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【SS】叶わなかった、夢の続きを①

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「大晴、起きろ!
 今朝は早く出るって、言っただろ?」

 毛布を剥がれ、無理矢理叩き起こされた。
 それを理不尽に思い、ギロリと声の主の方へと視線をやりながら答えた。

「聞いてたけど、遼河くん。
 起きれないのは、いったい誰のせいだと……!」

 尖らせた唇は、キスで塞がれた。

「もっと、もっとって甘えてねだった、大晴のせいじゃね?
 ほら、さっさと起きろ!」

 ホント、ああ言えばこういう男だ。
 よく口が回るものだと、呆れながらも倦怠感の残る体をのそりと起こした。

「朝食はもう、出来てる。
 お前の好きなだし巻き玉子卵と、鮭を焼いてるから。
 今日の味噌汁は、豆腐とワカメな」

 この、スパダリめ。
 それとやっぱり体力、あり過ぎだろ。

 寝起きはあまり良い方ではないため、そんな誉め言葉ともとれる悪態を心の中で吐いた。

「それとも飯の前に、もう一回抱いてやろうか?
 ……それならさすがに、起きるだろ?」
  
 突如駄々漏れになった、遼河くんの色気。
 それにごくりと唾を飲み、慌ててガバッと起き上がった。

「駄目!ちゃんと、起きたよ。
 もう僕、起きたから!」

 立ち上がり、ラジオ体操をするみたいに大きく腕をブンブンと振り回すと、彼はククッと可笑しそうに笑った。

「残念。まぁ、いいや。
 顔洗ったら、来て」

 くしゃりと髪に触れ、優しく微笑む遼河くん。
 至近距離で見るその芸能人みたいに美しい顔には、いつまで経っても慣れる事が出来ない。
 ……そしてこの完璧過ぎる男が、自分の恋人であるという現実にも。

 あれからおよそ、2ヶ月の月日が流れた。
 なのに相変わらず彼の溺愛は、とどまるところを知らない。
 しかもそれと同時にあちこちに地雷が埋まっているのだから、いろんな意味でドキドキが止まらない。
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