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王子様と犬の関係②
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「仲良く……は、ないかな。
僕はただの、荷物持ちみたいなものだから」
ボソッと、小さな声で答えた。
だって彼が、王子様だとしたら。
……せいぜい僕は彼のペットの、犬とかそんなところだろう。
王子様の気まぐれで、呼ばれたらすぐに尻尾を振って駆け付ける、従順でお馬鹿な犬。
そんな風にちょっと卑屈な事を考えていたら、視線を感じた。
顔を上げると、真っ直ぐに光秀くんが僕の顔を見つめているのに気付いた。
悲しそうな。苦しそうな。
……なんとも言えない、そんな表情。
それに驚きながらもなんとなく居心地の悪さを感じ、思わず顔をそらした。
***
その日の、放課後。
帰宅部の僕と光秀くんは現在、いつものように並んで帰宅中。
だけどいつもと違うのは、彼がなぜかやたらとご機嫌斜めな事。
彼が気紛れなのはいつも通りだけれどこんな風に、理由もなく機嫌が悪かったり、僕に関係のない理由で冷たくされるような事はこれまであまりなかったように思う。
いつも僕は、大抵聞き役で。
彼もそんなにおしゃべりな方ではないから、ふたりともずっと無言のままなんていう時も少なからずある。
そしてそれが不思議と、嫌じゃなくて。
……むしろその無言の時間すらも、心地よいなんて思ってしまう。
しかし今日は、何かが違う気がした。
得体の知れない違和感があったから、僕が先に口を開いた。
「ねぇ、光秀くん。
……何か、あった?」
すると光秀くんは一瞬不快そうに、形の良い唇を歪め、それからいつになく弱々しい声色で聞いた。
「なぁ、和也。
……お前と俺って、仲良くねぇの?」
僕はただの、荷物持ちみたいなものだから」
ボソッと、小さな声で答えた。
だって彼が、王子様だとしたら。
……せいぜい僕は彼のペットの、犬とかそんなところだろう。
王子様の気まぐれで、呼ばれたらすぐに尻尾を振って駆け付ける、従順でお馬鹿な犬。
そんな風にちょっと卑屈な事を考えていたら、視線を感じた。
顔を上げると、真っ直ぐに光秀くんが僕の顔を見つめているのに気付いた。
悲しそうな。苦しそうな。
……なんとも言えない、そんな表情。
それに驚きながらもなんとなく居心地の悪さを感じ、思わず顔をそらした。
***
その日の、放課後。
帰宅部の僕と光秀くんは現在、いつものように並んで帰宅中。
だけどいつもと違うのは、彼がなぜかやたらとご機嫌斜めな事。
彼が気紛れなのはいつも通りだけれどこんな風に、理由もなく機嫌が悪かったり、僕に関係のない理由で冷たくされるような事はこれまであまりなかったように思う。
いつも僕は、大抵聞き役で。
彼もそんなにおしゃべりな方ではないから、ふたりともずっと無言のままなんていう時も少なからずある。
そしてそれが不思議と、嫌じゃなくて。
……むしろその無言の時間すらも、心地よいなんて思ってしまう。
しかし今日は、何かが違う気がした。
得体の知れない違和感があったから、僕が先に口を開いた。
「ねぇ、光秀くん。
……何か、あった?」
すると光秀くんは一瞬不快そうに、形の良い唇を歪め、それからいつになく弱々しい声色で聞いた。
「なぁ、和也。
……お前と俺って、仲良くねぇの?」
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