その男、ストーカーにつき

ryon*

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 その後すぐに折り返しの電話がかかってきたけれど、これは自分のではなくハラちゃんのスマートフォンだからというのを言い訳にして、僕は電話には出なかった。

 そしてハラちゃんが休憩室に戻ると、スマホを彼に返して感謝の言葉を口にした。

「ありがと、ハラちゃん。
 お陰でちゃんと、話せたよ」

 するとハラちゃんはニッと笑い、僕の頭をワシワシと撫でた。

「おぅ!なら、良かった。
 とはいえ悪かったのは、俺の方だけどな。
 マジで余計な真似して、ごめんな」

 こういう素直で、直球でモノを言えるところ、羨ましいなって思う。
 方法は決して褒められたものではなかったが、あれも全部僕の事を思っての行動だというのは分かっていた。
 
「まぁ、確かにね。
 これに懲りたら、もう余計な事しないでよね」
 
 苦笑して答えると、彼はちょっとバツが悪そうにポリポリと頭を掻き、もう一度、ごめんと謝罪の言葉を口にした。

 それからハラちゃんは大量に残る着信履歴に驚き、心配そうに本当にちゃんと話せたのかよと聞いてきた。
 だけど今はそれ以上西園寺さんと話す事はなかったから、話せたし大丈夫とだけ答えた。

 そしてこの翌日の、お昼時。
 嬉しそうにデレッデレに鼻の下を伸ばした西園寺さんがにこにこ弁当に姿を見せたというのは、言うまでもない。

 その際彼は僕の『楽しみにしている』という発言をもう一度聞きたそうにしていたけれど、もうそんなのは二度と言いたくなかったから、催促をされても幻聴じゃないですかとしれっと答えてやった。

 そんな僕らのやり取りを前に、ハラちゃんと二見さんはやれやれとでも言いたげに顔を見合わせ、肩をすくめて見せた。
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