その男、ストーカーにつき

ryon*

文字の大きさ
上 下
79 / 111

79

しおりを挟む
 今日は土曜日な上、クリスマス・イブという事もあり、街はカップル達で溢れ返っている。
 そのためスーツを着込み、男同士でうろついている人間なんて、かなり稀有な存在と言えよう。
 
 幸い僕は一緒にバナナジュースを販売するお店の列に並びたいという西園寺さんをなだめすかし、マテが出来たらご褒美をあげますという言葉でなんとか車中で待機させる事に成功した。
 
 ちょうど良い。クリスマス・プレゼントとして元々考えていた例のブツ・・・・を、この機会に先に渡してしまおう。

 自分のために、プレゼントをふたつも用意してくれたのかと喜ばれるのも少しだけ面倒臭い。
 なので彼がスーツだのなんだのを僕に先に渡してくれたのと同じ戦法を取り、あくまでもオマケなのだと思わせる事が大切である。

 彼のために心を込めて、実は前日から仕込んでいましただなんて知られたら、確実に面倒な事になるに決まっている。
 だから絶対に、バレるワケにはいかないのだ。

「ちゃんと、待っててくれたんですね。
 えらい、えらい」

 運転席側の窓を開けて貰い、ジュースを手渡すと、いつも僕がされるみたいに西園寺さんの頭をくしゃりと撫でた。

 硬質で真っ黒な僕の直毛とはまるで異なる、柔らかくて絹糸みたいな手触りの癖っ毛。
 それがあまりに心地よかったから、撫で続けること数秒。
 
「お帰りなさい、陸斗くん。
 ……ご褒美はぁ?」

 運転席に座る彼と、車の外に立ったままの僕。
 いつも見上げてばかりだった西園寺さんの、下からの視線の破壊力がすごい。
 ……やはり無駄に、顔が良い。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子
BL
うっかりマッチングしてしまった会社の先輩後輩が、付き合うまでの話です。 後輩×先輩。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

処理中です...