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本編4章
キリヤとの恋愛フラグ立ちすぎてます。
しおりを挟む日に日にキリヤの態度がおかしくなってきた、どう考えてもこれは惚れられたと思わせるほどに俺を見る瞳がとにかく優しくて甘くて蕩けそうな微笑み付きというあれだ。
完全に俺はやらかした、やらかしたことだけはわかる。
そりゃあ護衛だから距離が近いし、常に一緒にいるし、キリヤが成長するにつれてほかの護衛は減ってキリヤだけというなんて贅沢な待遇。
無事に16になったはいいんだけど、キリヤは特別講師としてではなく、俺の護衛として学園についてくるしで、とにかく俺は目立った。
さらに学園で再会したアッシュとリバーにも言い寄られて、なんだか最初の頃と同じくらい皆から愛されてる気がする。
シエルとカナタも俺にべったりだし、むしろ、キリヤが俺の護衛として俺と同じ部屋で寝てるせいか、さらに言えばシエルは俺とカナタが同じベッドで寝てるのを目撃したのもあってか、嫉妬メラメラ対抗心むき出しといった状況だ。
カナタはカナタで弟である立場を最大限にいかして、俺と朝から食事の時にあーんって食べさせ合いっこするという見せつけ行為……ただ、変なんだ。
こんなことをしてるのに誰一人として闇落ちしてない、今のところ。
1周目はあっさりみんな闇落ちしてアッシュ以外は無理矢理されたけど、今回ないんだよな。
キリヤと俺が一緒に寝てるから家ではカナタもシエルも襲えないのはわかるけど、アッシュやリバーも俺とキリヤがベッタリでもバチバチはしてるけど、レイプされるとかはない。
なんなんだこれ?こんな展開がくるなんて予想外すぎて、これから先何が起きるのか、正直不安だ。
絶対良くないことの前触れな気がしてならない。
嵐の前の静けさのように平和な生活に終止符が打たれてしまった。
キリヤがどうしても護衛を離れなければいけなくなったからだ。
副団長としていつまでも宰相の息子だからという理由で俺の護衛を続けていくなんて無理なのはわかってた。
ただ、期間としては1週間程度で、そのあとはまた俺の護衛に戻るんだとか、その話をどこで聞いてたのかカナタがついに動いた。
意識が遠のく中で最後に見たのはカナタの不敵な笑顔で犯人がカナタなのはわかってる。
そこで意識が途絶えて目が覚めてみたら知らない部屋だ。
ゲームの中で監禁されてたところとも違う、薄暗い部屋に目をこらす。
今は朝なのか昼なのか夜なのか、それすらもわからない。
ここは一体どこなのか、検討もつかないし、シエル達がいないことに気づいて見つけてくれることを祈るしかないと感じた。
ギギィと軋んだ音を立て扉が開くとそこになカナタが立っていた、予想通り、ここに連れてきたのはカナタらしい。
「カナタ、なんでこんなこと……」
そう問いかけても返事はない、ただ、黙って俺に近づいてきてカナタは無邪気に笑う。
子供らしい笑顔を浮かべてるけど、やってることは誘拐だ、騙されてはダメだと睨みつける。
「なんでね、兄様のことを好きなのは気づいていたでしょう?だから、ずっとずっとキリヤが邪魔だった、護衛なのはわかってる、それでも、アイツと兄様が一緒に寝るなんて腸が煮えくり返りそうだったんだ」
「それは……」
「ねぇ、なんで嫌がらないの?キリヤのこと好きだった?」
ギョロっと目を大きく見開いて俺の頬を掴んで間近で覗き込む瞳は暗く澱んで見えた。
俺はこの子にこんな表情をさせたかったわけじゃないのに、なんで、どうして……?
結局こうなることは変えられないのか、運命からは逃れるのはできないのか、神様だかなんだか知らないけど、俺達の運命を勝手に弄るのはやめてほしい。
「ねぇ、答えてよ、兄様はあいつが好きだったの?」
「恋愛として好きとかじゃない、兄のように慕ってはいたが……」
「ふーん…ねぇ、兄様、兄様は知らないだろうけど、前回の終わりに兄様の死体が燃やされる前に綺麗に僕の中におさめたんですよ」
恍惚とした表情で紡がれる言葉に俺の思考は停止した、だって、おさめたってどういうことだ?
俺の死体を食べたってこと?カナタが……、いや、たしかにカナタはそういうところがあるのは知ってるけど、本当に?
混乱する頭でカナタを呆然と見つめると舌なめずりしたカナタが俺の耳元で囁く。
「兄様美味しかったです、また食べたいです」
と囁かれて、カリッと耳朶を優しく噛まれた。
ゾッとして寒気が背中を走り抜けた、本当に食われる、性的とかじゃなくて物理的にそう本能で感じた。
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