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付き合うって、何するの?②
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『本当に、可愛げのない女だな。
......こんな時でも、涙のひとつも見せないとか』
最後に元カレに言われた言葉が、脳内で自動的に再生された。
......可愛げのない女、か。
確かにあの人の、言う通りだ。
素直に感情を言葉や表情にするのが苦手な私はいつもいつも、無愛想だの、何を考えているのか分からないだのと言われてきた。
だけど、奏くんは違う。
私のわずかな表情の変化にも目敏く気付いて、分かり易いだなんて言う。
こんな人は、初めてだった。
......だからきっと私は彼に惹かれ、好きになったんだわ。
奏くんは一見無遠慮で失礼な発言をしたりもするけれど、繊細な気遣いの出来る、優しい子なんだと思う。
正直私なんて彼とは釣り合いが取れていないと分かりながらも、好きだと言われて嬉しかった。
だから戸惑いながらも、彼の告白を受け入れてしまったのだ。
ネガティブな考えに支配されそうになったけれど、彼が私に向けてくれる笑顔を思い出し、自然と表情が綻んだ。
元カレと奏くんは、違うもの。
それに私だってあの頃よりは、少しは大人になれている......はずだ。
せっかく奏くんに、好きになって貰えたんだもの。
簡単に終わらせたりなんて、するものか。
そんな風に、考えて。
改めて自分は奏くんの事が、こんなにも好きだったんだって気付かされた。
基本的に私は何かが欲しいだとか、手放したくないと思う事がない。
なのに奏くんはそんな私の感情すらも簡単に揺さぶり、乱す。
少し前の私からしてみたらこんなの、信じられない変化だ。
人の気持ちが変わっていくのは、仕方のない事だと思う。
だけど少しでも長く2人で過ごす時間が続くことを、心の中でそっと祈った。
......こんな時でも、涙のひとつも見せないとか』
最後に元カレに言われた言葉が、脳内で自動的に再生された。
......可愛げのない女、か。
確かにあの人の、言う通りだ。
素直に感情を言葉や表情にするのが苦手な私はいつもいつも、無愛想だの、何を考えているのか分からないだのと言われてきた。
だけど、奏くんは違う。
私のわずかな表情の変化にも目敏く気付いて、分かり易いだなんて言う。
こんな人は、初めてだった。
......だからきっと私は彼に惹かれ、好きになったんだわ。
奏くんは一見無遠慮で失礼な発言をしたりもするけれど、繊細な気遣いの出来る、優しい子なんだと思う。
正直私なんて彼とは釣り合いが取れていないと分かりながらも、好きだと言われて嬉しかった。
だから戸惑いながらも、彼の告白を受け入れてしまったのだ。
ネガティブな考えに支配されそうになったけれど、彼が私に向けてくれる笑顔を思い出し、自然と表情が綻んだ。
元カレと奏くんは、違うもの。
それに私だってあの頃よりは、少しは大人になれている......はずだ。
せっかく奏くんに、好きになって貰えたんだもの。
簡単に終わらせたりなんて、するものか。
そんな風に、考えて。
改めて自分は奏くんの事が、こんなにも好きだったんだって気付かされた。
基本的に私は何かが欲しいだとか、手放したくないと思う事がない。
なのに奏くんはそんな私の感情すらも簡単に揺さぶり、乱す。
少し前の私からしてみたらこんなの、信じられない変化だ。
人の気持ちが変わっていくのは、仕方のない事だと思う。
だけど少しでも長く2人で過ごす時間が続くことを、心の中でそっと祈った。
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