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女神が現れた。 アルベイン視点
しおりを挟む私がまだ王宮騎士団に務める前の闘技大会、そこで私は運命的な出会いをした、その当時、孤児だった私は生きるために闘技大会に出ては怪我の絶えない日々を送っていた。
それでも、闘技大会で名を馳せて人気が出てからは差し入れなどでも食べることに不自由はしなくなり、育ててくれた教会への恩も返すためにがむしゃらに戦って戦って戦う日々に疲れ果てていた。
そんな時だ、小柄な体で精一杯を私を応援してくれた彼女、ルーナと出会ったのは。
いつもなら声援が気になることなんてなかったのに、あの日は違う。
鈴を転がすような可愛らしい声で私を応援する声がやけに耳に残り、振り返ると金色の髪に澄んだ青色の瞳をしたルーナと目が合ったのは一瞬だったが、頬を赤らめて視線を逸らした彼女は天使のようだと思った。
ルーナの身なりでどこかの令嬢だということはわかったから、どうやったら相応しい男になれるだろうか?と考えた。
孤児の私では彼女に相応しくない、そんなのわかっていても恋とは冷静さを欠けるものだと知った。
今まで恋なんてする暇がないくらい生きるのに必死だったから、ルーナが初恋だった。
どうすればいいか頭を悩ませる日々を送っていた時に神の助けとばかりにチャンスは訪れた。
当時の王宮騎士団団長から養子の話が来たからだ、団長は戦場での戦果で男爵位をもらった元平民だ。
この国は国にどれだけ貢献できるかで平民だろうと関係なしに爵位を貰えることを聞いていたから知っていた。
団長の息子になれば、この国に貢献できると考えた当時の私は喜んでその話に飛びついた。
そうして、王宮騎士団に務めるようになって彼女に応援される日々はなくなったものの、ルーナに悪い虫がつかないよう私は色々なところで牽制をし続けた。
それがまさか彼女の自信喪失に繋がるなんて知らずに、どうやら、ルーナは誰からも相手されなかったことで自分に自信がないようだ。
それが私のせいだなんて気づいてないのだろうな、私がルーナに近寄らせないようにしていただけ、彼女は自分の美しさに気づいてない。
私がどれだけ裏で手を回したことか、彼女に近づく悪い虫を排除していたことか。
昨日のパーティーに出席したのもルーナが来ることがわかっていたからだ、婚約者がルーナの友人だと事前に情報を得ていたから私は興味がないパーティーにも出席した。
間近で見たルーナは女神のようだった、友人の婚約を心から喜び、涙を流す姿は美しく、その場にいた未婚の男共も息を飲んでいた。
私が来ていたから、当然遠巻きで見ることしかできなかったようだが。
友人の婚約がそんなに嬉しかったのか、酔ったルーナを介抱するために近づき、自宅へ持ち帰りが成功した、それを見ていた男達はようやくあの二人と思っていたに違いない。
女性達は絶望してる様子だったが、元からルーナ以外には興味がない、剣の腕を磨き、戦場で戦果をあげて成り上がったのも全てはルーナと釣り合う男になるためだ。
ルーナの隣を堂々と歩けるようになるための努力に過ぎない、あの日から私はずっとルーナに心を捧げて生きてきた。
ルーナが酔っていて正常な判断ができないのをいいことに孕ませるつもりで避妊もせずにまぐわった、これだけ私に執着されていると知ったらルーナ、君は失望するだろうか?
結婚を嫌がってるらしい彼女の選択肢を奪って、彼女が観念したのか「今日でいいです」と答えた。
その表情は少し暗い、無邪気に笑う君が見たいのに、そんなに私との結婚は嫌なのだろうか?
あんなに私に熱い視線を向けていて、私を嫌ってるようには見えないが。
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