23 / 26
23. まこと
しおりを挟む
【洋介の話】
嘘をついているわけじゃないけど、本当の事はまだ内緒。
別に意地悪でも何でもないんだけど、それを知って遠巻きにされるのは寂しいし。
それに俺の正体を知らなくたって特に支障はないし!
そんな感じにのらりくらりと躱しながらきたけど、そろそろそれも難しいかも。
あーあ、残念。
そんなことを思いつつ、俺は捕らえていた裏切り者の元へとやってきた。
SF映画に出てくる研究室みたいな部屋の中に男が一人座っている。真っ白い壁に囲まれていて窓がないように見えるけど、実は一部分だけマジックミラーになっていて、部屋の外から中の様子が見える。あやかしが最新設備を使ってるなんて、誰も思わないだろうなー。でも、俺は使えるものは使う主義なんだよねー。
十畳くらいの広さがあるのに、中央に置かれた椅子だけがこの部屋にある唯一の家具だ。
そこに座って項垂れている男は、意識がないように見える。
「はいはーい、起きてくれるー?」
マジックミラーの向こうで俺が話す声は、男のいる部屋のスピーカーからも聞こえる。俺の声に導かれるように、ノロノロとした動きで男は顔をあげた。目の焦点は合っていないし、これでは正常な判断ができるかも怪しい。でも、限界までやっちゃってって言ったのは俺だからなー。
どうしたもんかと唸りつつ、俺は男のいる部屋の中に入ることにした。面倒だけど、直接頭をいじったほうが早そうだし。
男に近付いてもほとんど反応がない。口を割らせるために精神的にも肉体的にも限界まで苦痛を与えてるもんね。でも、お気に入りの子たちにちょっかい出されるのは嫌いだし、ましてや道具のように使おうと近付くなんて許されないよねー。そんなことしたくせにまだ命があるなんてマシな待遇でしょ。
頬を軽く叩いてやると少しだけ目に正気が戻る。そして、目の前にいるのが俺だとわかった瞬間、目に恐怖が宿り、男の体は震え出した。
「へー、怖がるってことは意識もちゃんとしてるってことだよね。それなら、知ってることは全部吐こうか」
「し、知らない……んです」
「まさかー。それがまことだと誰が信じるわけ?」
「でも、知らないものは知らないって……ぐっ!」
思わず、前髪掴んで目を合わせちゃったよね。視線があった瞬間、男は白目を剥いて泡を吹き始めた。本当に知らないのかもしれないけど、それは免罪符にならないし。
ちょっと精神に強めに刺激を与えただけだから、死にはしないだろうけど、まる一日くらいは意識が戻らないかもしれないな。余計な仕事増やしてくれたお仕置きだよ。もうさ、うちの組織に属しているくせに、他に尻尾振ってもらっちゃ困るし余計なことされるのは大迷惑なんだよね。周りにも示しがつかないし。今後こういうことがないようにするためにも、しっかりしないといけない。
さてと、この間に、綾ちゃんと一緒に人間の方と話をつけに行けばいいか。
俺は男の見張りをこれまで通りにしておくことを告げて部屋を後にする。
さっさとこの問題を解決して、俺はのんびり学校生活送りたいんだよねー。お気に入りの子たちを眺めつつ楽しい学校生活を送るのを夢見て、わざわざ学校に通いはじめたというのに。
そのためには少しの間頑張らないとな。
学校の理事長としても、俺の学校で好き勝手されるのは許せないし。
でも本当に面倒くさいの嫌いなんだけどなーとぼやきつつ、綾ちゃんのとの待ち合わせ場所に向かうのだった。
嘘をついているわけじゃないけど、本当の事はまだ内緒。
別に意地悪でも何でもないんだけど、それを知って遠巻きにされるのは寂しいし。
それに俺の正体を知らなくたって特に支障はないし!
そんな感じにのらりくらりと躱しながらきたけど、そろそろそれも難しいかも。
あーあ、残念。
そんなことを思いつつ、俺は捕らえていた裏切り者の元へとやってきた。
SF映画に出てくる研究室みたいな部屋の中に男が一人座っている。真っ白い壁に囲まれていて窓がないように見えるけど、実は一部分だけマジックミラーになっていて、部屋の外から中の様子が見える。あやかしが最新設備を使ってるなんて、誰も思わないだろうなー。でも、俺は使えるものは使う主義なんだよねー。
十畳くらいの広さがあるのに、中央に置かれた椅子だけがこの部屋にある唯一の家具だ。
そこに座って項垂れている男は、意識がないように見える。
「はいはーい、起きてくれるー?」
マジックミラーの向こうで俺が話す声は、男のいる部屋のスピーカーからも聞こえる。俺の声に導かれるように、ノロノロとした動きで男は顔をあげた。目の焦点は合っていないし、これでは正常な判断ができるかも怪しい。でも、限界までやっちゃってって言ったのは俺だからなー。
どうしたもんかと唸りつつ、俺は男のいる部屋の中に入ることにした。面倒だけど、直接頭をいじったほうが早そうだし。
男に近付いてもほとんど反応がない。口を割らせるために精神的にも肉体的にも限界まで苦痛を与えてるもんね。でも、お気に入りの子たちにちょっかい出されるのは嫌いだし、ましてや道具のように使おうと近付くなんて許されないよねー。そんなことしたくせにまだ命があるなんてマシな待遇でしょ。
頬を軽く叩いてやると少しだけ目に正気が戻る。そして、目の前にいるのが俺だとわかった瞬間、目に恐怖が宿り、男の体は震え出した。
「へー、怖がるってことは意識もちゃんとしてるってことだよね。それなら、知ってることは全部吐こうか」
「し、知らない……んです」
「まさかー。それがまことだと誰が信じるわけ?」
「でも、知らないものは知らないって……ぐっ!」
思わず、前髪掴んで目を合わせちゃったよね。視線があった瞬間、男は白目を剥いて泡を吹き始めた。本当に知らないのかもしれないけど、それは免罪符にならないし。
ちょっと精神に強めに刺激を与えただけだから、死にはしないだろうけど、まる一日くらいは意識が戻らないかもしれないな。余計な仕事増やしてくれたお仕置きだよ。もうさ、うちの組織に属しているくせに、他に尻尾振ってもらっちゃ困るし余計なことされるのは大迷惑なんだよね。周りにも示しがつかないし。今後こういうことがないようにするためにも、しっかりしないといけない。
さてと、この間に、綾ちゃんと一緒に人間の方と話をつけに行けばいいか。
俺は男の見張りをこれまで通りにしておくことを告げて部屋を後にする。
さっさとこの問題を解決して、俺はのんびり学校生活送りたいんだよねー。お気に入りの子たちを眺めつつ楽しい学校生活を送るのを夢見て、わざわざ学校に通いはじめたというのに。
そのためには少しの間頑張らないとな。
学校の理事長としても、俺の学校で好き勝手されるのは許せないし。
でも本当に面倒くさいの嫌いなんだけどなーとぼやきつつ、綾ちゃんのとの待ち合わせ場所に向かうのだった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる