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本編3章
事件は起きた。
しおりを挟むあれから1週間、キリヤはなぜかデスペア学園の特別講師ではなかったものの会える機会があってようやく今日キリヤに会えることになった。
父の仕事に同行して王宮に来て、今俺は騎士団の詰所に寄らせてもらってる。
そこでキリヤを呼んでもらって、実に6年ぶりの再会となったわけなんだけど、会って早々違和感があった。
本来なら久しぶりとなるはずが、キリヤに「はじめまして、ユーリ様、今日は私になんの御用でしょうか?」
へ?待て待て、なんでこんな他人行儀の初対面な感じなんだ?
俺が驚いて何も言えないでいると首を傾げたキリヤに心配されてしまった。
「ユーリ様、どうかなされましたか?」
「あ、いや、えっと……キリヤ様はご兄弟はいたりしませんよね……?」
「はい、残念ながら私は一人っ子でして、兄弟はいませんが…」
「……あの、俺と会ったことはないんでしょうか…?」
「今日初めてお会いします、ユーリ様にご挨拶をと何度か伺ったのですがタイミングが悪くお会いすることがかないませんでしたから」
「そう…ですか、わかりました、キリヤ様今日はお時間を取らせてしまい申し訳ありませんでした、また後日今度はゆっくりとお話がしたいです」
頭を下げて俺はその場を後にした。
だって、おかしい、本当に変だ、何が起きてるんだ?
キリヤは俺に会ったことがないっておかしいだろ、じゃあ、俺が10歳の頃に会ったキリヤは誰だったんだった話になる。
たしかにあの時、周りの人もキリヤをキリヤだと思っていた、なのにキリヤは俺とは初対面だって、あの手紙を渡してきたのに……なぜ?
まさかの無駄足になるなんて思ってない展開に俺は焦っていた、何が起きてるのか確かめようにも手がかりが全く掴めないからだ。
手がかり……そうだ!!
家に帰宅した俺は急いで自室に向かう、そうだ、なぜ忘れてたんだろうか、俺の部屋の天井の違和感、子供の頃だからとれなかっただけで今なら取れる気がする。
部屋に入れば、普通に手を伸ばしても届かないのはユーリが低身長のため理解してるので、椅子を足台にして手を伸ばしてみる。
違和感があったそこに指先が触れるとパァーっとあたりが明るくなって魔法陣のようなものが浮かび上がって……そして…………、消えた。
「は?」
なんで、どうして!?魔法陣が発動したように見えたけど、不発だったってことか?
とくになにか部屋の中で変わった様子は見かけられない、どうなってるんだこれ、誰がなんの目的でここに魔法陣を……それになんで不発なんだよ。
椅子からおりて、ベッドに座って項垂れた。
せっかくの手がかりだとおもったのにぬか喜びか。
入学してから2週間が経過した、結局のところあの魔法陣がなんだったのか、不発だったのか、よくわからないままだし、キリヤもなぜ俺と会ったことがない認識なのかもわからないままでいた。
正直意味がわからない、2周目確定してるのになんでデスペア学園にキリヤが来ないのもわからないし、予想外すぎる行動が多すぎて俺は困惑していた。
予想外といえば、リバーだ、リバーはすげぇいい先生として俺達生徒に接していた。
俺にも良き先生として接してくるからこれが本当に意味がわからない。
リバールートから外れたとしてもここまで普通なのか?
そもそも、リバールート外れてるなら、カナタルートかシエルルートかキリヤルートになるけど、キリヤはここに来ない時点でキリヤも外れてる。
残すのはシエルかカナタになるけど、シエルはそもそも生きてるのかさえ不明で、カナタは一緒に暮らしてるけどとくに変化は見られない。
カナタもここに来てるのは来てるから、2周目確定ルートになってるのにだ。
ここまで予想外の出来事が続くと俺はどう行動するのか正解なのか、全くもって検討がつかなくて困ってる。
驚く程に平和すぎて、アッシュとシエルもこれでいてくれたらっておもうくらいに。
なんて油断してると酷い目にあうってことを俺は今回学んだ。
帰り際にリバーに呼び止められて、手伝いを頼まれたから俺はまぁ今回のリバーすげぇまともだしと手伝いを了承した。
その結果、俺はどこかわからない地下室に連れてこられた。
待ってくれ、これゲームの世界では見たことがない場所だぞ?
目を覚ました時に驚いたのはまずはそこだったからな、ゲームで見たことがない場所に監禁されるってそんなことがあるのかよ。
両手は頭上で拘束されてるし、足には重りがついた?枷がつけられてるから逃げ出すのは不可能だな。
しかも、厳重かよってくらいにこの手枷、足枷には魔法封印が付与されてて魔法を使おうとしても発動しない。
魔法使って逃げられないようにされてるようだ、よく見れば室内には結界がはってあるからこれ俺たぶん外では存在消えてるな。
最悪だ、忘れてたよ、リバーは魔法陣のスペシャリストであることを、なんで今なんだよ思い出すの。
実力は未知数だが、魔法陣を使うことにたけているから油断なんてしちゃいけなかったのに。
おそらくこの結界内にいると俺のことは分からないはずだ、最初のときにリバーにレイプされた時、誰も助けに来なかったのだからあの時と同じ結界をはられてると考えてまず間違いないだろうな。
さすがに色々とありすぎたからか、拉致監禁されてるらしい状況でも頭は冷静に物事を考えることができる。
問題はここをどうやって脱出するかだけど、無理じゃね?
グンと手を引っ張ってみるが鎖は繋がれてないのに磁石のように壁の方に引っ張られる。
その力が強すぎて壁から離れていくなんて無理だ。
足の方の足枷はたぶん重りというかあれか、地面の方に引っ張られてるのかこれ?
重りをつけられてるようなそんな感覚だし。
「ああ、これ詰んだな」
魔法が使えれば重力を軽くするとかできるが、手足を拘束してる枷にそれは封印されてる。
となると、魔法は使えない、魔法が使えなきゃいくら俺が鍛錬積んでても無理だ。
この主人公のスペックの問題で魔法なしでどうにかできるほどのフィジカルゴリラにはなれなかった。
くっそ、マジでどんだけ鍛錬積もうが俺の身長は伸びないし、筋力もつかないんだよ。
研ぎ澄まされるのは感覚だけで、その感覚もリバーには意味がなさなかったけど。
元から体格不利ではあるからな、あっちはバカでかい長身で俺はチビ、子供と大人かってくらいに身長差があるんだからそうなるか。
それにリバーって触れただけで人を眠らせるのが得意だ、完全に油断してたから触れても気にしてなかったし、その結果俺は眠りに落ちて起きたらこことか、完全に笑えねぇよマジで……。
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