15 / 62
本編1章
壊すならどこまでも。 アッシュ視点
しおりを挟む自分に対して笑顔をよく見せて、笑うようになったユーリは可愛かった。
心の底から愛おしいという感情と、壊してしまいたいという感情が綯い交ぜになって私を苦しめていた。
優しくしたい、愛したい、そう思うのと同時に壊してしまいたいという破壊衝動、歪んだ愛情をユーリに抱くようになった。
ユーリに全てが終わったことを話した時、キリヤ、リバー、カナタ、シエルの4人がどうなったかも知りたいだろうとついでに話せば、キリヤが死んでしまったことにひどく心を痛めたようでユーリが泣き出した。
それが私は許せなかった、ユーリが私以外に感情を乱され、自分のせいでこんなことになったと責めて泣くなんて…。
ギリギリで踏みとどまっていた私の中に淀んだ暗い感情が溢れてきて、たしかにあの時、吹っ切れてしまったんだ。
可愛いからこそ、愛しいからこそ、全てを壊したくなった。
信じていたものに裏切られたと知った時、ユーリがどんな反応をするのか、私への憎しみが、私への復讐心がユーリの生きる糧になるのならそれでもいいとさえ思えた。
ユーリがこのままでは…きっと、罪悪感から死を選んでしまう気もしたから。
ユーリから全てを奪ったのは私だ、私に責任がある。
家族も友達も慕っている相手も、私にとってはそれら全てが目障りだった。
ユーリが私以外に微笑むのも、ユーリが私以外に心を砕くのも、何一つ許せない。
本当は真実なんて教えるつもりも予定もなかった、ユーリをただ、ただ、優しさで包み込んで私なしでは生きていけないようにしていこうと思っていたのに、現実はままならないものだ。
自嘲気味に笑いをこぼして、ユーリを生かすため、私以外の口から真実を聞かせることに決めた。
部下に命じて扉の前で噂話をするように伝えた。
内容は私が謀反をするよう仕向けて噂を流したこと、ユーリの家族も謀反に協力したから死刑になったこと、それらを全て仕組んだのが私でユーリの大事なものを全てを奪ったと知っても……
ユーリ、君は私を愛してくれるかい?
それとも、私を憎しみ、生きる糧にしてくれるかい?
私はどちらでもいいんだ、ユーリに憎まれたとしても、優しいユーリが唯一憎むのが私なら…──────────────それは特別なことで、なんて素敵なことだろうか。
21
お気に入りに追加
1,563
あなたにおすすめの小説
周りが幼馴染をヤンデレという(どこが?)
ヨミ
BL
幼馴染 隙杉 天利 (すきすぎ あまり)はヤンデレだが主人公 花畑 水華(はなばた すいか)は全く気づかない所か溺愛されていることにも気付かずに
ただ友達だとしか思われていないと思い込んで悩んでいる超天然鈍感男子
天利に恋愛として好きになって欲しいと頑張るが全然効いていないと思っている。
可愛い(綺麗?)系男子でモテるが天利が男女問わず牽制してるためモテない所か自分が普通以下の顔だと思っている
天利は時折アピールする水華に対して好きすぎて理性の糸が切れそうになるが、なんとか保ち普段から好きすぎで悶え苦しんでいる。
水華はアピールしてるつもりでも普段の天然の部分でそれ以上のことをしているので何しても天然故の行動だと思われてる。
イケメンで物凄くモテるが水華に初めては全て捧げると内心勝手に誓っているが水華としかやりたいと思わないので、どんなに迫られようと見向きもしない、少し女嫌いで女子や興味、どうでもいい人物に対してはすごく冷たい、水華命の水華LOVEで水華のお願いなら何でも叶えようとする
好きになって貰えるよう努力すると同時に好き好きアピールしているが気づかれず何年も続けている内に気づくとヤンデレとかしていた
自分でもヤンデレだと気づいているが治すつもりは微塵も無い
そんな2人の両片思い、もう付き合ってんじゃないのと思うような、じれ焦れイチャラブな恋物語
ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました
ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。
「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」
ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m
・洸sideも投稿させて頂く予定です
大親友に監禁される話
だいたい石田
BL
孝之が大親友の正人の家にお泊りにいくことになった。
目覚めるとそこは大型犬用の檻だった。
R描写はありません。
トイレでないところで小用をするシーンがあります。
※この作品はピクシブにて別名義にて投稿した小説を手直ししたものです。
変態村♂〜俺、やられます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。
そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。
暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。
必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。
その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。
果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?
悪役令息、主人公に媚びを売る
枝豆
BL
前世の記憶からこの世界が小説の中だと知るウィリアム
しかも自分はこの世界の主人公をいじめて最終的に殺される悪役令息だった。前世の記憶が戻った時には既に手遅れ
このままでは殺されてしまう!こうしてウィリアムが閃いた策は主人公にひたすら媚びを売ることだった
n番煎じです。小説を書くのは初めてな故暖かな目で読んで貰えると嬉しいです
主人公がゲスい
最初の方は攻めはわんころ
主人公最近あんま媚び売ってません。
主人公のゲスさは健在です。
不定期更新
感想があると喜びます
誤字脱字とはおともだち
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる