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好きだけど①
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「飯島さん......だっけ?
任せられないも何も、決めるのは千尋さんだろ?」
「それは、そうだけど。
......でもやっぱり、騙されてるとしか思えないんだよね。
ついこの間までマレーシアで暮らしてた千尋が、今日まで誰が誰かも知らなかったようなJOKERのメンバーの奏と一緒に暮らしてるなんて......。
どう考えても、おかしいでしょ!」
ついに、呼び捨てになった!
......私ですら、彼の事は奏くんって呼んでるのに。
でも、そうだった。
私は奏くんに対して、怒っていたのだ!
華月に抱き締められたまま奏くんの顔をキッと睨み付けると、彼はグッと唇を噛んだ。
「千尋さん......ちゃんと全部、話すから。
だから今日は、飯島さん。
俺に彼女の時間を、譲って貰えないかな?」
力無く笑い、自信なさげに言われた言葉。
こんな彼を見るのは、本当に初めてだった。
すると華月もこれが演技などではなく、素の彼の顔のひとつだと気付いたのか、瞳だけで私にどうする?と尋ねてきた。
だけど正直やっぱり、彼に騙されたという想いは拭えない。
きちんと奏くんと話さねばと思うけれど、また心の準備が出来ていなかった。
そんな私の反応を見て、華月はふぅとこれ見よがしに、大きな溜め息をひとつ吐き出した。
「決めるのはこれも、私じゃなく千尋なんじゃない?
でもってこの子の顔を見る限り、アンタと話したいと思ってるようには見えないけど?」
私に向かい、彼は手を伸ばそうとしたのだけれど。
......反射的に私が華月にすがり付くみたいに抱き付いたから、奏くんの手は行き場を失い、そのまま力無くただ空を舞った。
任せられないも何も、決めるのは千尋さんだろ?」
「それは、そうだけど。
......でもやっぱり、騙されてるとしか思えないんだよね。
ついこの間までマレーシアで暮らしてた千尋が、今日まで誰が誰かも知らなかったようなJOKERのメンバーの奏と一緒に暮らしてるなんて......。
どう考えても、おかしいでしょ!」
ついに、呼び捨てになった!
......私ですら、彼の事は奏くんって呼んでるのに。
でも、そうだった。
私は奏くんに対して、怒っていたのだ!
華月に抱き締められたまま奏くんの顔をキッと睨み付けると、彼はグッと唇を噛んだ。
「千尋さん......ちゃんと全部、話すから。
だから今日は、飯島さん。
俺に彼女の時間を、譲って貰えないかな?」
力無く笑い、自信なさげに言われた言葉。
こんな彼を見るのは、本当に初めてだった。
すると華月もこれが演技などではなく、素の彼の顔のひとつだと気付いたのか、瞳だけで私にどうする?と尋ねてきた。
だけど正直やっぱり、彼に騙されたという想いは拭えない。
きちんと奏くんと話さねばと思うけれど、また心の準備が出来ていなかった。
そんな私の反応を見て、華月はふぅとこれ見よがしに、大きな溜め息をひとつ吐き出した。
「決めるのはこれも、私じゃなく千尋なんじゃない?
でもってこの子の顔を見る限り、アンタと話したいと思ってるようには見えないけど?」
私に向かい、彼は手を伸ばそうとしたのだけれど。
......反射的に私が華月にすがり付くみたいに抱き付いたから、奏くんの手は行き場を失い、そのまま力無くただ空を舞った。
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