2 / 7
浮気性を治す方法
しおりを挟む綾斗に浮気をしようって誘われてからしばらく経ったある日、友達と遊んだ帰り、近道だからという理由でラブホ街を通ったことを激しく後悔することになった。
暁斗が女とホテルから出てきて悪気もなく普通に俺に話しかけてくるわ、そのまま俺を自分の家に連れ込んで俺をベッドに押し倒してきた。
暁斗からは知らない女性の匂いだか、ホテルの匂いだか知らないが、いつもと違う匂いをさせていて、それが女の人とホテルでSEXしたと思わせると吐き気がする。
心が軋んで痛くてもう限界だった。
そりゃあ、俺は女の子みたいに柔らかくねぇけどさ。
だからって、恋人がいてその恋人が嫌だって言ってんのにやめる気がさらさらねぇって頭イカれてんだろ。
このままじゃ暁斗の浮気性も治らんし、綾斗に誘われてから考えていた賭けに出ることにした。
「どいて」
「はっ?」
暁斗の身体をおしのけて、ベッドからおりると笑顔で振り返った。
いまだ、言うんだと自分を鼓舞して1呼吸おいてから睨むように言葉を紡ぐ。
「いくら言ってもやめてくんねぇし、俺も浮気するから」
「……いいね、律樹もやっと童貞卒業する気になった?」
余裕の表情で俺を茶化す暁斗に芽生えた苛立ちに眉間に皺を刻んで、こんな反応されるなんて予想内だ。
俺が本気で浮気できるなんて思ってない、俺がいつも好き好き言ってるから安心してるんだろう。
さっさと暁斗から離れて玄関まで来れば、追いかけてきた暁斗が「やってかないの?」だってさ。
なにそれ?俺はセフレかよ、ふざけんな、クソ野郎!
呆れたように暁斗を一瞥して「汚い手で俺に触んないでくんね?女を抱いた手で俺に触れるとか無理なんだけど、だから、今日はやんねぇよ」
暁斗がなんか言いかけたけど、無視して玄関を出てエレベーターのところまで歩いてから振り返る。
追いかけても来ないとか、まじクソ野郎だな、なんであんな人好きになったんだろ俺、こんなんされても嫌いになれないとか、終わってんじゃん。
唇をぐっとかみ締めて、涙をこらえて顔を上げてから、ため息を吐き出した。
暁斗は今まで同じ女といるところは見た事がない、浮気しても同じ女とはやってない、愛してるのは俺だけっていうのはたぶん本当なんだろう。
だから、俺は……女と浮気するなんて言ってない、でも、言質はとった。
浮気を許す発言をした、だから、俺が今からやろうとしてることは彼氏公認浮気だ。
まぁ、ふりだけどさ、綾斗に協力してもらって浮気してると思い込ませる。
88
お気に入りに追加
150
あなたにおすすめの小説


物語なんかじゃない
mahiro
BL
あの日、俺は知った。
俺は彼等に良いように使われ、用が済んだら捨てられる存在であると。
それから数百年後。
俺は転生し、ひとり旅に出ていた。
あてもなくただ、村を点々とする毎日であったのだが、とある人物に遭遇しその日々が変わることとなり………?

離したくない、離して欲しくない
mahiro
BL
自宅と家の往復を繰り返していた所に飲み会の誘いが入った。
久しぶりに友達や学生の頃の先輩方とも会いたかったが、その日も仕事が夜中まで入っていたため断った。
そんなある日、社内で女性社員が芸能人が来ると話しているのを耳にした。
テレビなんて観ていないからどうせ名前を聞いたところで誰か分からないだろ、と思いあまり気にしなかった。
翌日の夜、外での仕事を終えて社内に戻って来るといつものように誰もいなかった。
そんな所に『すみません』と言う声が聞こえた。

オレに触らないでくれ
mahiro
BL
見た目は可愛くて綺麗なのに動作が男っぽい、宮永煌成(みやなが こうせい)という男に一目惚れした。
見た目に反して声は低いし、細い手足なのかと思いきや筋肉がしっかりとついていた。
宮永の側には幼なじみだという宗方大雅(むなかた たいが)という男が常におり、第三者が近寄りがたい雰囲気が漂っていた。
高校に入学して環境が変わってもそれは変わらなくて。
『漫画みたいな恋がしたい!』という執筆中の作品の登場人物目線のお話です。所々リンクするところが出てくると思います。


目標、それは
mahiro
BL
画面には、大好きな彼が今日も輝いている。それだけで幸せな気分になれるものだ。
今日も今日とて彼が歌っている曲を聴きながら大学に向かえば、友人から彼のライブがあるから一緒に行かないかと誘われ……?

繋がれた絆はどこまでも
mahiro
BL
生存率の低いベイリー家。
そんな家に生まれたライトは、次期当主はお前であるのだと父親である国王は言った。
ただし、それは公表せず表では双子の弟であるメイソンが次期当主であるのだと公表するのだという。
当主交代となるそのとき、正式にライトが当主であるのだと公表するのだとか。
それまでは国を離れ、当主となるべく教育を受けてくるようにと指示をされ、国を出ることになったライト。
次期当主が発表される数週間前、ライトはお忍びで国を訪れ、屋敷を訪れた。
そこは昔と大きく異なり、明るく温かな空気が流れていた。
その事に疑問を抱きつつも中へ中へと突き進めば、メイソンと従者であるイザヤが突然抱き合ったのだ。
それを見たライトは、ある決意をし……?

紹介なんてされたくありません!
mahiro
BL
普通ならば「家族に紹介したい」と言われたら、嬉しいものなのだと思う。
けれど僕は男で目の前で平然と言ってのけたこの人物も男なわけで。
断りの言葉を言いかけた瞬間、来客を知らせるインターフォンが鳴り響き……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる