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【SS】COLORED②
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しかし二年になり、状況は一変する。
彼と幼なじみだという君下 史織と、空気を読めない事に定評のある知之が、同じクラスになったのだ。
その結果佐瀬は、以前よりもよく話すようになった。
……ただし、そのふたりとだけ。
そのため何とかお近づきになりたいと、抜け駆けしようとする人間が現れ始めた。
そして誕生したのが、『大晴様不可侵条約』である。
寄るな、触るな、話し掛けるな。
遠巻きに見守り、視線で愛でるのみ!
あまりにもくだらないネーミングとその内容に、ただ呆れ、失笑した。
……だってこの時の俺はまだ単に、見た目が綺麗な彼の事が、ただ物珍しさからほんの少し気になっていただけだったから。
***
『遼河って、なんかムカつくよな。
何でも出来て、何でも持ってて。
……絶対俺らの事、見下してるよ』
放課後、隣のクラスで当時仲良くしていた女といちゃついていたら聞こえてきた、理不尽が過ぎる中傷。
金があるのも、この顔に生まれて来たのも、女にモテるのも。
そんなの俺が、望んだ事じゃない。
しかし勝手にやっかみ、いないところでこき下ろすような真似をされるのにも、もうすっかり慣れっこになっていた。
何でも出来て、当たり前。
出来なければ、ちょっとだらけているのではないかと母親から責められる。
それが俺の、日常。
女は慌てた様子で何かフォローの言葉を口にしようとしたけれど、俺はククッと笑い、面白そうだからもう少しだけ聞いてやろうぜと、彼女の胸にイタズラしながら耳元で囁いた。
彼と幼なじみだという君下 史織と、空気を読めない事に定評のある知之が、同じクラスになったのだ。
その結果佐瀬は、以前よりもよく話すようになった。
……ただし、そのふたりとだけ。
そのため何とかお近づきになりたいと、抜け駆けしようとする人間が現れ始めた。
そして誕生したのが、『大晴様不可侵条約』である。
寄るな、触るな、話し掛けるな。
遠巻きに見守り、視線で愛でるのみ!
あまりにもくだらないネーミングとその内容に、ただ呆れ、失笑した。
……だってこの時の俺はまだ単に、見た目が綺麗な彼の事が、ただ物珍しさからほんの少し気になっていただけだったから。
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『遼河って、なんかムカつくよな。
何でも出来て、何でも持ってて。
……絶対俺らの事、見下してるよ』
放課後、隣のクラスで当時仲良くしていた女といちゃついていたら聞こえてきた、理不尽が過ぎる中傷。
金があるのも、この顔に生まれて来たのも、女にモテるのも。
そんなの俺が、望んだ事じゃない。
しかし勝手にやっかみ、いないところでこき下ろすような真似をされるのにも、もうすっかり慣れっこになっていた。
何でも出来て、当たり前。
出来なければ、ちょっとだらけているのではないかと母親から責められる。
それが俺の、日常。
女は慌てた様子で何かフォローの言葉を口にしようとしたけれど、俺はククッと笑い、面白そうだからもう少しだけ聞いてやろうぜと、彼女の胸にイタズラしながら耳元で囁いた。
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