忌み子が神様のお嫁さんになるまで。【完結】

REN

文字の大きさ
上 下
3 / 8

神様との暮らし

しおりを挟む

僕は結局神様に食べてもらう予定で来たのに、神様は僕を食べようとしない、僕が痩せてるからだ。

早く食べてもらうために頑張って食事をしなければと
意気込んでいたのだけれど、神様は僕に無理矢理なにかをさせるとか、食べさせるとか、そういうのも一切ない。

神様は僕になにかを求めない、それがどうしてなのかわからない、食べることもできない僕なんてさっさと太らせて食べればいいのにと思う。

神様が何を考えてるのかわからないままに一緒に暮らしはじめて、わかったことが一つだけあった。
神様はどうやら朝に弱いらしいということ、寝起きはあの長い髪が凄いことになってて前の方に来てる時は心の底から驚いて悲鳴をあげてしまった。

だって、お化けにしか見えなかったんだ、ガクガク震えながら叫んだ僕に神様は髪をどかして深緑の瞳は楽しげな様子で僕を見てこういったんだ。

「なんだ、お前叫んだりできたのか」

と、当たり前なことを言う。
まぁ、僕は村にいる間は感情を押し殺していたから、叫ぶとか笑うとかそういうことをしたことないけど、それでも、驚けばさすがに悲鳴だってあげるよ。

なにを当たり前なことを言うんだ、この人はと呆れたような目線を向けて、すぐにハッとなって僕は慌てて謝った。

こんな態度はしたらダメだ、殴られると思ったから。

「あ、ごめんなさい、僕…」

「ああ、なにんな怯えてんだよ、俺は殴なったりしねぇよ、お前になんか仕置したりすることはねぇから安心しな」

大きな手でわしゃわしゃ頭を撫でられるとなんだか、むず痒くて口をむにむにしてると「ぶはっ、変な顔、ブッサイクだな」って大笑いする神様にむぅっと眉間にしわ寄せて不貞腐れても、神様は僕を怒ることなんてしなくて「ガキはガキらしくな、そのほうがよっぽどいいぜ?」って言ってくれたんだ。

死にたくないって思ったら、どうしてくれるんだとこの時の僕は考えていた。
僕は神様への生贄だ、村のために立派な生贄になんて思ってないけど、それでも、僕は食べられることは運命なのだから優しくしないでほしい。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

つぎはぎのよる

伊達きよ
BL
同窓会の次の日、俺が目覚めたのはラブホテルだった。なんで、まさか、誰と、どうして。焦って部屋から脱出しようと試みた俺の目の前に現れたのは、思いがけない人物だった……。 同窓会の夜と次の日の朝に起こった、アレやソレやコレなお話。

生徒会長の包囲

きの
BL
昔から自分に自信が持てず、ネガティブな考えばっかりしてしまう高校生、朔太。 何もかもだめだめで、どんくさい朔太を周りは遠巻きにするが、彼の幼なじみである生徒会長だけは、見放したりなんかしなくて______。 不定期更新です。

僕はお別れしたつもりでした

まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!! 親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。 ⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。 大晦日あたりに出そうと思ったお話です。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

人気アイドルが義理の兄になりまして

三田やよい
BL
柚木(ゆずき)雪都(ゆきと)はごくごく普通の高校一年生。ある日、人気アイドル『Shiny Boys』のリーダー・碧(あおい)と義理の兄弟となり……?

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

ミリしら作品の悪役令息に転生した。BL作品なんて聞いてない!

宵のうさぎ
BL
 転生したけど、オタク御用達の青い店でポスターか店頭販促動画か何かで見たことがあるだけのミリしら作品の世界だった。  記憶が確かならば、ポスターの立ち位置からしてたぶん自分は悪役キャラっぽい。  内容は全然知らないけど、死んだりするのも嫌なので目立たないように生きていたのに、パーティーでなぜか断罪が始まった。  え、ここBL作品の世界なの!?  もしかしたら続けるかも  続いたら、原作受け(スパダリ/ソフトヤンデレ)×原作悪役(主人公)です  BL習作なのであたたかい目で見てください

春を拒む【完結】

璃々丸
BL
 日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。 「ケイト君を解放してあげてください!」  大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。  ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。  環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』  そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。  オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。 不定期更新になります。   

処理中です...