年下俺様アイドルの、正しい飼い方

ryon*

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無駄なバトル①

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「え......嘘でしょ、マジで!?」

 未だに現実の出来事だと信じられないのか、ペタペタと無遠慮に彼の顔面に触れる華月。

「はぁ!?何がだよ?
 てかアンタ、本当に誰なワケ?
 つーか、千尋さんは!?」

 彼女の手を振り払い、奏くんはリビングに目をやった。

 私は咄嗟の事にどうしたら良いか分からず、動揺し......思わず一歩、後退あとずさった。

「ただいま、千尋さん。
 ......なんで、逃げようとするの?」

 口元が不愉快そうに歪み、そして彼は私とは逆にズイと前に出た。

 それから奏くんはテーブルに並べられた二人分の食器と食事をじっと見つめ、がしがしと頭を掻いた。

「おかえりなさい、奏くん。
 ......今日は帰って来ないって聞いてたから、友達を呼んだの」

 私は悪い事は、一切していない。
 そんな風に不機嫌そうにされても、やっぱり悪いのは私じゃない。
 大切な事を全部隠していた、奏くんの方だ。

 なのになんとなく気まずくて、彼から視線をそらした。
 ふぅ、と大きな溜め息を吐かれたものだから、本気で怒らせてしまっただろうかと不安になり、体がビクッと大きく震えた。
 
 だけど奏くんは華月の方をまた振り返り、今にも泣き出しそうな顔で瞳を潤ませ言ったのだ。

「えっと......そうなんだ。
 ごめんなさい、知らない人がいきなり家に居たものだから、僕、びっくりしちゃって......」

 へ......?僕?
 いま奏くん、自分の事を僕って言った!?

 真夏だというのにゾワゾワと、背筋に冷たいモノが走った。
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