4 / 7
浮気性を治す方法
しおりを挟む気をもたせるだけもたせて、告白したら笑って振りそうだなんて考えるのは失礼だろうか。
「くくっ、なにか失礼なことを考えてるね?」
「あ、いやその……だって、綾斗めっちゃモテるって聞いてたけど、これか!って思ってさ」
「ははっ、俺は特別な子にしか優しくしないよ」
「もうやめて!それ勘違いしちまいそう」
─────俺が律樹を好きだって?
楽しげな様子で紡がれた言葉に顔がかぁーっと熱くなって耳まで真っ赤に染まる。
それを見てくすくす笑うから、からかわれてるのがわかって「もうからかわんで!」と顔を背けた。
「ごめん、ごめん、律樹が可愛くてつい…ね」
「悪いとか絶対思ってないっしょ?」
「……おや、バレたか、ほら、律樹おいで、今日は俺の家に泊まるといいよ、浮気を宣言したその日に自宅に戻っていなかったと知ればアイツも慌てるかもね」
「まじか……」
「なにも取って食ったりしないから安心していいよ」
「もうからかわんで!って言ってんのに、わかってるよ、綾斗が手を出さないことくらい」
「それはどうかな?協力するって律樹に近づいて美味しくいただくつもりかもしれないよ、人を信用しすぎるのはよくない」
怪しく笑う綾斗にぞくりと背筋粟立つ。
本当にこの人は人をからかうのが、思わせぶりな態度をとることが上手い、これくらい上手ければ暁斗の事も振り回すことができたのかな。
なんて、馬鹿な考えが浮かぶけど無理だなって思った。
経験値の差が圧倒的すぎるから。
「さて、それじゃ、帰りながら少し話をしようか?まず計画なんだけどね、暁斗は自分の気持ちもよくわかってない小学生以下だから自覚させるのが必要だ」
「へ?」
「自覚させるには律樹がいかに自分にとって特別で大切な存在か、それに浮気されたら腹立つってことを教えなければいけない、そこで、律樹には悪いんだけど暁斗とはしばらく会わないでほしい」
衝撃だった、しばらく会うなっていうのは恋人として過ごすなってことだよな。
大学ではさすがに避け続けるのできるかわかんねぇけど、とにかく俺は暁斗を避けろってことか。
「先約があるフリくらいはできるだろう?その間の空白の時間は俺とデートしようか、他の人を匂わせるのは大事なことだよ」
「う、うん」
「誰と先約?ってきかれたら、こう答えるといい、浮気相手って」
「あっ…」
「暁斗は何回も断られたら、きいてくるはずだからね、なんなら律樹が遊んでくれないなら女と会うって言ってくることもあるかもしれない、そうなっても会ったらダメだよ、俺も浮気相手と遊ぶから暁斗も楽しんでなくらい言ってやりな」
「……それ、言えるかな」
暁斗なら本当に言ってきそうな言葉に頭を抱える、その時に俺は本当に強気でそんなこと言えるだろうか。
俺が会わなければ浮気されてしまうのがわかってるのに、考えるだけで胸が締め付けられるように痛くて苦しい。
ぎゅっと胸の前で手を握りしめると、その手を優しく上から握られる。
そして、目の前まで綾斗が迫ってきて額と額がコツンとした。
「律樹、俺を信じて、暁斗の浮気癖を必ず治して律樹を愛してるってことを自覚させるから、ね?」
「……わかった…」
「それじゃあ、行こうか」
綾斗に手を繋がれて歩き出す。綾斗の家に泊まるのも行くのも初めてだから、ちょっと緊張した。
87
お気に入りに追加
150
あなたにおすすめの小説


物語なんかじゃない
mahiro
BL
あの日、俺は知った。
俺は彼等に良いように使われ、用が済んだら捨てられる存在であると。
それから数百年後。
俺は転生し、ひとり旅に出ていた。
あてもなくただ、村を点々とする毎日であったのだが、とある人物に遭遇しその日々が変わることとなり………?

離したくない、離して欲しくない
mahiro
BL
自宅と家の往復を繰り返していた所に飲み会の誘いが入った。
久しぶりに友達や学生の頃の先輩方とも会いたかったが、その日も仕事が夜中まで入っていたため断った。
そんなある日、社内で女性社員が芸能人が来ると話しているのを耳にした。
テレビなんて観ていないからどうせ名前を聞いたところで誰か分からないだろ、と思いあまり気にしなかった。
翌日の夜、外での仕事を終えて社内に戻って来るといつものように誰もいなかった。
そんな所に『すみません』と言う声が聞こえた。

オレに触らないでくれ
mahiro
BL
見た目は可愛くて綺麗なのに動作が男っぽい、宮永煌成(みやなが こうせい)という男に一目惚れした。
見た目に反して声は低いし、細い手足なのかと思いきや筋肉がしっかりとついていた。
宮永の側には幼なじみだという宗方大雅(むなかた たいが)という男が常におり、第三者が近寄りがたい雰囲気が漂っていた。
高校に入学して環境が変わってもそれは変わらなくて。
『漫画みたいな恋がしたい!』という執筆中の作品の登場人物目線のお話です。所々リンクするところが出てくると思います。


目標、それは
mahiro
BL
画面には、大好きな彼が今日も輝いている。それだけで幸せな気分になれるものだ。
今日も今日とて彼が歌っている曲を聴きながら大学に向かえば、友人から彼のライブがあるから一緒に行かないかと誘われ……?

繋がれた絆はどこまでも
mahiro
BL
生存率の低いベイリー家。
そんな家に生まれたライトは、次期当主はお前であるのだと父親である国王は言った。
ただし、それは公表せず表では双子の弟であるメイソンが次期当主であるのだと公表するのだという。
当主交代となるそのとき、正式にライトが当主であるのだと公表するのだとか。
それまでは国を離れ、当主となるべく教育を受けてくるようにと指示をされ、国を出ることになったライト。
次期当主が発表される数週間前、ライトはお忍びで国を訪れ、屋敷を訪れた。
そこは昔と大きく異なり、明るく温かな空気が流れていた。
その事に疑問を抱きつつも中へ中へと突き進めば、メイソンと従者であるイザヤが突然抱き合ったのだ。
それを見たライトは、ある決意をし……?

紹介なんてされたくありません!
mahiro
BL
普通ならば「家族に紹介したい」と言われたら、嬉しいものなのだと思う。
けれど僕は男で目の前で平然と言ってのけたこの人物も男なわけで。
断りの言葉を言いかけた瞬間、来客を知らせるインターフォンが鳴り響き……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる