124 / 149
誤解②
しおりを挟む
「どうも、はじめまして!
遼河の兄の、早乙女 大河です。
女装は新入社員との懇親会での、余興の最終確認。
そういった趣味はないけど、なかなかイケてたでしょ?」
あまりの衝撃展開に言葉を失くし、じっと顔を見つめた。
そんな困惑顔をした僕の事をクスクスと笑いながら見下ろしたまま、大河さんは僕の涙を優しくそっと指先で拭ってくれた。
そしてこの人のその笑顔は、言われてみたら、遼河くんにとてもよく似ている気がした。
あと至近距離だと、ほんのり髭が生えているのが分かる。
……僕の涙、返して欲しい。
その時遼河くんが、不機嫌全開といった感じで笑顔のまま告げた。
「はぁ……無駄にクオリティ、高過ぎなんだよ。
そういうのは、多少不細工なくらいがちょうど良いんだよ。
だから大河がやっても、ぜんっぜん笑えないから。
他のネタ、考えた方がいんじゃね?
あとコイツに、勝手に触んな。……大晴が、穢れる」
大河さんから僕を引き離すみたいに、再び腕を強く引く遼河くん。
そのためバランスを失った僕は、すっぽりと彼の腕の中へと収まった。
「あぁ……やっぱり、そういう感じ?
遼河が自分の家を他人に教えた事なんて、これまでほとんど無かったから、そうかなとは思ってたけど」
ニマニマと感じの悪い笑顔を浮かべて言われ、一気に恥ずかしくなってしまった。
しかし真っ赤であろう顔は強く抱き締められて遼河くんの胸元に押し付けられ、隠された。
「悪いかよ?てかお前、こっち見んな!
大河なんかに見られたら、俺の可愛い大晴が減る!」
俺の、などと言われ、ますます恥ずかしくて顔が上げられなくなり、羞恥に震える僕。
そろりと眼球だけを動かして盗み見ると、大河さんは呆れたように笑っていた。
遼河の兄の、早乙女 大河です。
女装は新入社員との懇親会での、余興の最終確認。
そういった趣味はないけど、なかなかイケてたでしょ?」
あまりの衝撃展開に言葉を失くし、じっと顔を見つめた。
そんな困惑顔をした僕の事をクスクスと笑いながら見下ろしたまま、大河さんは僕の涙を優しくそっと指先で拭ってくれた。
そしてこの人のその笑顔は、言われてみたら、遼河くんにとてもよく似ている気がした。
あと至近距離だと、ほんのり髭が生えているのが分かる。
……僕の涙、返して欲しい。
その時遼河くんが、不機嫌全開といった感じで笑顔のまま告げた。
「はぁ……無駄にクオリティ、高過ぎなんだよ。
そういうのは、多少不細工なくらいがちょうど良いんだよ。
だから大河がやっても、ぜんっぜん笑えないから。
他のネタ、考えた方がいんじゃね?
あとコイツに、勝手に触んな。……大晴が、穢れる」
大河さんから僕を引き離すみたいに、再び腕を強く引く遼河くん。
そのためバランスを失った僕は、すっぽりと彼の腕の中へと収まった。
「あぁ……やっぱり、そういう感じ?
遼河が自分の家を他人に教えた事なんて、これまでほとんど無かったから、そうかなとは思ってたけど」
ニマニマと感じの悪い笑顔を浮かべて言われ、一気に恥ずかしくなってしまった。
しかし真っ赤であろう顔は強く抱き締められて遼河くんの胸元に押し付けられ、隠された。
「悪いかよ?てかお前、こっち見んな!
大河なんかに見られたら、俺の可愛い大晴が減る!」
俺の、などと言われ、ますます恥ずかしくて顔が上げられなくなり、羞恥に震える僕。
そろりと眼球だけを動かして盗み見ると、大河さんは呆れたように笑っていた。
1
お気に入りに追加
967
あなたにおすすめの小説
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
お客様と商品
あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)
【完結】奇跡の子とその愛の行方
紙志木
BL
キリトには2つの異能があった。傷を癒す力と、夢見の力。養親を亡くしたキリトは夢に導かれて旅に出る。旅の途中で魔狼に襲われこれまでかと覚悟した時、現れたのは美丈夫な傭兵だった。
スパダリ攻め・黒目黒髪華奢受け。
きわどいシーンはタイトルに※を付けています。
2024.3.30 完結しました。
----------
本編+書き下ろし後日談2話をKindleにて配信開始しました。
https://amzn.asia/d/8o6UoYH
書き下ろし
・マッサージ(約4984文字)
・張り型(約3298文字)
----------
フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
みにくい凶王は帝王の鳥籠【ハレム】で溺愛される
志麻友紀
BL
帝国の美しい銀獅子と呼ばれる若き帝王×呪いにより醜く生まれた不死の凶王。
帝国の属国であったウラキュアの凶王ラドゥが叛逆の罪によって、帝国に囚われた。帝都を引き回され、その包帯で顔をおおわれた醜い姿に人々は血濡れの不死の凶王と顔をしかめるのだった。
だが、宮殿の奥の地下牢に幽閉されるはずだった身は、帝国に伝わる呪われたドマの鏡によって、なぜか美姫と見まごうばかりの美しい姿にされ、そのうえハレムにて若き帝王アジーズの唯一の寵愛を受けることになる。
なぜアジーズがこんなことをするのかわからず混乱するラドゥだったが、ときおり見る過去の夢に忘れているなにかがあることに気づく。
そして陰謀うずくまくハレムでは前母后サフィエの魔の手がラドゥへと迫り……。
かな~り殺伐としてますが、主人公達は幸せになりますのでご安心ください。絶対ハッピーエンドです。
釣った魚、逃した魚
円玉
BL
瘴気や魔獣の発生に対応するため定期的に行われる召喚の儀で、浄化と治癒の力を持つ神子として召喚された三倉貴史。
王の寵愛を受け後宮に迎え入れられたかに見えたが、後宮入りした後は「釣った魚」状態。
王には放置され、妃達には嫌がらせを受け、使用人達にも蔑ろにされる中、何とか穏便に後宮を去ろうとするが放置していながら縛り付けようとする王。
護衛騎士マクミランと共に逃亡計画を練る。
騎士×神子 攻目線
一見、神子が腹黒そうにみえるかもだけど、実際には全く悪くないです。
どうしても文字数が多くなってしまう癖が有るので『一話2500文字以下!』を目標にした練習作として書いてきたもの。
ムーンライト様でもアップしています。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる