではいかないですけど"なんか好き"みたいな意識です。が、無意識での気持ちなので表面上の意識では気づいてない状態です。あと甘え下手です。

表面上では、使える人は何としてでも手に入れる。みたいな無機質な感じでグイグイきてる感じです。


美云は、イケメンは嫌いではないです。ですが過去の痛手(最初に少し語りましたが詳しくは後々物語でお伝えします)のせいで恋愛対象としてはイケメンが苦手なので、優しくされればされるほど好きになっちゃいけない。と距離を置こうとします。


獅朗は相手が距離を置こうとすればするほど涼しい顔して色んな作戦で追いかける男の設定です。


もどかしい三十路の恋がテーマなのでかなりもだもだします。


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