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本編2章

人生二週目はじまりました。

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「……ま…ゆ、……さ…い…」

怖い表情の女性が自分になにかを叫んでいる。
そこで、ハッと目が覚めた、見覚えのある天井が視界に飛び込んできて、え?と固まった。

だって、僕は…アッシュと一緒に死んだはず…だ。

なのになんで?

辺りを見渡すとどう見てもここは、家族と一緒に暮らしていた家だ、アッシュと暮らした部屋じゃなかった。

起き上がって違和感に気づく、目線が明らかに低い、ベッドから降りる際に見えた足の小ささにアレ?と慌てて鏡を覗き込むと俺は子供の頃に戻っていた。

見た目的にたぶん5、6歳の頃だ、なんで?どうして?

慌てて日付を確認すると今日は、アッシュと出会う日だった。

アッシュに会いたい…、会いたい気持ちがないなんてことはない、1人で死なせたくないから、だから、俺は一緒に死ぬことを選んだんだ。

だから本当はアッシュと幸せになりたい、でも、無理だ、どうやったらヤンデレ阻止できるのかわからないし、アッシュと仲良くしようとすれば自然とキリヤとリバーとの接点も増える危険性があるから。

今日は部屋から出ないことにしよう。
アッシュとの幼少期の出会いをなかったことにするのが1番だ。

なかったことにすれば、きっとアッシュは俺を好きにならない。

たぶんだけど、それに前回の失敗をいかして今回は猫をかぶるのをやめる!

全部全部前回失敗した原因を取り除けば、全員との恋愛フラグを折ることができるかもしれない。

カナタには悪いけど、優しくしない、弟大好きって感じで接したのがきっと失敗の原因だろうし、シエルにもそうだ、執事と主人の距離感を作る、キリヤとも距離を置いた付き合いを心がけて、問題はリバーか…。

リバーだけはよくわからないんだよな、どうやったらいいのか、実は知らないだけでどこかで会ったりしてんのかな。

とにかくこれからの対策を考えなきゃな、本棚を見てみると前回書いた日記が出てきた。

え?なんで?

日記をペラペラまくるとそこには、やっぱり、前回書いたものが記されていた。
つまりこれって…また今回失敗しても次にいかせるってこと?ここに色々と細かく書いていけば。

なんでこんなご都合なアイテムが存在してるのかわからないが、ゲームの中ではなかったはずだし、とりあえず、俺はこれを利用しない手はないと思った。

日記を持って机に向かって座ると、前回の失敗点をまとめて書いておく、リバーについてはいまだフラグがどうやって立つのか不明と。

キリヤと距離を置けば、リバーのフラグも立たないのかはわかんないしなー。

書き終わってからパタンと閉じて隠すように本棚にしまった。





アッシュと無理心中するくらいには、アッシュに好意をもったけど、それでもまた同じ悲劇を繰り返すくらいなら今回はアッシュとのフラグを折るために俺はあの日、会わないように避けた。

あれから半年経過しても俺の身の回りではとくになにも起きてない、たぶん、アッシュとのフラグは折れたよな?

入学してからだって節点がないわけじゃないけど、クラスが違うから俺が積極的に関わろうとしなければ好感度なんて上がらないし。

たぶんいける、大丈夫、アッシュが他の誰かと結婚するのはつらいけど、これはしかたないことだ。
そう自分に言い聞かせるしかない、俺の中でアッシュに愛された日々を思い出として大事にすればいい。

アッシュと関われば関わるほどにキリヤとリバーとの接点も増える危険性があるし、八方塞がりというか、うん、やっぱり、俺は今回こそは恋愛フラグ全部折って無事にどこかの令嬢と結婚して子供作って平穏な日々を送ろう、そうしよう。

そりゃあ燃えるような恋とか、死んでもいいと思えるくらいの恋を知ってしまった後だとそれでいいのかって思うけど、いいに決まってる。
家族がみんな生きて、孫を見せることができればそれが幸せなはずなんだ。

そうと決まれば、1番気をつけないといけないのは一緒に暮らすからシエルとカナタの2人だな、あの2人は要注意人物だ。

気を引き締めて油断しなければ大丈夫のはずだよな?前回は優しくしたのが原因だもんな。

あとは…、これが一番大事だ、ゲームの中のユーリを演じない!
ユーリはとにかく可愛い、一人称は僕で仕草がいちいち可愛いし、それを見本に一応ユーリを演じた、演じたからの恋愛フラグとかないかな?

俺自身はかわいい系とは無縁だと思うし、まぁ、SEXの時は万が一にも可愛いのかもしんないけど。

うわっ、思い出したら恥ずかしくなってきた…。

ゴロゴロとベッドを転がり回ってジタバタしてると扉をノックする音が聞こえて、ハッと我に返って「はーい!」と返事をすれば扉が開いて、俺の世話係がどうやら俺を呼びに来たらしい。

なんでも大事なお客様が来てるとかで、俺の事を父様が呼ぶように言ったんだとか、え?どういうこと、俺これ前回の時に記憶にないんだけど……。



俺は今、人生最大のピンチに襲われていた。
父様に呼ばれたまではよかった、問題は何故、そこで国王様とアッシュがいるのかだった。

俺が16になるまで国王様と会わないわけじゃないけど、アッシュがいることなんてなかったし、それに……アッシュ女の子の服装じゃない。

なにが起きてるのかわからない、なぜ、アッシュが男の子の姿でここに来てるのか、なぜ、国王様と一緒なのか。

困惑しながらも挨拶を済ませてから椅子に座ると、にこにこと笑顔のアッシュ、それから国王様に困惑を隠しきれない。

膝の上で手をぎゅっと握りしめて、意を決して口を開く。

「あっ、あの、私はどのようなご用件で呼ばれたのでしょうか?お父様」

「うむ、実はな、国王陛下がアッシュ皇太子殿下とユーリを婚約させたいとおっしゃってくださってな」


???????

宇宙猫のような背景に宇宙を背負った顔をしていたと思う、だって、あまりの事に事態をのみこめないどころか、理解が出来なかったからだ。

情報がいつまでも完結しないってこういうことをいうんだと冷静な自分もいた。


「失礼ですが、皇太子殿下と私はその…同性なのですが、時期国王の婚約者としては相応しくないのではありませんか?」


何を言ってるんだという顔で見られて、え?なんでそんな顔してんの?と混乱して眉尻が下がる。

「そうかそうか、ユーリはまだ7歳だからな、教育がまだだったな、男でも子供が産めるからなんの心配もいらないぞ」

笑顔で父様何を言ってるんだ?そんな設定このゲームになかったはずだけど、男性妊娠なんてネタなかったはずだけど!あるなら誰かしらユーリを孕まそうとしたでしょ、なんで、どうして!?!?

ゲームがモデルの世界?なだけで、ゲームとは違うんだってことは理解してるけど、前回俺妊娠しなかったけど、ぶっちゃけあれだけ中出しされたんだから、妊娠するなら妊娠してるはずだ。

なのにしなかったってことは、しないはずなのに、父様は気が狂ってしまったのか?

混乱しすぎて表情が抜け落ちて、父様を見れば父様が不思議そうな表情で俺を見ていた。

「どうかしたのか?ユーリ」

「あっ…いえ……、あの、ですが、皇太子殿下は私でいいのでしょうか?」

「私がお願いしたんだ、ユーリと婚約したいって…」

んんんんん?????
なんだってえええええ!?!?!?!?
会ったことないはずなのになんでそんなことになったんだ????

何回宇宙を背負えばいいのかわからないが、とにかく俺は情報過多で子供の体では処理しきれず、その場で倒れてしまったのだ。

最期に見たのが、心配そうに駆け寄ってきてくれたショタアッシュとか最高です。

なんて思いながら意識を手放した。



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