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【SS】COLORED①(高校時代、遼河視点)
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俺の毎日は、いつだってどんよりとくすんだ灰色で。
皆が愛だの恋だのにうつつを抜かし、好きだの嫌いだのと騒ぐのを、ずっと理解出来ずにいた。
だけど佐瀬に出逢い、彼に恋をしたことで、この無意味で無機質だった世界が急速に色付いた。
……そんな気が、したんだ。
***
佐瀬との出逢いは、高校一年の春。
入学式当日は五十音の出席番号順に並ばされた事もあり、彼は俺のひとつ後ろの席に座っていた。
春の日差しを浴びて、元々色素の薄い彼の髪が、亜麻色に輝く。
だけど制服のボタンもきちんと首元ギリギリまで留めるような、真面目そうな男だからこれはきっと天然の色。
向こう側が透けて見えそうなほど真っ白な肌は、思わず触れてみたいと思うほど艶やかで、滑らかで。
そのせいで最初、彼が女なんだと勘違いしそうになった。
だってこんなに綺麗な人間、これまで俺は見たことがなかったから。
だけど彼が立ち上がり、スラックスを履いている姿を見て、ようやくその誤りに気付いた。
しかしそんな風に感じたのは、俺だけでは無かったらしい。
まるでひとり異世界からやって来たみたいに、彼は異質で特別な存在だった。
クラスの女子達がコソコソと話していた、『不可侵の大晴様』等という下らない呼び方すらも、笑えないぐらいしっくり来る。
そう感じさせてしまうほど、彼はどこか浮世離れした雰囲気で。
皆彼と話してみたいのに、話し掛ける事すら出来ないまま、遠巻きにただ眺めるだけだった。
……そしてそんな彼はクラス内で、徐々に浮いた存在となっていった。
皆が愛だの恋だのにうつつを抜かし、好きだの嫌いだのと騒ぐのを、ずっと理解出来ずにいた。
だけど佐瀬に出逢い、彼に恋をしたことで、この無意味で無機質だった世界が急速に色付いた。
……そんな気が、したんだ。
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佐瀬との出逢いは、高校一年の春。
入学式当日は五十音の出席番号順に並ばされた事もあり、彼は俺のひとつ後ろの席に座っていた。
春の日差しを浴びて、元々色素の薄い彼の髪が、亜麻色に輝く。
だけど制服のボタンもきちんと首元ギリギリまで留めるような、真面目そうな男だからこれはきっと天然の色。
向こう側が透けて見えそうなほど真っ白な肌は、思わず触れてみたいと思うほど艶やかで、滑らかで。
そのせいで最初、彼が女なんだと勘違いしそうになった。
だってこんなに綺麗な人間、これまで俺は見たことがなかったから。
だけど彼が立ち上がり、スラックスを履いている姿を見て、ようやくその誤りに気付いた。
しかしそんな風に感じたのは、俺だけでは無かったらしい。
まるでひとり異世界からやって来たみたいに、彼は異質で特別な存在だった。
クラスの女子達がコソコソと話していた、『不可侵の大晴様』等という下らない呼び方すらも、笑えないぐらいしっくり来る。
そう感じさせてしまうほど、彼はどこか浮世離れした雰囲気で。
皆彼と話してみたいのに、話し掛ける事すら出来ないまま、遠巻きにただ眺めるだけだった。
……そしてそんな彼はクラス内で、徐々に浮いた存在となっていった。
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