【完結】私の婚約者は妹のことが好きみたいですが、その子はやめた方がいいですよ？

突然の婚約破棄

今日は婚約式だ、貴族というものはとにもかくにも面倒な生き物で結婚式以外にも盛大なパーティーをするのが好きらしい。

勿論私たちの婚約式ではない、私とアルの共通の友人が婚約するとかで2人で呼ばれたのだけれど、このめでたい場所で、沢山の貴族が集まってる中でアルがまさかとんでもないことを言い出すなんて思いもしなかった。

アルのご両親も私の両親もアイラもこの場には来ていたけれど、アルが突然私に向かって「ミエラ、君との婚約を破棄したい！私には他に想い人ができた、君にもいるはずだ！」と言ったのだ。

あいにくと私はアルのことを恋愛として好きではないが、だからといって他の殿方に心奪われてるということももちろんない。

それでも、私の反応がないことは肯定と受け取ったのかアルは続けた。

「私はつい先日、君が見知らぬ男と2人会っているところを見かけた、ミエラもその彼のことが好きなのだろう？」

と、呆れてものも言えない。
私には心当たりがなかった、誰のことを言っているのかさっぱりだ。

不貞を疑われるような軽率な行動を私はしたことがなかった。
殿方と2人で会うことなんてことするはずもない。

首を傾げて考え込むと、ふと思い出した、もしかしてアルが言っているのは「アル、私が男性と2人でいたところを見たと言いましたが、その方は金色に輝く美しい髪色をした方のことでしょうか？」

「そうだ、後ろ姿しかみていないが、ミエラよりも背が高く金色の髪を後ろに1つにまとめていた」

「そう…ですか、はぁ……不貞を疑われたことは許しましょう、ただ、なぜ2人きりのときに話してくださらなかったのか」

「…………？」

「あの方は私の遠縁ですよ、恋仲でもなければ想いを寄せているわけでもありませんし、お父様もお母様も知っています」

私の言葉を聞いたアルは可哀想なくらいに狼狽えていた、それもそのはずだ。
私にも想い人がいるのだから、お互いに我慢して結婚する必要が無いと考えたのだろう。

22歳にもなって家同士が決めたことを自分の一存で相談もなく勝手に決めて、結婚を控えていたにも関わらず他の女性に恋したから婚約破棄したいと一方的に押し付けた、しかも、沢山の貴族が集まるこのよう場でだ。

私の名誉を傷つけたということで彼はこのあとどうなるのかなんて想像に容易い。

ちらりとアルの両親を見てアルの馬鹿な行動に頭を押えていた、頭が痛むのかもしれない。

私の両親はどういった感情なのか、無表情になってるし、あれはきっと怒ってるのかしら？
息子のように可愛がっていた子が突然私に恥をかかせたんですものね。