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「こんにちは、西園寺さん。
今日もお弁当は、どうせ唐揚げスペシャルですよね?」
お客様に対して失礼にもそんな聞き方をした僕の名は、髙梨 陸斗。
チェーン展開する大手弁当屋『にこにこ弁当』で働く、しがないフリーターである。
病弱で入院しがちなのに気前が良く浪費家という最悪な性質を併せ持つ父と、人の善過ぎるおおらかで優しい母。
そんな両親の下に生まれたものだから、不幸というほどではないものの生来金とは本当に縁がない。
僕の稼いだバイト代も、ほとんどが生活費へと消えていく。
「はい。それで、お願いします。
だけど、嬉しいな。
陸斗くんが俺の好みを、覚えてくれているなんて」
こちらが蕩けさせられてしまいそうなほど甘ったるい笑顔で答えた客の名は、西園寺 海晴。
僕が働くこの弁当屋を含む飲食店を多数経営する大企業、『西園寺プレシャスグループ』は、彼の祖父が会長をつとめているらしい。
聞いてもいないのに語られた彼のプロフィールによると、まだ27歳になったばかりとの事だが、若くして役員の一人に名を連ねる。
いわゆる、セレブリティってやつだ。
僕とは異なり、生まれながらにしての勝ち組である。
少し垂れ気味な、焦げ茶がかった大きな瞳に、形の良い唇。
見るからに柔らかそうな癖っ毛は、染めているワケではないようだが元々色素が薄く、日の光を浴びるとほんのり栗色に染まる。
身長は恐らく僕よりも10センチほど高く、180センチあるかどうかというところな気がするが、胴の長さだけ見れば僕の圧勝に違いない。
‥‥‥要するに、足が長い。
今日もお弁当は、どうせ唐揚げスペシャルですよね?」
お客様に対して失礼にもそんな聞き方をした僕の名は、髙梨 陸斗。
チェーン展開する大手弁当屋『にこにこ弁当』で働く、しがないフリーターである。
病弱で入院しがちなのに気前が良く浪費家という最悪な性質を併せ持つ父と、人の善過ぎるおおらかで優しい母。
そんな両親の下に生まれたものだから、不幸というほどではないものの生来金とは本当に縁がない。
僕の稼いだバイト代も、ほとんどが生活費へと消えていく。
「はい。それで、お願いします。
だけど、嬉しいな。
陸斗くんが俺の好みを、覚えてくれているなんて」
こちらが蕩けさせられてしまいそうなほど甘ったるい笑顔で答えた客の名は、西園寺 海晴。
僕が働くこの弁当屋を含む飲食店を多数経営する大企業、『西園寺プレシャスグループ』は、彼の祖父が会長をつとめているらしい。
聞いてもいないのに語られた彼のプロフィールによると、まだ27歳になったばかりとの事だが、若くして役員の一人に名を連ねる。
いわゆる、セレブリティってやつだ。
僕とは異なり、生まれながらにしての勝ち組である。
少し垂れ気味な、焦げ茶がかった大きな瞳に、形の良い唇。
見るからに柔らかそうな癖っ毛は、染めているワケではないようだが元々色素が薄く、日の光を浴びるとほんのり栗色に染まる。
身長は恐らく僕よりも10センチほど高く、180センチあるかどうかというところな気がするが、胴の長さだけ見れば僕の圧勝に違いない。
‥‥‥要するに、足が長い。
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