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神様と2人暮らし

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神様との暮らしは順調で僕は少しずつ太ってきたように思える、あとどれくらい神様と一緒に入れるのかなとこの頃には考えはじめていた。

食べる肉がないから、神様は僕を食べなかっただけだ。

食べる肉がついてくれば食べてくれるはず、僕はそれを心待ちにしていた。

生きたいって願望が芽生える前に早く食べられたいって気持ちが強くなっていた。
 
村の人は生贄に捧げた子達は神様の使いになったとか、お嫁さんになったとか、適当なことを言っていたけど、違う、神様に食べられたんだとここに来て理解出来た。

だって、本当にそうなら誰かいるはずなんだ、なのに神様以外にここには誰も暮らしていない。

僕に逃げられたら困るからそう言っていただけなんだろうな。

逃げないのに、そんなこと言わなくても。
あの村にいるくらいなら神様に食べられて死ぬ道を選ぶよ、僕は。

生きていても僕の存在を無視して、必要最低限の食事や着るものしか与えられなかった。
悪魔の子として僕は嫌われ、名前すらもらってないのだから。

いまだに僕は名無しだし、あの村での生活を思い出すと気分が憂鬱になる。

これじゃダメだと頭をブンブン振って、気を取り直してザルをもって神様の畑に来た。

神様が野菜を育ててるのは意外だったけど、ここは過ごしやすいからか、季節関係なしに色々な野菜が育つらしい。

今日は立派に育ったナス、玉ねぎ、ネギ、カボチャ、さつまいもと次々と収穫してザルに乗せた。
沢山の野菜を持って屋敷に戻り献立を考える。

なにがいいかな、ナスは大きくて立派だからこのまま焼いて田楽ナスもいいかも。
さつまいもはさつまいもご飯で、玉ねぎとかぼちゃはお味噌汁に、あ、キャベツも畑で収穫してこよ。

キャベツ、キャベツとザルをもって畑に戻り、立派に育ってるキャベツを収穫して、ついでにじゃがいももと数個とってから屋敷に戻った。

キャベツ、じゃがいも、玉ねぎでお味噌汁にして、カボチャは煮物に変更、ネギは甘辛く炒めよう。

よーし、献立は決まったし、早速調理開始だ、着物の袖を紐で縛ってたくしあげてから手際よく野菜を次々に切っていき、鍋に切った野菜を入れて煮立たせながら、ナスは輪切りにして焼いて前に作った田楽味噌を
ナスの上にたっぷりに乗せる。

ネギは大きめに切ってから甘辛く味付けしてからしっかりと炒めて中まで火を通す。
これで、中はトロトロなネギの甘辛炒めの完成と、それからカボチャを大きめにカットしたものを少なめの水で茹でてある程度火が通ったところで調味料を入れて水分が飛ぶまで煮込む。

こうするとホクホクして美味しんだよな、水分が多いとホクホクしないでベチャッとするから気をつけないと。

あとはさつまいもを仕込んで土鍋でご飯を炊くだけだ、ここまですると、そろそろ来る頃かな?

足音が聞こえてきて背後から現れた神様がひょいっと完成していたネギを摘んで食べた。

「ん、んまい」

「神様行儀が悪いです」

「いいんだよ、別に気にすんな」

僕が料理できたことは神様にとっては予想外だったらしく、初日に料理した時にこうやって味見されて以来、神様は味見ならぬ盗み食いをするようになった。

それをわかっていても僕は呆れたような視線を向けて、口ばかりの説教をすることになる。

「神様が行儀悪い人だなんて思いませんでしたよ」

「神に勝手にイメージつけるからな人間は…」

「そうですね、完全に僕の勝手なイメージでした、それは反省してます、でも!僕が毎回怒ってるのになぜやめないんですか」

「ああ、別にいいだろうが、どうせ俺の腹の中におさまるんだからよ」

「そうですけど…」

唇尖らせて拗ねてると神様は僕の頭をわしゃわしゃと撫で回してきた。

「夕餉が楽しみだ」

ニッと笑う神様は憎めない、大人なのに子供っぽい一面があるのが可愛いというかなんというか。
そんなことを考えながら僕は土鍋を火にかけて、さつまいもご飯を炊き始めた。

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