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生贄
しおりを挟む子供の頃から変わった目の色、髪の色で村の人達から嫌われ悪魔の子だと言われて生きてきた。
親からも愛されず、僕に名前なんてない、僕はもう生きていくことに疲れた。
ただ、ただ、神様に捧げられるために生かされ、10歳になったらお前は生贄になるんだと教え込まれてきた。
村のために唯一僕ができること、それがこれだ、悪魔の子のお前をここまで生かしてやったんだ感謝しろと親だった人間は言う。
自分が腹を痛めて産んだはずの子供に愛情の1つも与えずに育てるって凄いことだと関心すら覚える。
父親が僕を愛さないのはまだ理解できるけど、母親は僕を産んだはずなのに、なんで?と小さい頃はそう感じたのに10年も生きてると何も感じなくなった。
言われるままに生きて、逆らわずにいる方が楽だから。
逆らっても逃げ出そうとしても捕まって大人達から暴力を受けるだけ、そんな苦痛を与えられるのがわかってるのに、それでも、僕は希望を捨てずに抗ったけど、無駄だと気づいた時に抵抗をやめた。
だって、僕はしょせん子供だ、どんなに大人びようが子供でしかないから、子供が1人で生きていくなんて無理なんだ。
絶望を知って、その絶望から生きる地獄から漸く開放される今日この日は最高の日だと笑いたくなった。
僕が微笑んでるのを見た親は不気味なものを見るような目で見ていたけど、そんなの気にしない、だって、僕は今日開放されるのだから。
神様の元に行って食べられておしまい、僕の人生次があるならまともだといいな、お腹いっぱい食べたいとかそんな贅沢は望まない。
親から愛されたい、愛してほしい、そんなささやかな願いを叶えてくれないだろうか。
そう願いながら僕は白無垢を着て駕籠に乗せられて瞼を閉じた。
駕籠が暫く揺れ動き、目的地にたどり着くと、そのまま駕籠が下ろされて足音が遠ざかるとあたりは静寂に包まれる。
人の気配もなにもしない、生き物がいる感じがしない。
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