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第一章じーちゃんから貰った鍵
じーちゃんと俺は似た者同士らしい
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「お義父さんには本当に困ったものだわ……」
母さんが、父さんに愚痴っているのを幾度と無く見聞きしたことがあった。
子供心にしょうがねえ、じーちゃんだな、何て思ったものだ。
まあ、同じくらい俺の事も母さんは話していたが、それは気のせいだろう。
だって俺は良い子だからだ。
だから……年に数回顔を合わせるじいちゃんに俺は言ったんだ。
「母さんが困ったものだわって言ってたぜ、じーちゃん、また何をやらかしたんだよ?」
「やらかしとらんわ!!失礼な、わしは至って真面目な好青年じゃ!」
ペカっと、禿げ上がった頭を光らせて名言されてしまった。
いや、俺も将来禿げないだろうな!?
嫌だぜ?…あんな全壊禿げ。
「ん?……年寄りを好青年って言うのか?」
「お前に良いことを教えてやる。幾つになっても、少年の心を忘れてはいかん。…遊び心が無い奴にだけはなるなよ」
「何だよ、それってじーちゃんの事か?」
何が楽しいのか解らないが、じーちゃんはガハハハと豪快に笑うと俺の頭を頭をガシガシと撫でた。
「何だよ、じーちゃん!」
「お前はわしに良ー似とる」
「それ、母さんにも言われたけど、何処が似てるんだよ…俺、じーちゃんと違って良い子だぜ?!」
「……そう言うところがそっくりじゃ」
何だかんだと言ってもじーちゃんとは家族で一番気があった。
楽しいと思える事と、大事だと思える者が一緒だったから。
だから、この元気すぎるじーちゃんが死ぬ何て思っても見なかった。
いや、年を取れば何れまた還る事くらい俺にだって解っていた。
解っていたけど、感情が納得しているかどうかは、又別の話だ。
俺は、納得してなくて勝手にいなくなったじーちゃんに、とても苛立った事を覚えている。
高校生になった今も、まだじーちゃんは何処かにいそうで、墓参りにすら行きたくなかった。…まあ、母さんと父さんに引きずって連れていかれたけれど。
◇◇◇
ガキの頃の記憶を夢に見る何て、常に前だけを見ている俺らしくない。
誠は、まだ完全には覚めていない頭を左右に振ると、ベットから起き出した。
外はまだ暗い。
その事からも、夜明け前であることが解ったが、スマホで時間を確かめる。
「6時か……」
今の日の出は6時半だから、もうすぐ朝日が昇るだろう。
俺は、先程の迄見ていたほやほやの夢の事を考えていた。
じーちゃんが死ぬ間際、本当に元気すぎる位元気で、その日も俺とじーちゃんは他愛ない話をしていたんだ。
「誠、お前大人になったらどうするんだ?」
何になりたい?…ではなくどうすると聞いてくるあたりがじーちゃんらしい。
「……冒険者にでもなるかな…」
将来とやらが良くわかっていなかった、まだ可愛らしい俺は、何気なくそう答えた。
「……冒険者か………お前らしいっちゃ、お前らしいか。…お前はわしに良く似とるからな……普通は物足りなくなるだろうよ」
そう言って、じーちゃんは家の鍵らしきものを俺にくれたんだ。
「じーちゃん。これ、何だよ?」
「鍵じゃな…」
真顔で答えるじーちゃんに俺はキレた。
「ガキだと思ってバカにするなよ?…鍵なのは見れば解るし!!…何の鍵かって聞いてるんだよ!!」
今にして思えば、随分と口の聞き方を知らない生意気なガキだったが、そこは親の名誉の為にも伝えておきたい。
俺だってちゃんとした言葉遣いは出来るし、現にじーちゃんに対して以外で言葉遣いで怒られる事は少ない。
でも、何故だかじーちゃんにはこれで良いと思っていた。
「…で、この鍵は何だよ?」
「綴れ荘の鍵じゃよ」
「……潰れ……そう?」
「つづれ!!」
「ああ、つづれそう…」
いまいち良く解らん。
「四畳半の古いアパートの鍵じゃ」
「何だよ、やっぱり古いんじゃないか」
「全くお前は」
珍しくため息をついたじーちゃん。
「だから、これが何だって言ってるんだよ!!」
「やるよ……お前にやる。…これは今からお前の物だ」
何時も軽口と違い、目の置くに進むと何か得体の知れない何かを秘めている様な、不適な笑みを浮かべて、じーちゃんは俺に鍵を手渡した。
「何だよ?……何でそんな鍵を持っているんだ?……要らないなら、ばーちゃんにあげれば良いだろ?」
「バカだなお前は……あいつに持たせてどうする。…あいつがいるから、俺にはこの鍵が要られないんだ」
この時の俺には、じーちゃんが何でこんな事を言っているのか、さっぱり解らなかった。
じーちゃんが死ぬ前、地図を描いてもらっていた俺は一回遊び心で、綴れ荘に行ってみた事が有るが、本当に古いただのアパートの一室だった。
何で俺にこれをくれたのか、今でもさっぱり解らないが、俺は今日、綴れ荘に行ってみようと考えていた。
それは夢でじーちゃんを見たからかもしれないし、今私が生活が心の底から退屈だったからかもしれないけど、まだ日が昇りきっていない朝の道を俺は自転車を漕いだ。
母さんが、父さんに愚痴っているのを幾度と無く見聞きしたことがあった。
子供心にしょうがねえ、じーちゃんだな、何て思ったものだ。
まあ、同じくらい俺の事も母さんは話していたが、それは気のせいだろう。
だって俺は良い子だからだ。
だから……年に数回顔を合わせるじいちゃんに俺は言ったんだ。
「母さんが困ったものだわって言ってたぜ、じーちゃん、また何をやらかしたんだよ?」
「やらかしとらんわ!!失礼な、わしは至って真面目な好青年じゃ!」
ペカっと、禿げ上がった頭を光らせて名言されてしまった。
いや、俺も将来禿げないだろうな!?
嫌だぜ?…あんな全壊禿げ。
「ん?……年寄りを好青年って言うのか?」
「お前に良いことを教えてやる。幾つになっても、少年の心を忘れてはいかん。…遊び心が無い奴にだけはなるなよ」
「何だよ、それってじーちゃんの事か?」
何が楽しいのか解らないが、じーちゃんはガハハハと豪快に笑うと俺の頭を頭をガシガシと撫でた。
「何だよ、じーちゃん!」
「お前はわしに良ー似とる」
「それ、母さんにも言われたけど、何処が似てるんだよ…俺、じーちゃんと違って良い子だぜ?!」
「……そう言うところがそっくりじゃ」
何だかんだと言ってもじーちゃんとは家族で一番気があった。
楽しいと思える事と、大事だと思える者が一緒だったから。
だから、この元気すぎるじーちゃんが死ぬ何て思っても見なかった。
いや、年を取れば何れまた還る事くらい俺にだって解っていた。
解っていたけど、感情が納得しているかどうかは、又別の話だ。
俺は、納得してなくて勝手にいなくなったじーちゃんに、とても苛立った事を覚えている。
高校生になった今も、まだじーちゃんは何処かにいそうで、墓参りにすら行きたくなかった。…まあ、母さんと父さんに引きずって連れていかれたけれど。
◇◇◇
ガキの頃の記憶を夢に見る何て、常に前だけを見ている俺らしくない。
誠は、まだ完全には覚めていない頭を左右に振ると、ベットから起き出した。
外はまだ暗い。
その事からも、夜明け前であることが解ったが、スマホで時間を確かめる。
「6時か……」
今の日の出は6時半だから、もうすぐ朝日が昇るだろう。
俺は、先程の迄見ていたほやほやの夢の事を考えていた。
じーちゃんが死ぬ間際、本当に元気すぎる位元気で、その日も俺とじーちゃんは他愛ない話をしていたんだ。
「誠、お前大人になったらどうするんだ?」
何になりたい?…ではなくどうすると聞いてくるあたりがじーちゃんらしい。
「……冒険者にでもなるかな…」
将来とやらが良くわかっていなかった、まだ可愛らしい俺は、何気なくそう答えた。
「……冒険者か………お前らしいっちゃ、お前らしいか。…お前はわしに良く似とるからな……普通は物足りなくなるだろうよ」
そう言って、じーちゃんは家の鍵らしきものを俺にくれたんだ。
「じーちゃん。これ、何だよ?」
「鍵じゃな…」
真顔で答えるじーちゃんに俺はキレた。
「ガキだと思ってバカにするなよ?…鍵なのは見れば解るし!!…何の鍵かって聞いてるんだよ!!」
今にして思えば、随分と口の聞き方を知らない生意気なガキだったが、そこは親の名誉の為にも伝えておきたい。
俺だってちゃんとした言葉遣いは出来るし、現にじーちゃんに対して以外で言葉遣いで怒られる事は少ない。
でも、何故だかじーちゃんにはこれで良いと思っていた。
「…で、この鍵は何だよ?」
「綴れ荘の鍵じゃよ」
「……潰れ……そう?」
「つづれ!!」
「ああ、つづれそう…」
いまいち良く解らん。
「四畳半の古いアパートの鍵じゃ」
「何だよ、やっぱり古いんじゃないか」
「全くお前は」
珍しくため息をついたじーちゃん。
「だから、これが何だって言ってるんだよ!!」
「やるよ……お前にやる。…これは今からお前の物だ」
何時も軽口と違い、目の置くに進むと何か得体の知れない何かを秘めている様な、不適な笑みを浮かべて、じーちゃんは俺に鍵を手渡した。
「何だよ?……何でそんな鍵を持っているんだ?……要らないなら、ばーちゃんにあげれば良いだろ?」
「バカだなお前は……あいつに持たせてどうする。…あいつがいるから、俺にはこの鍵が要られないんだ」
この時の俺には、じーちゃんが何でこんな事を言っているのか、さっぱり解らなかった。
じーちゃんが死ぬ前、地図を描いてもらっていた俺は一回遊び心で、綴れ荘に行ってみた事が有るが、本当に古いただのアパートの一室だった。
何で俺にこれをくれたのか、今でもさっぱり解らないが、俺は今日、綴れ荘に行ってみようと考えていた。
それは夢でじーちゃんを見たからかもしれないし、今私が生活が心の底から退屈だったからかもしれないけど、まだ日が昇りきっていない朝の道を俺は自転車を漕いだ。
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