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番外編
番外編 キリヤとユーリその後
しおりを挟む俺は入学パーティの時に呪われて眠っていたから、目が覚めてからそのまま通うことになったんだけど、そりゃあもう呪いから目が覚めたってことで凄い騒ぎになった。
悲劇の宰相の息子が愛の力で目が覚めたとか、なんかまあ好き勝手噂され本にまでなったって俺で楽しむのはやめてほしい。
問題はこれ以上にキリヤが過保護になりすぎたことだ、王宮騎士団団長という立場を辞して俺の護衛役として片時も離れなくなった。
誰がこんな未来を想像しただろうか、呪われてるとき長い長い夢を見ていた気がするけど内容まで覚えてない。
呪いが解けたことで記憶から抜けたんだなとみんな納得していたが、俺はなにか忘れてる気がしてならない、だってさ、俺の呪いを解いた方法を全員がわからないってそんなのおかしくないか?
それを訴えても忘れてるものはどうにもならないから、気にするなって終わってしまったけど。
と現実逃避をいくらしても、現実は変わらないわけで、キリヤが護衛役だときかなくてついてきたんだよな。
学園にまでついてきて、そこで帰るのかと思えば授業中にも俺を見守るなんてなにを考えてるのか理解できない。
俺そこまで恨みを買う人間じゃないじゃん、呪われるほど憎まれた俺が言うのもおかしいかもだけどさ。
それなのになんでこんな…、真剣に魔法学の授業に耳を傾けてるというのに突き刺さるような視線を背中に感じて気が散ってしょうがない。
キリヤは俺が起きてから独占欲と過保護が悪化したようだ、俺が少しでも他の人に視線を向けるのが気に入らないみたいで困るのに、それがちょっと嬉しいって思っちゃう俺ってイカれてんのかな?
キリヤの視線を浴びながらゾクゾクする自分の性癖なんて知りたくなかったよ、興奮しちゃいそうで勘弁してほしい。
おそるおそる自分の股間に視線を向けるとまだ大丈夫だ、反応してないようだ。よかったとほっと胸をなでおろした。
キリヤの視線に丸裸にされてるような気分で授業が終わるとすぐに抗議のためキリヤのほうに近づく。
すると、キリヤに顎を掬われ視線が重なり合って、ここが教室だとか、みんな見てるとか忘れて俺は頬を染めて潤んだ瞳で見つめる。
「ふっ、物欲しそうな顔してるな、そんなに俺がほしいのか?」
耳元に寄せられた唇が触れそうなほどの距離で低く囁かれる言葉にゴクリと喉が鳴る。
欲しい、でも、今はまだダメだ、このあと実践訓練とかあるし、授業に集中できなくなっちゃう。
ふるふると頭を振って「ダメだよ、まだ…」とキリヤの腕を掴んで上目遣いで言葉を紡ぐ。
キリヤが眉間に皺を寄せて、欲を孕んだ瞳で俺を見るから体が昂りそうで視線を思わず逸らした。
教室にいた生徒から視線を浴びて幾分か冷静になれるかと思ったのに、ますます興奮しちゃって、キリヤと1つになりたい欲が頭をもたげはじめると楽しげに笑ったキリヤが頭をポンポンと撫でてきた。
「そんな顔するな、俺以外に見せていい顔じゃない」
「はっ…、だって、キリヤのせいじゃん」
「そうだな、すまない、帰ったらたっぷり可愛がってやろうな?」
意地悪く笑うキリヤの言葉に頬に熱が集まって火照る。
顔が真っ赤なんて想像に容易くて、むっと唇尖らせ拗ねたような表情でキリヤを睨みつけた。
「ほんっとそういうことだよ!キリヤのバカ!」
「悪い悪い」
反省なんて全然してないくせに心にもない謝罪をしながら、俺のことを抱きしめてきて教室内がザワつく。
真面目な元騎士団長が人目もはばからずイチャイチャするなんて誰だって予想していなかっただろう。
俺だってそうだ、でも、この瞬間は俺の心は歓喜に溢れるんだ、だって、あのキリヤが俺に夢中なんだって見せつけるのができるから。
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