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舞台を降りたら、僕達は⑥
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ずっとだましだましやって来たけれど、もう限界だ。
こんなの絶対に、さらに欲が出てきてしまう。
……彼の特別になりたいという、あさましく醜い欲が。
僕を抱き締める彼の腕からそっと抜け出し、まだ倦怠感の残る体を引きずるようにして無理矢理動かして、ノソノソと布団から起き上がる。
そして冷静になるため、浴室で冷水を浴びた。
***
シャワーを浴びて部屋に戻ると、風磨ももう起きていた。
「おはよ、奏汰」
パンツしか身に着けていない彼が、ベッドに胡座をかいて座ったまま、いつもみたいに気だるげにガシガシと頭を掻きながら言った。
「おはよう、風磨。お前もなんか、食べる?」
それに逆に少し戸惑いながらも、平静を装い聞くと、彼はいつになく甘やかな笑顔を浮かべ答えた。
「ううん、今はええわ。それより、奏汰。おいで!」
両手をガバっと大きく拡げ、満面の笑みで言われたのだけれど。
……そんな言動はあまりにも予想外だったからますます困惑し、思わず一歩後退った。
「おーい、奏汰?こっち、来いって」
今度は仏頂面で、バンバンとベッドのマットレス部分を叩く風磨。
……情緒不安定過ぎるだろう。
言われるがまま、渋々ではあったけれど、再びベッドに腰を下ろす僕。
すると風磨は無邪気な子供みたいにニッと笑い、僕の体を強く抱き締めた。
ちゅっ、ちゅっと何度も音を立て、彼の唇が僕の頬や額、そして鼻先に触れる。
それにめちゃくちゃびっくりして、無言のままただ彼の顔を凝視した。
こんなの絶対に、さらに欲が出てきてしまう。
……彼の特別になりたいという、あさましく醜い欲が。
僕を抱き締める彼の腕からそっと抜け出し、まだ倦怠感の残る体を引きずるようにして無理矢理動かして、ノソノソと布団から起き上がる。
そして冷静になるため、浴室で冷水を浴びた。
***
シャワーを浴びて部屋に戻ると、風磨ももう起きていた。
「おはよ、奏汰」
パンツしか身に着けていない彼が、ベッドに胡座をかいて座ったまま、いつもみたいに気だるげにガシガシと頭を掻きながら言った。
「おはよう、風磨。お前もなんか、食べる?」
それに逆に少し戸惑いながらも、平静を装い聞くと、彼はいつになく甘やかな笑顔を浮かべ答えた。
「ううん、今はええわ。それより、奏汰。おいで!」
両手をガバっと大きく拡げ、満面の笑みで言われたのだけれど。
……そんな言動はあまりにも予想外だったからますます困惑し、思わず一歩後退った。
「おーい、奏汰?こっち、来いって」
今度は仏頂面で、バンバンとベッドのマットレス部分を叩く風磨。
……情緒不安定過ぎるだろう。
言われるがまま、渋々ではあったけれど、再びベッドに腰を下ろす僕。
すると風磨は無邪気な子供みたいにニッと笑い、僕の体を強く抱き締めた。
ちゅっ、ちゅっと何度も音を立て、彼の唇が僕の頬や額、そして鼻先に触れる。
それにめちゃくちゃびっくりして、無言のままただ彼の顔を凝視した。
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