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そして舞台の、幕が開く②
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***
「おい、玲。
鈴も絶対に連れてこいって、俺言ったよな?」
二人きりになったタイミングで人気のない暗がりに玲を連れ出して、大変不本意ながら、野郎同士での壁ドンなう。
「だって、仕方ないだろう?
......アイツ、エレンに避けられてるみたいだって、ずっと気にしてて。
何もしてないはずのに、めっちゃ冷たいって......。
泣きそうな顔してそんな風に言われてまで、こんな場所に無理矢理、連れてなんて来られないだろ?」
切なげな表情で、俺の問いに真剣に答える玲。
コイツなりにきっと考えた上で、双子の姉の事を案じての決断だったのだろう。
それは、分かる。
玲は馬鹿だし、毒舌担当ではあるものの根は優しい男だからな。
......分かるが、しかし。
「確かに鈴は、何もしてないだろうな。
だって実際にやらかしたのは、お前の方だもんな」
ニコニコと満面の笑みで、静かな口調で告げた。
すると玲はさすがに状況を理解したのか、あっ、と小さな声をあげた。
「ちゃんとご理解、頂けたようで。
エレンはいまだに鈴の存在には、全く気付いていないからな。
振られた直後に嫌悪感も露に避けられたり、かと思えばいつも通り笑顔で絡んで来られたりを、交互でやられたら。
......俺だったらからかわれてると思って、間違いなくキレる」
玲の傷をザグリと言葉の刃でえぐり、更にその上からトドメを刺しておいた。
「ったく、フォロー入れとけって言ったのに。
ホントお前は、使えないな」
近くに誰も居なかったとは言え、これはアイドル皆川 奏としては、完全にアウトな発言だろう。
だから小声で、コイツにだけ聞こえるように言った。
しかし、鈴のヤツ。
玲が誘っても、ライブに来ないとか......。
これってますます状況が、悪くなってないか?
自然と眉間に、深いシワが寄るのを感じた。
「でもさ、奏。原因は、分かったワケじゃん?
だったら全部ぶちまけて、鈴からもう一回返事させたらいんじゃね?
俺、てんさーい!」
能天気に、玲がヘラヘラと笑って言った。
「おい、玲。
鈴も絶対に連れてこいって、俺言ったよな?」
二人きりになったタイミングで人気のない暗がりに玲を連れ出して、大変不本意ながら、野郎同士での壁ドンなう。
「だって、仕方ないだろう?
......アイツ、エレンに避けられてるみたいだって、ずっと気にしてて。
何もしてないはずのに、めっちゃ冷たいって......。
泣きそうな顔してそんな風に言われてまで、こんな場所に無理矢理、連れてなんて来られないだろ?」
切なげな表情で、俺の問いに真剣に答える玲。
コイツなりにきっと考えた上で、双子の姉の事を案じての決断だったのだろう。
それは、分かる。
玲は馬鹿だし、毒舌担当ではあるものの根は優しい男だからな。
......分かるが、しかし。
「確かに鈴は、何もしてないだろうな。
だって実際にやらかしたのは、お前の方だもんな」
ニコニコと満面の笑みで、静かな口調で告げた。
すると玲はさすがに状況を理解したのか、あっ、と小さな声をあげた。
「ちゃんとご理解、頂けたようで。
エレンはいまだに鈴の存在には、全く気付いていないからな。
振られた直後に嫌悪感も露に避けられたり、かと思えばいつも通り笑顔で絡んで来られたりを、交互でやられたら。
......俺だったらからかわれてると思って、間違いなくキレる」
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「ったく、フォロー入れとけって言ったのに。
ホントお前は、使えないな」
近くに誰も居なかったとは言え、これはアイドル皆川 奏としては、完全にアウトな発言だろう。
だから小声で、コイツにだけ聞こえるように言った。
しかし、鈴のヤツ。
玲が誘っても、ライブに来ないとか......。
これってますます状況が、悪くなってないか?
自然と眉間に、深いシワが寄るのを感じた。
「でもさ、奏。原因は、分かったワケじゃん?
だったら全部ぶちまけて、鈴からもう一回返事させたらいんじゃね?
俺、てんさーい!」
能天気に、玲がヘラヘラと笑って言った。
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