年下俺様アイドルの、正しい飼い方

ryon*

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特別で、大切な④

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 俺の知らないところで気付かれるくらいなら、自分の口からきちんと伝えるべきだった。
 姑息で臆病な自分に嫌気がさしたけれど、まだバレたと完全に決まったワケじゃない。

 この人は俺と違って素直で嘘の吐けない性格だから、もし気付いたならば、そのまま黙っているとも思い難い。

 彼女が朝目を覚ましたら、それとなく探りをいれてみよう。
 大丈夫。だってまだこの人は、俺の側に居てくれている。

 不安もあったけれど、無理矢理気持ちを落ち着かせた。

***

 翌朝。いつもみたいに二人分の朝食を用意して、千尋さんの部屋のドアをノックした。

「おはよう、千尋さん」

 ちゅっ、と頬に口付けると、彼女は眠そうに目を擦り、寝惚けながらにへらと笑った。
 
「ほら、起きて!
 明日からは俺、忙しくなっちゃう予定だから。
 今日は、一緒に食べよう?」

 布団を剥ぎ取ると、彼女はそっと目を開けた。
 それからムクリと起き上がり、俺に向かい手を伸ばした。

 こういう子供みたいな仕草、本当に好きだなと思う。
 可愛くて、愛しくて......マジで、守ってあげたくなる。

「おはよ、奏くん。
 ん......いつも、ありがと」

 その嬉しそうな表情に、裏はないように思えた。
 だからたぶんまだ気付かれてはいないのだろうと思い、こっそり小さく息を吐いた。

「そう言えば......。
 昨日机の上に、CDが置かれてるのを見掛けたんだけど。
 千尋さん、ああいうのが好きなの?」

 平静を装い、まるでこれは他意の無い雑談だよっていうような顔をして聞いた。
 すると彼女は一瞬キョトンとした表情をして、それから眉間にちょっとシワを寄せ、唇をつんと尖らせた。

 これは......どういう、感情だ?
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