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招かれざる男④

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「ごめん、何言ってるかちょっとよく分かんない……」

 暗くて、友達も少なかった僕は、告白とかをされた経験も勿論ない。
 なのに何がどうなって、僕が高校時代のモテ男 ツートップの片割れみたいに言われているというのか?

 あー……なるほど。さては、からかわれてるんだな?
 合点が、いった。

「残念でした!騙されないよ?
 そんなワケ、ないじゃん」

 ククッと笑い、残りのビールを飲もうと手を伸ばしたけれど、そのジョッキは早乙女くんに奪われた。

「飲み過ぎ。もうそれくらいに、しとけよ」

 呆れたようにそう言うと、彼は黄金色の液体を一気に飲み干した。
 親指の先で自身の唇を拭う、そんな仕草まで絵になるのかと、そこに理不尽ながらもまたちょっぴりムカついた。

「すみませーん、烏龍茶ひとつ」

 知之もそうだそうだと同調して頷き、次のドリンクを勝手に注文されてしまった。

「騙してねぇよ。ただお前の場合、俺とは違って他人を寄せ付けない雰囲気を垂れ流してたからさぁ。
 まぁ今にして思えば、単に人見知りとネガティブ精神がそうさせてたってだけみたいだけどね」

 それから早乙女くんはニヤリと笑い、僕の瞳を覗き込んだ。
 そしてその瞬間、嫌でも昨日の出来事を思い出してしまったものだから、気まずさから思わず顔をそらした。

「まさか……。早乙女くんの、勘違いじゃない?」

 にへらと笑って答えると、知之が話に割って入って来た。

「いやいや、それはねぇよ。
 だってお前は知らなかったみたいだけど、ひそかにファンの子達の間で、条約結ばれてたみたいだからな。
 確か、名前は……」

 そこまで言うと知之は、早乙女くんとビシッと人差し指を突き合わせ、ニッと笑った。

「「大晴様、不可侵条約!!」」
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