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無駄なバトル③
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「ところで......JOKERのファンなもので、さっきは取り乱してしまったけれど。
この子は真面目な、めちゃくちゃ良い子なの。
......遊びで付き合っているのだとしたら、絶対に許さないから」
にっこりと、微笑んで。
......瞬時にある程度状況を把握したらしき華月が、謎の宣戦布告をした。
そして今度は華月に手を引かれ、ふらふらとよろめきながら彼女の方へ。
華月は子沢山な家庭に生まれ育ったため、面倒見が非常によい。
だから学生時代は頼りない私の事を心配し、側に常に居てくれた。
そのため華月は保護者を通り越して、私の過保護者だなんて揶揄されていたほどだ。
......しかしお互い大人になり、対等な関係になれたものだとばかり思っていたのに。
やれやれと呆れながらも、たぶんこれは長年の習性みたいなモノなのだろう。
でももう私も、立派な大人なのだ。
視線を感じ、ふと見上げるとそこには、奏くんのこめかみにピキリと浮かんだ見事な青筋。
眉間のシワは何度も目にした事があったけれど、ここまでハッキリ不機嫌を露にしているのを見たのははじめてかも。
なんて現実逃避して他人事みたいに呑気に考えていたら、再び奏くんに反対の手を引かれた。
「勿論、遊びなんかじゃねぇよ。
......この人が真面目で良い人だって事なんか、俺も充分分かってるっつーの!」
あぁ......完全なる、キャラ崩壊!
そして始まった、私を間に挟んでの綱引き大会。
「痛い!二人とも、離して!」
大きな声で、叫んだ瞬間。
これが大岡裁きであったならば片方は離さないままだっただろうが、同時に彼らが素直に手を離したものだから、私はすってーんと転び床に尻餅をついた。
彼らは慌てた様子で駆け寄り、私に手を差し伸べた。
「「大丈夫!?」」
「ん......、平気。
あは、良かった。
......二人とも、本当のお母さんだ」
にへらと笑って答えると、奏くんと華月は顔を見合わせて、不快そうに口元を歪めた。
この子は真面目な、めちゃくちゃ良い子なの。
......遊びで付き合っているのだとしたら、絶対に許さないから」
にっこりと、微笑んで。
......瞬時にある程度状況を把握したらしき華月が、謎の宣戦布告をした。
そして今度は華月に手を引かれ、ふらふらとよろめきながら彼女の方へ。
華月は子沢山な家庭に生まれ育ったため、面倒見が非常によい。
だから学生時代は頼りない私の事を心配し、側に常に居てくれた。
そのため華月は保護者を通り越して、私の過保護者だなんて揶揄されていたほどだ。
......しかしお互い大人になり、対等な関係になれたものだとばかり思っていたのに。
やれやれと呆れながらも、たぶんこれは長年の習性みたいなモノなのだろう。
でももう私も、立派な大人なのだ。
視線を感じ、ふと見上げるとそこには、奏くんのこめかみにピキリと浮かんだ見事な青筋。
眉間のシワは何度も目にした事があったけれど、ここまでハッキリ不機嫌を露にしているのを見たのははじめてかも。
なんて現実逃避して他人事みたいに呑気に考えていたら、再び奏くんに反対の手を引かれた。
「勿論、遊びなんかじゃねぇよ。
......この人が真面目で良い人だって事なんか、俺も充分分かってるっつーの!」
あぁ......完全なる、キャラ崩壊!
そして始まった、私を間に挟んでの綱引き大会。
「痛い!二人とも、離して!」
大きな声で、叫んだ瞬間。
これが大岡裁きであったならば片方は離さないままだっただろうが、同時に彼らが素直に手を離したものだから、私はすってーんと転び床に尻餅をついた。
彼らは慌てた様子で駆け寄り、私に手を差し伸べた。
「「大丈夫!?」」
「ん......、平気。
あは、良かった。
......二人とも、本当のお母さんだ」
にへらと笑って答えると、奏くんと華月は顔を見合わせて、不快そうに口元を歪めた。
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